昔っからハマっていた岡崎京子の「リバーズエッジ」が行定勲監督で映画化されるときいたのは、1ヶ月以上前のことだったと思う。勿論、納得できないわ、って思った。行定のセカチューはTVで観たことあるけど(ちゃんとしっかりとは観てない)、あんま好みの監督じゃないと思った。この人の仕事って良くない意味でのJ文学の映像化だよ、って偏見を持つに至ったんだよね、それで。
行定は納得いかない、やっぱ庵野秀明監督でしょー、「リバエ」(勝手に省略)映像化はー。あ、でもアタシ、庵野監督の実写ちゃんと観てないや、って思って「ラブ&ポップ」をYouTubeで観てみた。良かった。やっぱ庵野監督だわー、って思いました。私のお見立て捨てたもんじゃない!
「ヘルタースケルター」が蜷川実花なら「リバーズエッジ」は庵野秀明!!!と、またここで、「あっ🤭」……。アタシ、ニナミカは「さくらん」観たけど「ヘルスケ」(またもや勝手に省略)は観てないんだよ、実は……でも、今の時代にはYouTubeだなんて便利なモンがありました!「ヘルスケ」も勿論上がってましたよ。ハイ、これも観た、「ヘルスケ」もニナミカで正解!
「ヘルスケ」はニナミカで良かったんだから「リバエ」は庵野(アンヒデとは略さない)が良かったんだよ、やっぱり、と思ったら、また気づいたことがある。行定勲って、好みじゃないとか言いながらアタシちゃんと観てなかった……好みじゃない、だなんて、実は偏見でしかないんだよなー😓で、またもやYouTube劇場に向かいました。選んだのは加藤シゲアキ原作の「ピンクとグレー」。
で、どうだったかといえば……。
勿論、行定が「リバエ」なんて間違いだと思いましたよ。
クソだったから?
……いいえ!素晴らしかったですよ、「ピングレ」(これも勿論省略)は。行定(これもユキイサとは略さない)はこんなのがいいんだよ!こんなのがいいからこそ、「リバエ」は違うんだよ!!!
「リバエ」は葛藤しないからね。「ヘルスケ」も葛藤しない。オカキョーは葛藤のない作家。葛藤しないのにただただドタバタしてる。ニナミカも庵野も葛藤しない。それでドタバタのスケールがデカいから、わー、映像でオカキョー撮ったらこんななるんだー、凄ーい!!!となるのである。
でも、行定は葛藤から逃げない人なんだよ。

この映画の主人公河田大貴、愛称リバちゃん、私、最初、「何このクズ」って思いました。親友の鈴木信吾ことゴッチのことが好きな幼なじみのサリーに襲いかかるし(それレイプだし)、しかもサリーがそれ受け入れちゃうの、「ウソだろ、ヲイ。んなこと絶対ねえし。コラ、行定、ち〜が〜う〜だろ〜、このハゲー!!!」だったのですが、だんだん「リバちゃんさあー、あんた感謝しなー、サリーに。こんないい女いないよー」って感じになってくる。いや、リバちゃんクズですよ、確かに。でも、私、他人のこといえないんだわ。私も若い頃は欲望をコントロールするのド下手だったし、自分に激甘だった。いや、今でも相変わらず自分には激甘で我慢弱いけれども、若い頃はエネルギーが強かったからね。ホント、私、筋力があって性のポジティブである男に生まれなくて良かったと思いますよ。男だったら犯罪犯してると思うもん。だから、男として生きなきゃいけないリバちゃんの大変さはわかってやんなきゃ、って思わなきゃなんだよね。実際リバちゃんには痛いくらい共感した。事務所の社長小出水にリバちゃんが言われた言葉「お前、何も努力してねえもん」って、私も言われますよ、しょっ中!「努力」って何なんだよ?って真剣に悩んでます。「こうしてこうするのが努力です」って言ってくれよー、って思いますよ。その通りに「努力」するから、って。
だからリバちゃんは辛いんですよ、生きてるのが。でもねー、最後、ゴッチの亡霊に「リバちゃんは生きていたい人だから」って言われるの、だからリバちゃんは辛いんだ、葛藤してるんだ、って腑に落ちましたね。リバちゃんは人生を良いものだと思っているんですよ、もともと。でも、人生の方ではどこまでリバちゃんを愛してくれているのかわからないから辛いんです。そこで「そんなもん」って諦めることも出来ない。どうしようもなく人生を愛しているんですよ。「したいことをするんじゃなくて、出来ることをするんだ」と言っていたゴッチとはそこが違う。
行定勲は、惨めったらしく人生に片思いしている自覚を持っている人だった。人生への愛なんてちっとも美しくないことを知っている人だった。だからこそ、「ヘルスケ」より撮るべきものは他にあると思う。オカキョー作品には「人生」なんてないからね。

これ、ウィキペディアを見たところ、原作はまた違うみたいだ。「マグノリア」に影響された芸名(しかもダサい)だとか、「シャルロット・ゲンズブール似」だとか、なんか、いかにも意識高い系のガキが書いたみたいな作品なんだな、って思ったけれども、まあまだ未読だからこれもまた偏見なんだろう。原作の方もまた読んでみたい。
でも、映画は良かったから、ぜひ観てね!→https://youtu.be/EBEwuviHTa0