NYに着いてすぐに、CNNを見ていたら飛び込んできたニュースは、 バージニアテックでの銃乱射事件だった。
当初は情報が錯綜していて、犯人はアジア系だの、 中国人だのと言っていた。結局、23歳の韓国人学生の犯行だったが、 これを機に市街地を中心に何かデモでも起きないかと心配になった。 韓国人留学生の受け入れには、 今後やはりどうしてもナーバスにならざるを得ないだろう。
一昨日こんなことがあった。
ブロードウェイで『CHICAGO』を観た後に寄ったstoreで 店主らしいアジア系の中年男性がこういった。
You are Korean, I'mJapanese.
彼はおそらく韓国の出身なのだろう。だから こんなこと言ってからかっただけなのかもしれないが、 自分には、この言葉の意図がよくわからなかった。 冗談にしても、何の面白みもない。
さらに翌日、5番街のブティックでは 高級店ならではの接客が身に付いていそうな女性店員が 微笑みながらこういった。 「あなたは日本人ですか、韓国人ですか?」 異国で発揮されるごく自然な愛国心か、 日本人だ!とムキになって答えるものも多いのではないだろうか。 もちろん、どっちがいい悪いなんてないのに、 なぜか“そんなこと聞いて失礼ではないのか?"と思ってしまう。
さらに続きがあって、 その女性店員は「見分けがつかないから」と言った。
その質問は客にはしないほうがいいかもしれません。 それはナーバスな質問です。と言おうかと思った。
不快感を味わうのがどうしてなのか、自分にもよくわからない。
イタリア人に、「あなたはフランス人ですか?」と聞いて 「いいえ、私はイタリア人よ」というのなら不快感が無いのでは? 実際に聞いたことが無いし、自身がイタリア人ではない為 真相は不明だが、日本人は、国籍を問われること
間違われることにおいてはとかくこだわりを持つのでは?と感じた。
私達は劣等感を感じているか。
ここアメリカやアメリカ人に対しても。
アメリカ人の旦那さんを持つ知り合いがいて、 彼女は、「ハーフの赤ちゃんは特別かわいい」「天使のよう」 と多くの日本人に言われるのだそうだ。 白人の血が混ざってると“素敵”に見えるのだろうか。 白い肌にミルクティ色の髪、 私たち日本人にとって、果たして憧れの対象なのか。
去年のちょうど今頃、私はLAに滞在していて、 週末にユニバーサルスタジオを訪れたことがあった。 日本人もかなり来ていて、アトラクションひとつ行くごとに 日本人どうし遭遇しないことは無いほど多かった。 幼稚園児くらいで、 白いドレスワンピース姿ではしゃいでいる日本人の女の子がいて、
近くには同じくふわふわとしたワンピースを
身にまとったフランス人らしき女の子。
「日本人の子のほうは似合ってないよね」
隣で声がした。
なんてひどいことを言うのだろう! その女の子は白いワンピースがお気に入りの様子で 何度も何度もふわふわの裾を両手でつかんで おじぎしたり、スキップしたりしている。 あの子が着ると滑稽で、こっちの子が着ると天使みたい?? しばらく考えてしまった。 「似合っていない」 というのはもちろん失礼極まりない話だが いろいろと考えを廻らしてみると、 なるほどと納得のいく答えが出てきた。
ドレスやワンピースは、日本のものではないじゃないか。
もともとこういったいわゆる“洋服”のモデルは西洋人である。
外国にはお城があって、お姫様がいて、綺麗なドレス姿で 私はよく想いを馳せていたものである。 そういったものに日本人の姿形がフィットしないからといって 何も不思議なことなんてない。
逆を考えれば同じことだ。 日本人の着物姿よりも、外国人の着物姿のほうがしっくりくる なんて思う人はきっといないだろう。 そもそも着物は日本人の容姿を基準に その美しさをより引き立たせるように作られていているのだと昔教わった。
それぞれの国のトラディショナルなところで、 あなたは似合ってるとか合ってないというのは間違ってる。
日本に観光に来た外国人が着物や浴衣に袖をとおすのを見て 微笑ましいとか、なんだか嬉しいような気持ちになるのは 他国の人々も同じではないだろうか。 そう思うと、あの白いドレスではしゃいでいた女の子も きっとかわいらしく映っていたにちがいないのだ。