>カバーアルバム
>タイトル:COVERS -WOMAN & MAN-
>アーティスト:加藤ミリヤ
>リリース日:2020年 11月 25日
>記事作成日:2021年 2月 5日
聴きました!
…なんか、アートワークがスゲーな。紅白における小林幸子さんを思い浮かべてしまった(笑)
初のカバーアルバムだとの事。なんか、好きな曲がいっぱいラインナップされていたので、聴いてみました。
二枚組で、1枚目は女性の歌、2枚目は男性の歌。
Disc 1、『-WOMAN-』から。
『本能』
椎名林檎さんの曲。
オリジナルのこの曲を出した頃の林檎さん…ちょっと色モノ的ですらあったあの強烈なキャラクターを、そのまま再現したような曲。ドスの効いたあの感じを。
アレンジにしろ歌い方にしろ、だいぶ本家に寄せている印象。
『Can You Keep A Secret?』
ガットギターのメロディラインからコーラスワークに至るまで、これまたオリジナルに忠実ですね。歌い方も、今度は本家の宇多田ヒカルさんに寄せている感じがする。
『Don't wanna cry』
安室ちゃん! アレンジは、少しオリジナル要素が増したかな。“音符の並び”は基本的に一緒な気がするんだけど、ウーファーが効いてちょっとブラックミュージック要素が増した感じに聴こえます。
アレンジにオリジナル要素が増えたからか、ボーカルの「本家に寄せてます感」がより鮮明になった気が…。
『そばにいるね』
青山テルマさんがメインのほうの曲ですね。
オリジナルのリリース当時から気になってたんだけど、メロディへの言葉の充て方が無理矢理な箇所が、何ヶ所かありますよね。この加藤ミリヤさんというボーカリストさんは凄く滑舌が良いと思うので、無理矢理感が逆に際立って聴こえました(これは加藤さんのせいでは一切なく)。
『STARS』
中島美嘉さんの名バラード。
昔、濃い顔の人の事を“ソース顔”、薄い顔立ちの人を“しょうゆ顔”なんて言ったそうなんですが…ボーカリストさんの歌声(歌い方ではなく声そのものの佇まい)にも同じように系統がある気がして。中島美嘉さんにせよ、加藤ミリヤさんにせよ、“しょうゆ声”な気がするんですよね(笑) 何が言いたいかって言うと、この『STARS』という曲は“しょうゆ声”との相性が抜群に良いという事。
『TAKE BACK』
ぼくはオリジナルを拝聴した事がないのですが、倖田來未さんの曲だそうです。本作の中で唯一の“オリジナルを知らない曲”なんですが…フツーにカッコいいですね。多分、「オリジナルと比較して…」とか「本家のボーカルに比べて…」とかそういうナナメからの聴き方をしなければ、本作はきっと素晴らしいカバー作品集なんだと思います。ぼくは、元から好きな曲が多かったというのもあってどうしてもナナメから聴いてしまって…。
『強く儚い者たち』
Disc 1のラストは、Coccoさんの大名曲。
やっぱり、アレンジはオリジナルを踏襲するんですね…。ここまで、アルバム全体の半分聴いたところでもまだ、加藤ミリヤさんというボーカリストさんの“素のスタイル”ってのが見えてこない気が…。
続いてDisc 2、男性アーティストの曲編。
『Teenage Forever』
King Gnuさんの曲。King Gnu作品は、King Gnuさんがやらないと成立しないような気がしていましたが、こちらのバージョンも意外と(?)良いですね。さすがにオリジナルのあのアレンジをそのまま踏襲するのはしっくり来なかったのか、だいぶオリジナル要素の強いアレンジになってます。うん、そのほうが良いよ。男歌なので原曲とはキーも違うし…やはり、“上手なカラオケ”ではなく“カバー” “トリビュート”を目指すなら、オリジナル要素は必須だとぼくは思う。そこにリスペクトが感じられたならなお良し。
『花束のかわりにメロディーを』
ミリショーの相方の曲(笑)
ピアノのみという編成の、シンプルなアレンジが印象的。ピアノがあまりにも華やかで、華やかなのに切なくて…だから、シンプルな編成なんだけれどもオリジナルと同等の聴き応えがある仕上がりに。
『優しさ』
旬の藤井風さんの曲。
ビートが効いた、だいぶビターな仕上がりですね。藤井さんが放つビター加減とはまた違った苦味。こっちのほうが彫りが深いというか。
『花束のー』とはまた全然雰囲気の異なる、でも同じくらい存在感があるピアノが良いです。しっとり。
『me me she』
