>オリジナルフルアルバム
>タイトル:事象の地平線
>アーティスト:神はサイコロを振らない
>リリース日:2022年 3月 2日
>記事作成日:2023年 7月 21日
聴きました!
“気分だけでもロッキン2023シリーズ”、その⑩。
幼児がいるので夏フェス自粛中ですが、気分だけでも味わいたい!という事で、まだ聴いた事のないアーティストの作品をチェックしているこのシリーズ。
今回は神サイ。
先に謝らなきゃなんですが…これまで、アルバムを聴いた事もないのに「神サイの音楽って…」みたいな事を分かった顔して口走っていた可能性があります!(笑)。 今回確認して分かったんだけど…どうやら、シングル曲は何曲か“単品”で聴いた事があったけど、アルバムを通しで聴いた事がなかったみたい。聴いた事がある認識で、喋ってた記憶があります…。
という事で、“ちゃんと”聴くのは初めてであります!
『イリーガル・ゲーム』
まぁ、何曲かは聴いた事があるし、何ならアルバムの1枚や2枚は聴いた事があるつもりでいたので(笑)、特に「なるほどこういう音楽性だったのね」みたいな驚きはないけども…。
ストリングスもふんだんに使った、小洒落た感の強いロックチューン。
『タイムファクター』
アレンジが、結構好き。キレのある演奏陣と、と滑らかなメロディラインとの対比が良い感じ。ある意味でソリッドな曲であり、別の意味ではしっとりとした曲とも言える。
『巡る巡る』
ここまで来ると、ちょっとK-POP的な雰囲気もあるかも。オーソドックスな4人編成のバンドだと思いますが、バンドの曲というよりはダンスボーカルユニットの曲っぽいテイスト。
『初恋』
アユニ・Dさんとヨルシカのn-bunaさんを迎えての曲。アユニ・DさんってつまりPEDROさんですよね⁉︎ 何曲かしか聴いた事がありませんが、むしろ客演として参加しているこの曲のほうが、ボーカルスタイルと雰囲気がマッチしているような気も。もちろん、プロのボーカリストとして、この曲の世界観に意図的に“寄せてる”のでしょうけれども。
『飛沫花火』
いやもう…新型コロナのせいで、“飛沫”って単語に嫌悪感しか抱けなくなりましたよ(苦笑)。コロナこのヤロウ。
非常に淡く、感傷的で、そしてドラマチックなミドルバラード。ほんと、“飛沫”のくだりが無ければもっと没入出来たろうに…。
切ないサマーチューン。
『LOVE』
イントロから既に、キャッチー100%。聴いてると、程よく心が軽くなる。ホント、ふわふわ浮き足立つようなものではなく、あくまでも足取りが軽くなる程度の、無理のないポップネス。最近の音楽(「この方々の」という事ではなく、全般的に)って、泣かせる曲は号泣を狙うし、楽しい曲はクスリをキメるレベルで飛ばそうとするし、怒れる曲は聴いてるだけで疲れるくらいに怒気を孕んでるし…どの方向にしても、やりすぎなのが多いんですよねぇ。この曲くらい、無理のない範囲で気分を軽くしてくれる曲というのは、貴重でありありがたい。
『1on1』
爽快なアッパーチューン。透明感があるというか。夏に頭から水をぶっかけるような(笑)。
張らないというか、あくまでスタイリッシュさ優先のボーカルスタイルも、こういう曲にめっちゃ映えてる。
『愛のけだもの』
同じく今年の“気分だけでもロッキンシリーズ”で初めて聴いたキタニタツヤさんとのコラボ曲。
ここで再び、バンドサウンドが前に出た音に。パワーコードでガーッとやる感じの厚いロックンロールとはまた違うんだけど、ベースが聴いてて、それがグラマラスでセクシーで凄くかっこいい。
2人のボーカルが、絡み合いながらもガチンコでぶつかり合ってるようなツインボーカルスタイルも、聴き応え抜群。
『遺言状』
しんみりしてるのかと思ったら、グロい程ゴツゴツしとる(褒め言葉)。例えば近年のスガシカオさんの作風みたいな、独特なアレンジ。武骨なのに、スタイリッシュ。
オケに聴き入っちゃうなぁ。
『徒夢の中で』
“あだゆめ”って漢字でこう書く事を、今回初めて知る。
まさに徒夢のイメージにぴったり、儚くて切なくて繊細な雰囲気の曲。多分、ブレスの音とかも敢えて入れてるんだろうけど、そういう音なんかも聴こえてくる事で、エモーショナル度が2割程度増量中。
『あなただけ』
更にメロウに、更に繊細に。でも、サビのメロディにはぬくもりと懐の深さがあって、だから聴いた後に寂しい気持ちにはならないバラード。
