私の著書「中国現地法人の財務会計業務チェックリスト」が先月出版されました。

一時期Amazonで財務会計カテゴリーで2位となりました。(‐^▽^‐)

本書では、中国現地法人を持つ日本親会社向けに、具体的なチェックリストを持って中国現地法人の財務会計業務をチェックし、一定水準以上の会計業務運用を促す支援を行うことを目的としています。

チェックリストの中には、日本国内においては「当然実施すべき業務」も記載されていますが、中国では必ずしも「当然」とは言えないものもあります。これらについて、多くの中国内日系企業が明確に中国人に提示せずに、日本人の「当然」が中国人に理解されていないケースも良く見られます。さらには「中国人の業務レベルは低い」とか「中国人に騙された」と一方的に中国人に対する批判に終始している事例もあります。これでは日中双方とも不幸な結果となってしまいます。

本書のチェックリストを利用することによって、日本親会社と日本人出向者、また中国人従業員との相互の理解を促進し、お互いが業務の必要性を理解して中国現地法人の適切なコーポレート・ガバナンスが達成されることを祈念しております。

次に、予告です:

「中国現地法人の財務会計業務チェックリスト」出版記念セミナーを開催!

2012年度の貴社決算手続は日本親会社の要求水準を満たしていますか?」

当セミナーは、中国現地法人向けに、100項目から成る財務会計業務に係る具体的なチェックリストを提示し、中国現地法人をチェックすることによって一定水準以上の会計業務運用を促す支援を行うことを目的としている。

講師:レイズ ビジネス コンサルティング(上海)有限公司

総経理 日本公認会計士 加納 尚

参加費:無料

言語:日本語

日時:20129月上旬 3時間を予定

上海にいらっしゃる方、ぜひお越しください~

中国における会社の社長は「総経理」という名称で呼ばれる。この名称から、「中国企業では経理業務が重視されており、経理部門のトップが社長になる。」や「中国企業のトップは経理業務に関する資質がなければならない。」といった誤解が生じる。

中国語の辞書を引くと、「経理」とは「経営、管理する。支配人、経営者、社長」と記載されており、ここに会計や財務という意味はない。役職名としてわかり易く日本語に訳すと「マネージャー」という意味が適切と思われる。購買部門のマネージャーは「購買経理」であり、営業部門のマネージャーは「販売経理」という肩書となる。これらマネージャーを統括する者が「総経理」であり、日本語に訳すと「社長」となる。

一方、中国語で会計・財務・税務を司る部門は「財務部」と呼ばれる。日本語で「財務部」というと、現金預金の収受と払出、振替、借入金管理、有価証券投資といった資金管理部門をイメージするが、中国語では会計処理と財務諸表作成に係る役割も「財務部」は担う。そのため、日本語で言う「経理部」と中国語で言う「財務部」はイコールと考えてよい。尚、財務(会計)部門のマネージャーは「財務経理」である。

次に、日本では、会計伝票の起票と財務諸表の作成及び分析を司る部門(つまり狭義の経理課)と資金管理を行う部門(つまり財務課)は分離され、両者間の牽制を図ることがセオリーである。中国でも同様であるが、前者は「会計課」、後者は「出納課」という名称になる。


中国で積み重ねた会計監査経験をまとめた「中国の財務会計チェックリスト(暫定名)」をいよいよ出版されることになります。

皆様、どうぞご期待ください!

今日4月2日ですが、上海は25度の夏なみの気温。

この夏も暑いでしょうか。

皆様、晴れの日には遠足なり散歩なり、楽しんでいきましょう!

「中国において、固定資産として計上すべき金額基準はいくらか?」という質問を良く受けます。結論から言うと、「金額基準目安は2,000人民元」となります。

同じ質問を中国人会計担当者に質問すると、「中国には固定資産の金額基準はない。1年を超えて利用される資産が固定資産である。」という回答が返ってくることが多いです。しかしながら、この回答では日本人は腑に落ちません。

確かに、中国の税務基準上、「『固定資産』とは、企業が製品の生産、役務の提供、賃貸又は経営管理のために保有し、使用期間が12ヶ月を超える非貨幣性資産をいい、建物、構築物、機器、機械、運輸工具及びその他の生産経営活動に関連する設備、器具、工具を含む。(企業所得税法実施条例(200811日施行)第57条)」と規定されています。この固定資産の定義に金額基準は明記されていません。

また、中国の会計基準上では、「固定資産とは、以下の特徴を同時に備える有形資産をいう。(一)商製品の生産、役務の提供、賃貸又は経営管理の目的で保有するもの、(二)耐用年数が1会計年度以上のもの(企業会計準則第4号固定資産 3条)」と規定されており、ここにも金額基準は記載されていません。

これら基準に基づき、「中国では固定資産の金額基準はない。」という冒頭の中国人会計担当者の回答になっています。

しかしながら、2007年末に廃止された外国投資企業・外国企業所得税法第30条によると、「企業の固定資産とは、耐用年数が1年以上の建物、構築物、機器、機械、車両運搬具及びその他の生産・経営に関する設備、機器、工具等を意味する。生産・経営の主要設備に属さない物品で、単価が2,000元以下若しくは耐用年数が2年を超えないものについては、実際に使用した金額を費用とすることができる。」と規定されています。ここに2,000元という金額基準が記載されています。

外国投資企業・外国企業所得税法に規定されている金額基準は、「生産・経営の主要設備に属さない物品」という限定が加えられています。また、同法は2007年末を持って廃止され、上述の金額基準を明記しない企業所得税法及び同実施条例にとって代わられましたが、実務上は固定資産と消耗品の区分を行うため何らかの金額基準目安がやはり必要となります。そのため、旧税法の2,000人民元が現在もなお金額基準目安として利用されているのが現状となっています。

以 上