傘の下に隠れたふたりの身体は

雨が止んだら離れ離れになるわ

そんな薄っぺらいふたりの関係を

わたしは愛した、愛してしまったんだ

 
10月の雨の日、あなたはやさしかった
食の好みが合うことが分かった
暑くも寒くもない時期だったから
あなたはあまり覚えてないんでしょ?
雨が降っててよかった、と初めて思った
わたしの代わりに誰かが泣いた
 
傘の下に隠したふたりの日々も
雨が止んだら消えてしまうと思った
そんなちっぽけで安い思い出を
だれが美しいと言ってくれるだろう?
 
10月の雨の日、あなたはやさしかった
雨の日は泣いていいよ
雨か涙かわからなくなるから
雨が降っていると先が見えなくなる
それでもわたしはあなたのこと
すぐに見つけられるの
たとえ人込みの中でも
 
傘の下に隠したお互いの秘密を
雨が止んだらわたし大声で歌うわ
そしてその曲があなたに届けば
わたしはそれで充分なんだよ
 
傘の下で見つめ合った時に
初めてあなたに雨が似合うと思った
もうワンサイズ小さな傘に
しておけばよかったなぁ、なんて思った
 
いつかわたしに話した昔の思い出を
ほかのだれかにも話しているの?
雨が止んだら他人に戻るなんて
そんなの嫌だよ、雨よ止まないで!
 
傘の下に隠れたふたりの身体は
雨が止んだら離れ離れになるわ
そんな薄っぺらいふたりの関係を
わたしは愛した、愛してしまったんだ