
猫のルナカンタは土手の草むらを歩いていました。
そこは、まだ子猫だったときにルナカンタが捨てられていた土手でした。
捨てられていたルナカンタを見つけて拾ってくれたのが、今のパパとママなのです。
パパとママにかわいがられて、ルナカンタは元気に大きく育ちました。
ひとりで散歩だってできるようになり、ルナカンタはこの土手まで来てみたのです。
懐かしい土手の光景を見て、ルナカンタはあの日のことを思い出しました。
ひとりで散歩だってできるようになり、ルナカンタはこの土手まで来てみたのです。
懐かしい土手の光景を見て、ルナカンタはあの日のことを思い出しました。
お腹が空いて、寂しくて、不安で、必死にないていたことを思い出しました。
自分を見つけて抱き上げてくれた、ママの笑顔と温もりを思い出しました。
うれしそうに笑うママを、やさしく見つめるパパの顔を思い出しました。

ちょうどルナカンタが、パパとママにはじめて出会ったあの場所まできたときです。
ルナカンタは、草むらの中になにか光るものを見つけました。
それは、キラキラと光る宝石のついた銀色の指輪でした。
長いあいだ、そこに落ちていたのでしょう。
指輪はほこりをかぶって、少し汚れていました。
長いあいだ、そこに落ちていたのでしょう。
指輪はほこりをかぶって、少し汚れていました。
指輪を口で拾いあげて、ルナカンタは思いました。
「これはきっと大切な指輪で、落とした人は悲しんでるんじゃないかしら。
落とした人を探して、とどけてあげよう」
落とした人を探して、とどけてあげよう」

ルナカンタが指輪をくわえて土手を歩いていくと、キョロキョロと何かを探しているおじさんに出会いました。
「もしかして、おじさんが探しているのはこの指輪ではないですか?」
ルナカンタに聞かれて、はじめは何のことかわからないような顔をしていたおじさんは、
ルナカンタの口に宝石がキラキラと光る指輪を見ると、ニヤリと笑って言いました。
ルナカンタの口に宝石がキラキラと光る指輪を見ると、ニヤリと笑って言いました。
「おお、それは、それこそは私の探していた指輪です」
落とした人が見つかったと喜んだルナカンタでしたが、そのあとおじさんがこう言ったのです。
「さっき土手を散歩している時になくしてしまったのだよ、さあ、私にその指輪を渡しておくれ」
それを聞いてルナカンタは、これがおじさんの指輪ではないことに気がつきました。
だって、この指輪は長いあいだここに落ちていて、ほこりをかぶって汚れていたのですから。
だって、この指輪は長いあいだここに落ちていて、ほこりをかぶって汚れていたのですから。
おじさんがニヤニヤと笑いながら近づいてきたので、ルナカンタはくるりと身をひるがえして逃げ出しました。
後ろの方から、おじさんが「ちっ」と舌うちする声が聞こえました。
後ろの方から、おじさんが「ちっ」と舌うちする声が聞こえました。
ルナカンタがまた土手を歩いていくと、今度はキョロキョロと何かを探しているおばさんに出会いました。
「もしかして、おばさんが探しているのはこの指輪ではないですか?」
ルナカンタに聞かれて、はじめは何のことかわからないような顔をしていたおばさんは、
ルナカンタの口に宝石がキラキラと光る指輪を見ると、ニヤリと笑って言いました。
ルナカンタの口に宝石がキラキラと光る指輪を見ると、ニヤリと笑って言いました。
「ああ、それは私がだいぶ前にこの土手でなくした指輪だわ」
今度こそ落とした人が見つかったと喜んだルナカンタでしたが、そのあとおばさんがこう言ったのです。
「私はここで、そのダイヤのついた金の指輪をずっと探してたの、さあ、私にその指輪を渡しておくれ」
それを聞いてルナカンタは、これがおばさんの指輪ではないことに気がつきました。
だって、ルナカンタの口で隠れていた指輪の色は、金色ではなくて銀色だったのですから。
だって、ルナカンタの口で隠れていた指輪の色は、金色ではなくて銀色だったのですから。
おばさんが両手をかまえて、今にもルナカンタにとびかかりそうに近づいてきたので、ルナカンタはくるりと身をひるがえして逃げ出しました。
後ろの方から、おばさんが「ちっ」と舌うちする声が聞こえました。
後ろの方から、おばさんが「ちっ」と舌うちする声が聞こえました。

ルナカンタがさらに土手を歩いていくと、小さな女の子が草むらで何かを必死に探していました。
近づいてきたルナカンタを見ると、女の子の方から話しかけてきました。
「あたしね、前にここに遊びに来たときに、とっても大切な指輪をなくしてしまったの」
それを聞いてルナカンタは思いました。
ああ、この子こそ指輪の本当の持ち主に違いありません。
ああ、この子こそ指輪の本当の持ち主に違いありません。
ルナカンタは、口にくわえた指輪を女の子に見せて言いました。
「お嬢さんが落としたのは、ボクがさっき拾ったこの指輪ではないですか?」
ルナカンタに聞かれて、はじめはとてもうれしそうな顔をした女の子でしたが、
ルナカンタの口に宝石がキラキラと光る指輪を見ると、悲しそうな顔をして言いました。
ルナカンタの口に宝石がキラキラと光る指輪を見ると、悲しそうな顔をして言いました。
「ああ、それはあたしのなくした指輪じゃないわ。
あたしのなくした指輪は、プラスチックでできたおもちゃの指輪なの」
あたしのなくした指輪は、プラスチックでできたおもちゃの指輪なの」
ルナカンタにとってそれは、とっても意外な返事でした。

ルナカンタのとまどうようすを見て、女の子は続けました。
「確かにそれはあたしの指輪より、ずっといい指輪かもしれないわ。
でも、あたしがなくした指輪は、あたしのお誕生日にパパがおもちゃ屋さんで買ってくれた指輪なの。
世界にたったひとつしかない、大切な大切な指輪なの」
でも、あたしがなくした指輪は、あたしのお誕生日にパパがおもちゃ屋さんで買ってくれた指輪なの。
世界にたったひとつしかない、大切な大切な指輪なの」
ルナカンタは女の子にたずねました。
「それでもこの指輪を、もらってしまおうとは思わなかったの?」
次の女の子の返事を聞いて、ルナカンタはとてもおどろきました。
「それはきっと大切な指輪で、落とした人は悲しんでるんじゃないかしら。
落とした人を探して、とどけてあげられないかしら」
落とした人を探して、とどけてあげられないかしら」
それは、ルナカンタが指輪を見つけたときに思ったことと、まったく同じだったのです。
なぜかしら。
ルナカンタは、ママに初めてだっこされたときの、あの温もりを思い出しました。
ルナカンタは、ママに初めてだっこされたときの、あの温もりを思い出しました。
~この先のお話は、あなたの夢の中へと続きます~
画: マッタリたけし