前回は、A社のシェアードサービスセンターの業務を大がかりに中国へ移転する件を書きました。

前回に続いて、本日は、移転前の状況に関して書きます。

このA社での移転計画は、前回書いたようにトップダウン的な推進だったのです。

トップダウンとして推進する場合、よくある話ですが現場の反応は「できるはずはない。」と言った非常に消極的なものでした

また、移管先もITに強いアウトソーサーでしたが、業務面では経験も豊富でなく業務内容を熟知しているわけではありませんでした。反面、優秀なコンサルティング部門を持っていました。このアウトソーサーのコンサルティング部門は、経営者に対して新たな計画の素晴らしさや革新的なイノベーションを生むかを論理的に訴え、納得させるに十分な力量を持っていました。その為、A社のトップでは現場の消極的な声よりコンサルティングの声を優先することになりました。

移管する前は、業務内容の把握や分析を十分することになりました。この分野もアウトソーサーのコンサルティングの部門の人が主として対応することになりました。しかし、コンサルタントも業務のことには、詳しいわけではありませんでした。

そして、新たな高邁な計画を前にすると目の前の業務にそれほど大きな課題があるとは思われていなかったかもしれません。移管後の業務を担当する人材が、A社内部で遂行していた時より、専門性が乏しく経験不足な人を中心に遂行することなった事実からも、それほど難しいことを受託するとは思わなかったのだと思われます。

経営者やコンサルタントからすると、実務は簡単な事のように思いがちです。確かに反復性が多いことは事実ですが、実務を遂行するに必要な専門性が必要なことも事実です。また専門性がなければ、臨機応変な対応や業務を改革するのに必要な創意工夫を行うことは困難です。反復性が多いことで「誰でもできる業務だ。」と決め付けるのは短絡的な思考だと思います。だからと言って、アウトソーシングのような改革が不必要だと言っているわけではありません。A社の移管に関して、潜在的かもしれませんが現場業務を経視した思考があったのだと思われます。

以上まとめますと、移管前A社のシェアードサービスセンターでは、トップダウンの声に敗北したような状況でした。そして、積極的に改革を推し進めるという姿勢に欠けていたことも事実です。一方、アウトソーサーの方でも、高邁な理想はよかったものの、現場の生々しい現実を直視した具体的なロードマップ作りに甘さがあったことは否めないと思います。

このようなことが、後々大きな障害になったことも事実です。

続きは次回です。