キース・ジャレットは気難しい上に、奇声を上げながら演奏するからイヤという人もこのアルバムThe Melody At Night, With Youはお勧め。美しい。彼が慢性疲労症候群から立ち直ったあとの、1999年のソロアルバムです。

 

ジャケットはアマゾンから。

 

慢性疲労症候群で彼は1996年からしばらく演奏中止を余儀なくされていました。ピアノも弾けず、会話する気力もなく、自宅で闘病生活を送っていたそうです。

 

この病気はなかなか他人から正しく理解してもらうことができません。つらい闘病だったと思います。

 

慢性疲労症候群Chronic Fatigue Syndromeは、ただいつも疲れているだけの状態を示す言葉ではありません。からだとこころの両方に激しい疲労感がおき、それに伴い、日常生活ができなくなる病気です。

 

疲労感だけでなく、微熱、咽頭痛、リンパ節腫大、筋力低下、頭痛などを繰り返し、感染などの明確な原因がないものです。うつ病とも違います。診断も治療も難しい疾患です。詳しくはこちらをみてください。

 

上海でもこの病気を疑う患者さんがたまにいますが(普通に内科をしていると、間違いなくこれが疑われる患者さんはいます)、診断は難しいので、わたしは日本で専門医に確定していただくことをお勧めしています。

 

余談ですが、看護師として有名なナイチンゲールもこの慢性疲労症候群を患っていたそうで、彼女の誕生日の5月12日は「慢性疲労症候群を知る日Chronic Fatigue Syndrome Awareness Day」とされています。

晩年のナイチンゲール。写真はwikipediaから。

 

 

このアルバムは彼の闘病を支えた妻のローズ・アン・ジャレットに捧げられたそうです。1998年にやっと演奏が可能になって、12月に自宅のスタジオでこのアルバムを録音しました。その翌年からは本格的に音楽活動に復帰できています。

 

スタンダードナンバー集で、優しい、落ち着いた演奏です。奥さんへの感謝が詰まっています。ザ・ケルン・コンサート(1975)を超えるアルバムだと思います。

 

1曲目のI love you Porgyで間違いなく引き込まれます。4曲目のSomeone to watch over meのような超スタンダードも1つ1つの音を丁寧に弾いています。

 

写真はアマゾンから。2015年のCreation。世界各地でのライブを集めたアルバム。東京での収録も4曲ある。

 

キース・ジャレットは今年5月に71歳になります。いつまでもお元気で。

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