>オリジナルミニアルバム
>タイトル:THIS IS MUSIC
>アーティスト:大橋トリオ
>リリース日:2008年 11月 5日
>記事作成日:2021年 1月 3日





久しぶりに聴きました!

ぼく的に、秋になると聴きたくなるアーティストさん。アコースティックでウッディなサウンドには、穏やかな秋の午後の景色がよく似合う。木漏れ日の温もりと、少しだけ冷たい風と。



『Happy Trail』
開放感溢れる曲。旅の匂いがしますね。分刻みでスケジューリングされた“旅行”ではなくて、気の向くままに進んでいく“旅”。ジェット機や新幹線のスピード感ではなく、各駅停車の日常感とも違う。例えるならば、特急スペーシアとか箱根ロマンスカーとかくらいの感覚でしょうか(笑)
バンジョーでしょうか、ユーモラスな弦楽器が適度なリズム感を与えていて、乾いているのにしっとり感もあるピアノと絶妙なハーモニーを奏でている。

『The Music Around Me』
ジャジーな味わいの、軽快な曲。
ぼくは普段、英詞の曲って「なに歌ってるか分かんないから感情移入出来なくて好きじゃない」とか思いがちなんですが…この曲は(というか大橋トリオさんの英詞曲は全般に)、英詞でも楽しみがまったく減らない。なぜなら、綿密に作り込まれた(それなのにユーモアもある)サウンドが存分に堪能出来るから。この人の音楽には深みがあって、例えるならばインスト作品を楽しむようにサウンドを楽しめるんですよね(もちろん、「ボーカルいらね」とかそういう話じゃないですよ!)。

『We're Wating』
エレピがあまりにも妖艶過ぎて、ちょっと昭和のムード歌謡的ですらあるように感じました(笑) そのくらいに、独特の雰囲気がある曲。
でも、サビのキャッチーさとかは、もう「さすが大橋好規!」としか言えない。

『そんなことがすてきです。』
英詞&英語タイトルのシャレオツな曲が続いたあとに、分かり易過ぎるくらいに分かり易い日本語(平仮名!)をタイトルに据えた曲へ。
タイトルだけでなく、歌詞全体に関して、非常にストレートで分かり易い表現でしたためられていて、なんかもう胸を突かれる感じ。愛がいっぱい。恋愛ってのよりももっともっと大きな、愛。
ぼくも一緒です! 「そんな些細な事」に幸せを感じる毎日です!!

『The Ride』
散歩くらいのテンポ感の、小気味の良いポップチューン。
こちらはドラムスが素敵。ブラシスティックでしょうか、柔らかな音色が優しくも彫りが深く響いてきます。

『Juradira』
これもまた…深みのあるリズム隊とシルキーなピアノとが沁みてくる柔らかいバラード。このアルバムの前半は、秋の木漏れ日がよく似合う空気感でしたが、この曲なんかは静かな夜更けのような雰囲気。ホットワインでも飲みながら、お気に入りの本を読みふけりながら聴きたいです。
あったかい気持ちになるのに、同時に苦しい程切なくもなる。

『Things Have Changed』
これもまた…もう、「これもまた…」しか言ってない(笑) 繰り出される曲繰り出される曲、いちいちため息が出る程素晴らしいんだもん。
しかしこれは…冒頭の声が、通常の大橋さんと違い過ぎてビビる。「これ、ゲストボーカル…⁉︎」って思った…というか現時点でもまだちょっと思ってる。

『Blues in June』
正にブルージーな曲。渋くて、そこはかとなく妖しげで、アダルティな妖艶さにトロけてしまいます。本作収録のどの曲よりも独特で、異彩を放ってる。この曲で終わるっていう事に、ある種の非凡さを感じますよね。“普通”で言ったら、“らしい”曲で終わるのがセオリーでしょうに。そういうセンスも含めて、好きです。



そんな、計8曲。

繰り返し聴いても一切飽きる事のないアーティスト・大橋トリオ。本当に、このアルバムも何度聴いた事か。それでも、今回改めて聴いたら初めて気づく発見がある。
このご時世っていうのもあるのかな。アレンジやプレイに、良い意味での“隙間”があって…キリキリと追い詰められたり追いかけられたりする感覚のない、ゆったりした音楽なんですよねぇ。でも一曲一曲にちゃんと個性と独立した世界観もあって。聴き応えがあるのに“聴き疲れ”のない、絶妙過ぎる程に絶妙なバランス。

“芸術”って、きっとこういうヤツの事を言うんだと思います。センスという名のふわっふわの丸太で、ぶん殴られる感じ(笑) 優しい衝撃。甘い爆発。





お気に入りは、
#01 『Happy Trail』
#04 『そんなことがすてきです。』
#06 『Juradira』
#07 『Things Have Changed』
#08 『Blues in June』





この作品が好きなら、
・『エンドロールEP』/秦基博
・『OAU』/OAU
・『23区』/bonobos
などもいかがでしょうか。





CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/










ぼくの、もう1つのブログもご贔屓に!