過去編
「えっ…それ…冗談ですよ…ね?」
俺は耳を疑った。
あんな優しい人が 人を殺せ なんて言うのは 何かの冗談だと思った。
なのに…
「ははっ。私が 今、言った言葉は本当だよ。」
田中部長は、笑って答える。
俺は、まだ信じられない気持ちで、質問した。
「なぜ…松本さんを殺せだなんて…言うんですか…?」
「あぁ。それはね、松本の先輩、櫻井 翔という者がいてね。彼は とても優秀で、位も高い。松本より、私の娘には、その櫻井と付き合ってほしいんだよ。」
「だからって…殺す理由にはならないんじゃ…」
「いや。ある。瑠美は松本と付き合うと私に言った時、私は、松本より櫻井と付き合えと言ったんだ。しかし…瑠美は 泣きながら、嫌だというんだ。彼じゃなきゃ、生きていけないと。私は、わかった そこまで彼が好きならば、瑠美の好きにすればいいと言った…のに…。」
部長は そこでしばらく無言になり、怒りに満ちた顔になった。
そして、
「…なのに、彼は、私の憎きあの大野家の息子だったんだ…。」
「大野家…?」