>オリジナルフルアルバム
>タイトル:FAMILY
>アーティスト:スガシカオ
>リリース日:1998年 6月 24日
>記事作成日:2020年 5月 7日





久しぶりに聴きました!

スガシカオさんの、メジャー2nd.アルバム。
え、これ、98年なの⁉︎    20年以上前じゃん!!びっくり。とは言っても、確かぼくはこの作品はリアルタイムでは聴いてない。アーティスト名くらいは存じ上げてた気がしますが…多分、「オトナが聴く、ビターで渋い音楽に違いない」と思って手を出さずにいた気がする(笑)



『日曜日の午後』
なぜ、このヒリヒリする程ソリッドで毒っけのある曲に『日曜日の午後』なんて牧歌的なタイトルが付けられるのか(笑) この時点ですでに、スガシカオはぼくの想像を超えている。

『ストーリー』
これは、『ap bank fes』で櫻井和寿さんとのツインボーカルスタイルで披露した姿が強烈に印象に残ってるなぁ。壮絶にカッコ良かった…。
でも、こちらのオリジナルも、凄くカッコいい。「カッコいい」の種類が違うというか…こちらはもっと、孤高の感じというか。ハングリー感が強いというか。『apー』にはメインストリーム感があるけど、こちらはどこかカウンターとしての佇まいが強い気がして。

『愛について』
決して、愛とはつまりなんなのかなんていうご高説を披露するようなありきたりな歌詞ではない。むしろ、やがて愛について語り合えるようになった時を想像する歌。しかし…もちろん、それを上手に語り合える関係というのも素晴らしいんだろうけど、そんな日を思い描いて不器用ながらに生きる今にこそ、愛おしさを感じたりもする。

『ひとりごと』
冒頭のイントロからして、既に圧倒的な哀愁を醸し出している。
割とストレートな事を言ってる歌詞なんだけれども、何故だかとてもシニカルに聴こえてしまうというスガシカオマジック(?)が炸裂している曲。「おざなりな事」とかを、自分から言っちゃうからなんでしょうかねー。
この時期のスガさん特有のそのシニカルさと、普遍性の高いアレンジとの相性が不思議と良い。

『たいくつ/ゆううつ』
以前どこかで桜井さんが絶賛していた歌詞。ほんと、エグい。R-20指定です…いや、20歳やそこらじゃ、この歌詞の本当の意味のエグさには気付けないだろうから指定不要なのかも(笑)
何となくのイメージだけど…スガさん、例えば骨が見えちゃうような深い傷が出来たら、その骨を目視しようとするタイプなんじゃないかな(笑) 痛いもの、嫌なもの、都合の悪いものを、見て見ぬフリをするんじゃなくて執拗に探って探って探って理解しようとするタイプ(それを“S”と呼ぶべきなのか“M”と呼ぶべきなのか、ぼくにはもう分からないけれども)。そんなエグさと(ある意味での)真摯さが、溢れ出ている曲。

『リンゴ・ジュース』
これまた、タイトルから受けるイメージと実際の曲の世界観に圧倒的なギャップを感じる曲。予想を裏切られ過ぎて、もはや裏切られてるのかどうかすら分からん(笑) リンゴジュースのイメージのほうが間違ってんじゃねーのか?って、そうとすら思ってしまう。
ここまで、歌詞の独創性に圧倒される感じが続いてきましたが、サウンド(アレンジ)面でも鮮烈な個性を放っている事に気づかされる曲でもある。

『ハッピーバースデー』
いっとき、こればっかり聴いてた時期がある。病んでたんでしょうな(笑)
元々は杏子姐さんへの提供曲なんですよね。
よく聴いていた割に、長らく、この歌詞の意味が分からないままだったんです(読解力が無いので)。でも、ふと聴き直した瞬間に思ったのは、お別れした人への想いを込めたメッセージなのかなって。そう捉えると、『ハッピーバースデー』という言葉にあまりにも重層的で複雑な感情が籠もっているように聴こえてきて、改めてグッとくる。そうだよな、「あの人」にとっては「ハッピーバースデー」なのかもしれませんからね。次は主人公自身に、新たな「ハッピーバースデー」が訪れますように。

『このところ ちょっと』
カラフルなポップチューン。いや、歌詞的には、ある意味で本作中最も不穏なんですけどね(笑)
これは、『午後のパレード』辺りの“キャッチーシカオ”路線の芽生えみたいな曲調。

『バクダン・ジュース』
ファンクが炸裂。妖しげなエレピに、毒々しいギターに、やたらと艶めかしいコーラスに、病的なボーカル。この変態的なグルーヴは、きっと狙って出せるもんじゃない。スガさんが生来持つものが、滲み出たのではないかと。
ゾクゾクします。

『お別れにむけて』。
ラストは、一気にミニマムなスケール感になって。アコギ一本でも歌えるだろうなってくらいにシンプルな曲。実際にはバンドもブラスも入った華やかな編成ではあるんだけど、過度な演出はなくて、あくまでも淡々と進んでいく曲。
歌詞については、やはり具体的な言及がある訳ではなく、聴き手の解釈に委ねられる感じ。ぼくは、身勝手な判断で疎遠になってしまった隣人を思い出します。自分が病気になったから。別に興味がある事をみつけて没頭してしまったから。自分の至らなさで気まずくなってしまったから。などなど…あらゆる理由で、疎遠になってしまった人たち。その人たちに対して、申し訳ない気持ちで、そして幸福を祈る気持ちでこの曲を聴いてしまいます。そして苦しくなります。
でも、この曲が、下手に希望や“答え”を示さずに終えてくれる事が、ある意味ですくいになったりもしていて。



そんな、計10曲。

相対的に見れば、地味なアルバムだと思います。サウンドからは毒っ気がありありと伝わってくるけれども、アルバムとして放つ雰囲気にはどこか内向的で重苦しい鈍色の光を感じるのです。
しかし一方で、「鈍色だろうが、光は光」というか…七色に輝くそれとは違うけれども、決して“ただの灰色”ではなくて、こちら(聴き手)に向かって放たれてくるエネルギーというものは確かにあって。

きっと『PARADE』から入って遡ったような人には、意外極まりないアルバムなんじゃないかと思います。でも、これはこれで、もの凄く素晴らしいアルバム。





お気に入りは、
#02 『ストーリー』
#03 『愛について』
#04 『ひとりごと』
#05 『たいくつ/ゆううつ』
#07 『ハッピーバースデー』
#10 『お別れにむけて』





この作品が好きなら、
・『Stray Dogs』/七尾旅人
・『SHEEP』/山崎まさよし
・『呼吸』/Lily Chou-Chou
などもいかがでしょうか。





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