『クロノグラフ彗星』
久しぶりのアッパーチューン…とは言っても、バラードは2曲しか続いてないので、別に言う程“久しぶり”でもないんだけど。でも、この曲に“久しぶり感”を覚えた事が、前の2曲のどっぷりバラードがいかに存在感を帯びていたかという事の証左になりますな。
『少年よ永遠に』
冒頭のドラムスの感じに、なんか80年代後半〜90年代前半のバンドの音を感じた。初期のB'zとか? アレンジがっていうよりも、音の“鳴り方”的に。
『目蓋』
“柔らかい”曲。ウィスパーボイスもそうだし、ピアノメインのトラックメイクもそうだし。そして、晴れた日曜の午後の公園みたいな、小鳥のさえずりも聴こえて来る。孤独感を描いた歌詞に聴こえるけど、でも不思議と安心感を覚えるなぁ。この感じ、好き。なんというか、自分の嫌いなところを、“好きになる”じゃなくて“嫌いなままで良い”と思えるような。
『導火線』
前曲で終わったらアルバムとしておさまりが良いような気もしたけど、まだまだまだ終わらない(本作は20曲入り)。仕切り直し感というか、空気をガラリと変えてアシッドでアッパーなこの曲へ。
Kroiとかあの辺りを彷彿とさせる、ミクスチャーロック感。
『パーフェクト・ルーキーズ』
プレイで魅せてくれる曲。各パートが、己のスキルを見せつけてくる感じ。手数が多く、音数が多く、情報量が多い。
ひたすらかっこいい曲。ボーカルラインもかっこいい。
『夜永唄(Unplugged 2022)』
近年のアーティストは、代表曲のリアレンジバージョンを次のアルバムにも入れてきますよね。ぶっちゃけ、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、あざとs
『プラトニック・ラブ』
うーん…良い曲なんですよ。良い曲なんだけど…アルバムがボリューミー過ぎて、なんかちょっと新鮮味を持って聴きづらいというか…。
切なくも美しいバラード。
…“切なくも美しい”という形容が似合う曲が、アルバムの中に結構な数あって。
『未来永劫』
ハイライト感の強い、爽やかでスケールの大きな曲。ロックバラードと言って良いのかな…うん、厚みも勢いもあるけど、この曲はバラードとしておくのがぼくは一番しっくり来ます。
『僕だけが失敗作みたいで』
個人的には、今は、あまりネガティブな気持ちでこのアルバムを聴き終えたくなかったんだけどな。10代後半から20代前半くらいなのかな、劣等感と不安に押し潰されそうになりながら、一人暮らしの六畳間で悶々としていたあの時代の感覚を、ありありと思い出させてくれる(笑)。
そんな、計20曲。
フィジカルでは、『徒夢の中で』までで区切られた2枚組だそうで。これはフィジカルで聴くべきだったなぁ…サブスクでは20曲がぶっつづけなので、正直ちょっとボリューミー過ぎて、後半は集中力が続かなかった。
中身について。
バンドに対するイメージとしては、『タイムファクター』みたいなトレンドに乗っかった曲をひたすら量産するバンドなんだと思ってたんです、正直(ごめんなさい)。でも、そんなぼくの失礼な認識をよそに、幅広いバリエーションを楽しめました。例えば平井大さんのようなメロウなラブソングもあれば、バンプのように哲学的な歌詞を楽しめる曲もあり、90年代J-POPの系譜を受け継ぐような分かりやすいポップロックもあった。
一方で、特にバラードには、歌詞(ストーリーテリング)にもうちょっと球種が欲しくはありました。悲しくないバラードとか、切なくないバラードとか、そういうのも全然アリだと思うのですよ。
もちろん、バンドにはバンドのポリシーがありましょうし、古参ファンには古参ファンの楽しみ方がありましょうし、アルバム1作聴いたぼくみたいな奴がとやかく言う部分じゃないんでしょうけどね。
ロッキンだったら…申し訳ないけどパスかなぁ。
お気に入りは、
#05 『飛沫花火』
#06 『LOVE』
#08 『愛のけだもの』
#09 『遺言状』
#10 『徒夢の中で』
この作品が好きなら、
・『Wonderland』/Novelbright
・『はじめてのはじまり』/感覚ピエロ
・『多面態』/Tani Yuuki
などもいかがでしょうか。
サブスクにあれば聴くかな…レベル(^_^;)
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