こんばんは。
2回目の更新です。

2016年に入って、早くも1ヶ月が経ちました。

そこで、遅ればせながら新日本プロレスの去年の試合のなかで私が素晴らしいと感じたものを4つ選んで書きたいと思っております。

まず、去年一年の新日本プロレスは、
現在のプロレスブームの中で、レスラーがメディアにたくさん出ることでより注目を浴びましたが、
リングの中の内容も、さらに良くなっていると感じました。

その理由は、
ネットでよく新日本が得意の、と言われている、

リマッチに次ぐリマッチ

ではないかと思います。

このリマッチというのは
マンネリというデメリットも当然ありますが、それが良い方に向かった試合が多かった気がします。

そして、もう1つの理由は
プロレスの種類の幅が広まったことです。

プロレスの試合でどう魅せていくか、何を魅せていくかというのは1つではありません。
そこがプロレスの難しいところではあるかと思いますが、
これもまた良い方に向い、
今思えば各シリーズごとに色々なプロレスを見せてもらったと思います。


ではこの2つの理由を元に
1試合ずつ詳しく振り返ってみます。



①2015年4月29日  
   グランメッセ熊本  レスリング火の国
   NEVER無差別級選手権試合
   石井智宏  VS  真壁刀義

この試合はこの年のイッテンヨン東京ドームでNEVERをかけて初めて両者が試合をし、真壁が戴冠。
しかし、2月のリマッチは真壁がインフルエンザで王座返上をし、決定戦で石井が勝ち、王者として熊本で真壁とリマッチという、流れ。

真壁は負けはしていないが、またも挑戦者として、
石井は真壁に勝ちはしていないが王者として。
両者ともにリベンジという思いがある、珍しい状況で行われました。

さらに、
熊本での初ビッグマッチ
NEVERとしてもビッグマッチで初のメインイベント
ということで、どのような試合になるのか想像が全くつかず、

正直、私はそこまで期待している試合ではありませんでした。

結果は大勝負の上、真壁がイッテンヨンに続き石井からベルトを奪還しました。

この試合の凄いところは、
25分という長さをほとんどエルボーとラリアットの打撃だけで試合を成立させたところだと思います。
グラウンドの攻防や空中戦がないのはもちろんですが、
場外戦もなく、リングの上で打ち合うだけ。
観てるこっちが心配になってくる程のぶつかり合いから両者の負けん気が見えてきました。
お互いにリベンジの思いがあったのがとても大きかった気がします。

そして、
この試合の解説が外道、小島、タイガー服部。
普段は解説席で絶妙な罵り合いをしている外道と小島も今回だけは試合をしている両者へのリスペクトを感じました。
そこにタイガー服部が入り、
真壁と石井の決してエリートではなく、雑草として生きてきた歴史を見てきた3人が解説をすることによって、
この試合の凄さが伝わってきたように思います。

最後はキングコングニードロップで3カウント。
そして何より私の心が動いたのは、
真壁のマイクでした。

「オメーらよ、これがプロレスだろ?」

新日本プロレスは棚橋、中邑、オカダの3強。
明らかにこのトップレスラーの試合とは別物。
なかなかベルト戦線に浮上できなかった真壁、
新日本の中で誰よりもリング外のメディアで活躍している真壁がこの試合をしたことに凄く嬉しさがありました。

こんなプロレスも面白いだろ!?

という自分を貫く意地が見えた気がし、
観てた私もプロレスの幅の広さに気づかされた試合でした。



②2015年6月7日  
   国立代々木競技場第二体育館
   BEST  OF  THE  SUPER  Jr.XXⅡ    決勝
   KUSHIDA  VS  カイル・オライリー

