2013年の参議院選挙は、みんなの予想通り自民党圧勝に終わりました。
投票率もまた、大方の予想通り戦後3番目に低いものとなりました。
今回の選挙は、民主政権への失望感と野党のまとまりの無さが象徴的で、自民党の信頼感が上がったわけでも、アベノミクスへの高評価があったわけでもなさそうです。
それでも、国民の権利として、投票に行くことは大切なことです。投票に行くという行為が、政治を考え、未来の日本を考えることに繋がります。
選挙前になると、マスコミも口をそろえて「投票に行こう」と言い出します。今回の報道で面白かったのは、若者が投票に行かず、高齢者のための政治が進んだ場合の将来予測をされていたことです。若年層の投票率が1%下がると年13万円の損になるという記事です。東北大学の吉田浩教授の研究だそうです。
どういう計算で13万円も損するのかまでは新聞ではわかりませんでしたが、理屈としてはわかる気がします。
当たり前ですが、政治家は選挙で勝つことが大前提となります。高齢者の投票率が高ければ、高齢者に有利な政策を掲げている方が当選の確率が上がります。福祉や年金問題など、高齢者と若年層の利害が相反する問題はいくらでもあります。
若年層が選挙権を放棄すると、やっぱり損するのです。
さて、投票には行った方が良さそうだということはわかりました。ただ、誰に、あるいはどの政党を選ぶのかが難しい。政治家はすぐにウソをつくし、政党の公約なんて守られたことはありません。投票は行くべきだけれど、行ったところでどうすればいいのかわからないというのが本音ではないでしょうか。
立候補者は、選挙になるといろいろな公約を掲げます。「雇用を守ります!」「増税はいたしません!」「憲法改正は、断固阻止します!」・・・そんなことができるわけないですよね。原発反対のワン・イシューで当選した山本太郎議員も、一人で原発をとめることなどできません。でも、なんかこの人ならばやってくれそうな気がしますよね。ところで国会議員って何をする人たちなんでしょうか?
国会議員の仕事とは、簡単に言うと国会で「法律を作る」「税金の分配」の二つです。えっ!それだけ?そう、それだけです。
乱暴に言い切ってしまいましたが、本当の仕事というのは、この2点です。
もちろん、法律を作って、大切な税金の使い道を決めるのですから、日本の将来を左右する大切な仕事だとも言えます。
ただし、あくまでも国会議員にできるのは、ルールを決めることだけだということを忘れてはいけません。ルールを決めるというのは、いわば器を作るようなものです。その器にどんな料理を、どういう盛り付けにするのかは、国民一人ひとりが担っているのです。
投票に行かなかったら13万円損するのだというのは、とてもわかりやすい論法です。ですが、投票に行って国民が責任を持って議員を選んだら、生活を良くしてもらえるというわけではありません。街の定食屋さんに行って、器が少々みすぼらしくても、おいしい料理がきれいに盛り付けされていれば、また行きたいと思うでしょう。いくら器が立派だったとしても料理が不味ければ、そのお店はつぶれてしまいます。
選挙で日本の将来が決まるなんてのは、政治家の驕りです。自民党が圧勝したから経済が良くなるとは限らないのです。日本が元気になるためには、国民の一人ひとりの気持ちが変われば簡単です。国民の気持ちが前向きに、明るくなるように政治家はメッセージを発信し、国会での茶番をやめ、ビジョンを示すべきだと思います。それよりも、我々が先に元気になることが、一番大切なことだと思います。