この曲は、“作り手以外の人によるカバー”くらいのほうがちょうど良いのかも。それくらいの距離感のほうが、女々しい具合が和らいで良い。RADWIMPS野田さん(=直接の作り手)が歌ってるほうは、ちょっと堪えられないくらいの女々しさがズシンと来るので(笑)
敢えて低いキーで歌ってるあたりも、扇情感が薄まってGood。
『BABY BABY』
ガットギター(多分)による、重厚感のある音が特徴的。フラメンコみたいにパッショナブルな音が、でもあくまでも落ち着きと哀愁とを湛えながら響いてきます。
曲としては大好きになった反面、すげー細かい事が気になっちゃったんだけど…“オリジナル=銀杏BOYZ”っていう扱いなんですよね。でも、ミリヤさんver.のこの収まりの良さ、まとまり具合、“整理整頓”のされ具合は、ぼくにはどうしてもGOING STEADYバージョンの『BABY BABY』のソレに聴こえる訳ですよ。銀杏のほうはもっと衝動的かつ刹那的で、勢いに任せた崩れ具合が魅力のように感じる。この“整った” “聴き易さ”はゴイステver.のものにしか思えないんだけども「銀杏のカバー」とは、これいかに(笑)
でも、凄い好き。
『いかれたBaby』
フィッシュマンズ…でもぼくは、ぶっちゃけ、山崎まさよしさんver.のほうの印象が強い曲なんですが。
都会的でなおかつアダルティな、凄く上質で滑らかな雰囲気のカバーですね。グッと対象年齢が上がった感じというか。
『百合の咲く場所で』
まさかのDragon Ash、まさかのこの曲。Disc 1のほうは正直予定調和的な選曲だなぁと感じてたんですが、Disc 2は選曲からしてめっちゃ攻めてる!
こんなに落ち着いたテンションでラップする感じ、なんか新鮮。質感的にはオーバーグラウンド感が強いんだけど、ラップのキレ的にはアンダーグラウンドっぽいマニアックさを感じる。今回のこのバージョンを通じて、kjさんのラップの凄さ(凄さというか、“ぼく好み”な感じ)を改めて知らしめられた感じ。
オリジナルの、サビで一気にフルスロットルになる感じもたまらなく好きだけど、サビも含めてチルってる感じのこっちのver.も凄く好きになりました。
『OH MY LITTLE GIRL』
ラストは尾崎! なんか、“世代”とは少しズレてるはずのミリヤさんくらいの世代のアーティストが、何故かこそってカバーする印象がある尾崎。なんか、現在の“中堅世代”にヒットする特別な要素でもあるんですかね?
オケ的には、もう、大胆なアレンジが加えられている。いっそ清々しい。つくづく、「Disc 1でもそれくらい大胆にやっちゃえば良かったのに」と思います。ぼくは本作の背景を知らずに音だけ聴いてるんですが、「Disc 1は原作に忠実に、Disc 2はオリジナリティを優先に」とかそういう使い分けとかでもあるんですかね?
そんな、2枚組計14曲。
Disc 1を最初に聴いた時点では、正直、「一回聴けば充分かな…」と思ってしまいました。あまりにもオリジナルに忠実過ぎて、面白味に欠けると感じてしまったんですね。一概に「オリジナルに忠実だからやっつけ仕事だ」とか「アレンジされた要素が多いから手が込んでる」とか言うつもりも無いんですが、もうほんと、シンプルに、「面白味がないな」と。「これならじゃあオリジナルのほうを聴きますので」と。そこまで思っちゃいました。
なもんで、危うくDisc 2のほうまで聴くのをやめちゃおうかとすら思ったんですが…結果的に、ちゃんと聴いて良かった(笑) ぼくは、Disc 2のほうは中々好きでしたねぇ。アレンジがバリエーション豊かで、そこが良かった。基本的にミリヤさんのボーカルに対するアプローチってのはどの曲にもそう変化はなくて、そういう意味では少し物足りなさも無くはなかったんですが…逆に言うと、個性的な各曲のアレンジを、そしてプレイを、存分に楽しむ事が出来ました。
お気に入りは、
○Disc 1
#06 『TAKE BACK』
○Disc 2
#01 『Teenage Forever』
#05 『BABY BABY』
#06 『いかれたBaby』
#07 『百合の咲く場所で』
この作品が好きなら、
・『COVERS』/BENI
・『I AM GILLE.』/GILLE
・『平成ラブソングカバーズ』/May J
などもいかがでしょうか。
サブスクにあれば聴くかな…レベル(^_^;)
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