年に一回のジュニアヘビーの頂点を決める大会。
KUSHIDAは二年連続の決勝
ROH所属のオライリーは初出場での決勝進出。
どちらも勝てば初優勝という試合。

これも先に結果から書けば、
30分の死闘を繰り広げ、KUSHIDAが初優勝。

ここ数年の新日本のジュニア戦線を見ている人は、
結果だけ聞いてしまうと至極当然で、何の驚きも無いでしょう。

当然会場のほとんどの人がKUSHIDAが悲願を達成すると思っていたはずです。

ただ、
試合が始まれば驚きに次ぐ驚きで、
3000人を越える超満員の代々木体育館は大熱狂に包まれました。

では、なぜこの死闘が生まれたのか。

まず、オライリーは前年のG1決勝の西武ドームでボビー・フィッシュとレッドラゴンとして初参戦。その時はタイムスプリッターズとジュニアタッグのベルトを争いました。
そこからはタッグ屋として、ジュニアタッグベルトを巻き、東京ドーム大会にも参戦しました。
結果は出しているものの、選手としてのスタイルや、良さの浸透はまだまだの状況だったかと思います。

しかし、スーパージュニアが始まると
レッドラゴンの二人は
シングルの試合で持ち前のグラウンドやサブミッションの巧みさを存分に出してきました。

5月30日の後楽園大会では
KUSHIDAとボビー・フィッシュのリーグ戦がメインに組まれ、
お互い間接の取り合いの熱戦の上、KUSHIDAが逆転勝利。
この時、試合後には他団体の敗者に向けて
「ボビー」コールが生まれました。

この時点でKUSHIDAはもちろんのこと、
反対側のブロックからはオライリーを決勝進出の本命に推す人が多くなっていたでしょう。

そして、
KUSHIDAは順当に勝ち残り、
オライリーはリーグ最終戦で逆転で決勝進出が決定した。

そんな流れで迎えた決勝戦。
オライリーが力を発揮してきたとはいえ、KUSHIDAが勝つんだろうと予想している雰囲気だったかと思います。

試合の始まりはやはり巧みなグラウンドでした。
そして早々にお互い相手の左腕一本に集中して攻め始めます。

ここで大事なのが、
両者のフィニッシュホールド、
ホバーボードロックとアルマゲドンが腕をとる技だということが大会を通して浸透していたことだと思います。

この試合のゴールが想像できた上での最初の攻防。
この時点で

ああ。これはこういう試合なんだな。

と感じました。
‘’良い意味で分かりやすい‘’
ということです。

さらに素晴らしかったのは
その腕攻めが両者多彩だったことです。
特にオライリーはどの体勢、状況からでも腕をとるバリエーションを持っていて、
圧巻はKUSHIDAのムーンサルトを三角絞めで切り返したところ。
お互い得意のサブミッションを思う存分発揮し、
玄人好みで、難解なパズルを解き合っているかのよう。

これは
‘’良い意味で分かりにくい‘’
ということです。

そして、
終盤は
決死の場外へのトペコンヒーロー
雪崩式のアームブリーカー
などジュニア特有の派手な技に
勝利への執念や泥臭さが混じっていました。
ミッドナイトエクスプレスの失敗も今思えば、それほどの死闘だったと納得できてしまいます。

最後はやはりホバーボードロックでギブアップを奪ったKUSHIDAが勝利。

‘’分かりやすさ‘’と‘’分かりにくさ‘’
‘’多彩さ‘’と‘’泥臭さ‘’
が作った名勝負。

終わってみれば
戦前の予想なんて吹っ飛ぶ程の驚きの連続で、大会の幕が閉じられました。

それから一週間程後、
新日本公式のポッドキャストでKUSHIDAが決勝を振り返り話していたのが、

今回は自分が本命だったので、
決勝で100点の試合をしても
素晴らしかった
だけで終わってしまう。
だからそれ以上の試合をしなければいけなかった。

ということでした。

これを聞いたとき、
改めてプロレスに対しての思いの深さ、頭の良さを思い知らされました。

しかも
KUSHIDAはそれが分かっていて、
100点を越す試合をしたんです。

もうここから
KUSHIDAには期待しかありません。

そんな新日本ジュニアの状況を一変させる試合だったと思います。



と、いうことで
今回はまだ2つしか書いていないですが、
残りは次に書きたいと思います。

ではサヨナラ!