ヘルメス、それは神の名ではなく称号。

ヘルメス、それは知識を求め、魔術を極めた者達の

称号。

ヘルメス、それは嘘付きと呼ばれながらも神の教えを求めた者達の称号である。



第一のヘルメス。

アダムの孫でありカインの子。
名はエノク。

父の罪に負い目を感じながらも神を求め、

神に認められた男。

マルドゥクが彼を自分の息子として引き取ったのは彼を人殺しの息子と呼ばせない為である。

人にピラミッド作りを通して、協力する喜びを

教え、人を癒やす為に音楽を作ったのは彼である。



第二のヘルメス。

大洪水から暫く後、エジプトでアマシス王の治世、

奴隷だった男。

慈愛に溢れ、人々を癒し、率いたが、

誰よりも自尊心が低く、誰よりも自分を嫌った男。

神の教えを広め、ピタゴラスに協力した男。

人は彼をヘルメスと呼ぶ。



第三のヘルメス。

書板にエメラルドを使用したのは、ヘルメスの

父マルドゥクに対する信仰と敬意の現れである。

これは7つの宝石を天体に例えると木星となる

ことから来ている。

自身の劣等感を克服するために神を求め、

自身を先人達の足元にも及ばないと下卑する男。

しかし、彼の神や先人達に対する敬意は先人達の

3倍以上である。

私を含め、人は彼をヘルメス・トリスメギストスと呼ぶ。



ヘルメス、それは神の愛に応えんとする者達の称号である。