はじめまして。現在、奈良において焙煎士として働いています。
今では毎日、コーヒー豆と真剣に向き合う日々ですが、もともとはただの“コーヒー好き”でした。

かつては、大手回転寿司チェーン店で約8年間、アルバイトとして働いていました。
新人教育やバイトリーダーも任され、やりがいを感じることもありましたが、ある時から「自分は何のために働いているんだろう」と疑問を抱くようになりました。

 

身内に続けて不幸があり、心はだんだんとすり減っていきました。
職場で演じる“理想の自分”と、心の中の“本当の自分”とのギャップに苦しみ続け、病院で「重度のうつ」と診断されました。

そこから先は、まさに地獄のような毎日でした。
気力もなくなり、当時付き合っていた彼女にも別れを告げられ、孤独と無力感に押し潰されそうになりました。

そんなある日、ふと立ち寄ったメイドカフェ。
そこで出てきた一杯のコーヒーは、これまで飲んだどんなコーヒーとも違いました。
味や香りだけじゃなく、心がじんわりと温かくなる感覚。


「もう一度、前を向いてみよう」――そう思えたきっかけでした。

それ以来、僕の人生は少しずつ変わっていきました。
焙煎を学び、豆のことを調べ、現職と出会い、今では焙煎士としてお客様にコーヒーを届けています。

僕が目指しているのは、誰でも気軽に、気負わず飲めるコーヒー。
高級でも特別でもなくていい。
ただ、その一杯が「なんか、ほっとするな」と思える存在であってほしい。

そんなコーヒーを通して、誰かの一日を少しでもやさしくできたらと思っています。
これからも、ここで、そんな一杯を焙煎し続けていきます。