>オリジナルフルアルバム
>タイトル:WHOOPEE
>アーティスト:礼賛
>リリース日:2023年 1月 18日
>記事作成日:2023年 3月 13日
聴きました!
先日、たまたま通りかかったテレビから流れていたのが、この人たちの音楽。カッコいいなぁ〜と思って検索してみたら“礼賛”というバンドで、何とお笑いコンビのラランドのサーヤさんを中心に川谷絵音さん界隈が参加してるとの事で。かなりびっくり。
地上波テレビを見なくなっちゃったのでラランドさんのネタは拝見した事が無いのですが…『内村さまぁ〜ず』でベテラン相手に物怖じせずやりとりしている姿にすごいなーと思い、またご自身の熱愛報道が出た時の切り返しがめっちゃ面白くて、ちょっと気になる人だったんですよねー。それが、こういうカタチで動向を知る事になり。やっぱこの人、タダモノではないな。
『TRUMAN』
のっけから、休日課長さんのベースがブリッブリになってて、絵音さんの神経質なのにダイナミックなギターが重なって…でも、“本業”の方々を差し置いて、サーヤさんのラップ&ボーカルが曲を完全に掌握している。こんなにもメイン感が無い絵音さんに、新鮮味を覚えるほど(笑)。
ただただひたすらにカッコいい曲(この曲に限らずなんですが)。
『Damn it!』
この曲では、演奏陣がちゃんと前に出ていてよかった(笑)。“サーヤとその仲間たち”ではなく、対等な存在感です。
サーヤさんのメロディアスなラップと、それと同じくらいにメロディアスな演奏陣。全パートがフルスロットル。
『愚弄』
本作収録曲の中でも、特にラップ感が強いですね。もちろんメロディアスでもあるんだけど、ビートを掴んで乗っかって波乗りしてる感じ。非常にグルーヴィ。
多分、ラランドというお笑いコンビを知ってれば、このリリックにもっと面白味を感じられたんだろうなぁ。
『橋は焼かれた』
キラーフレーズが盛り沢山。まぁ、一部は“©︎しむらけん”だけど(笑)。どんだけカッコいい変なおじさんだよ!
メロディアスなラップの感じに川谷絵音感を覚えもするけど、でもコンポーザーもサーヤさんなんですよね。すげぇとしか言えん。
『Take It Easy』
この曲は、オケが好きだなぁ。イントロの時点で、完全に引き込まれる。間違いなくシーンの最先端に位置する洒脱なアレンジなんだけど、90年代J-POPのような圧倒的なキャッチーさもあり、ゼロ年代に隆盛を極めたミクスチャーロックの趣もあり、だけどやっぱり20年代(つまり最先端)の洒脱さで溢れてる。
『バイバイ』
本作屈指の歌モノ。リズムを掴んで言葉を乗せて…っていうラップのスキルも凄いけど、コンポーザーとしての才能も物凄いなぁ。
まるで歌謡曲のような、適度に香る感傷がいい。ドライでクールな空気と、ウェッティで感傷的な空気とが奇跡的に同居。
『Parasite』
ガッツリ歌モノのあとはゴリゴリのラップ。そして、ブリブリのバンドサウンド。どの曲も雰囲気には統一感があるのに、同時に曲ごとに“キャラ立ち”もしている。
『Mine』
前曲とは全然別角度から、だけどやっぱりゴリゴリのラップチューン。
いやマジで…専業歌手、しかも既に「今回で6枚目のアルバムです」みたいなベテラン感。もちろん、(多分絵音さんを中心としているのであろう)演奏陣の経験値がモノを言ってる部分もあるんだとは思うけど…とにかく安定感がある。それは“守りに入ってる”“面白味に欠ける”という話ではなくて、“土台がしっかりしているからこそ存分に遊べる”の域という意味です。
『Monet Magic』
強いメッセージ性のある曲。それを素直に受け取って自分を鼓舞するもよし、“そういうボケ”と捉えて楽しむもよし。とにかく、ぼくはリリックが好きですね。
『NO SWEAT』
この曲は、オケに聴き応えがある。休日課長さんの醸し出すグルーヴ感を軸として、すべてのパートが、何というか…スウィングしている。いい音質で、いいプレイが波状攻撃で迫ってくる。幸福な総攻撃の被弾。
『U』
勿論ラップしてるんだけど、同じくらいにR&B感もある。ブラックミュージックの匂いを感じさせる、いい意味で重みのある音。ギターを中心に、結構アクティブでアグレッシブなんだけれども、でも重厚感というか重みがある。
そんな、計11曲。
折に触れて言ってきましたが…ぼくは、タレントさんの音楽活動に良い印象が無いんです。受動的に片手間でやっていたり、本業のほうの知名度で音楽を売ろうとしていたり…純粋に「音楽をやりたい」じゃない出発点だったり、音楽じゃないものを使って音楽の評価を得ようとしているように見えて。特にバラエティタレントさんや芸人さんが音楽をやる時って、真面目な音楽だとしても「“本業はコメディアンなのに”カッコいい音楽でしょ?」みたいな、ちょっと一旦ハードルを下げるところから入ってる場合が多い気がして(インタビューを読んだりして実際に感じた事ではありますが、ぼくの勝手な印象でしかないのも事実です)。
でも、本作を聴いて思ったのは、「コレ、ガチなヤツだ」って事(笑)。「“芸人なのに”カッコいいでしょ?」ではなく、ただひたすらに純粋に「カッコいいでしょ?」の域でやってる。これももちろんぼくの主観でしかないので、エビデンスだのロジックだのはそこには無いですけども(ぼくがそう思ったんだから、それがぼくにとっての正解)。
やはりサーヤさん、とんでもねーな。すごく器用な人という印象…でも、近年、器用過ぎる人はアンチも多くなる傾向にありますからねぇ、“雑音”は耳に入れずに頑張って欲しいもの。
あと、冒頭でも触れましたが…“絵音色”の薄さね(笑)。いや、アレンジなんかにはもう確実に、如実に、露骨に、“絵音色”は出てるんですよ。出ているんだけど…MCの存在感があまりにも強いために、相対的に“絵音色”が薄いように聴こえるというお話。“絵音と愉快な仲間たち”じゃなくて、“○○と愉快な仲間たち”の仲間たちのほうに入っている絵音さんが新鮮で、なんか面白かったっす。
本体Mr.Childrenでならあんなにも圧倒的な存在感とカリスマ性を発揮する桜井さんが、ap bank fesでの“Bank Band・櫻井和寿”としてはゲストアーティストを立ててサブに徹していた、あの面白さと新鮮さに近い。
お気に入りは、
#01 『TRUMAN』
#02 『Damn it!』
#05 『Take It Easy』
#06 『バイバイ』
#08 『Mine』
#10 『NO SWEAT』
この作品が好きなら、
・『mixtape』/Chilli Beans.
・『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』/NakamuraEmi
・『ジェニースター』/ジェニーハイ
などもいかがでしょうか。
CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/
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