>LIVEの感想
>アーティスト:OAU
>公演名:OAU Tour 2019 「Better Life」
>参戦日:2019年 12月 5日 (木)
>会場:東京国際フォーラム・ホールC





行ってきました!

初OAU!
いやぁ、行ってよかった…。素晴らしいライブでした。しかも、こういうサウンドのバンドの初ライブを東京国際フォーラムという場所で聴けたのも良かった…音が凄い良かった。



定刻を少し過ぎたところで客電が落ち、まだ場内BGMが流れているうちにメンバーさんが出てきてTOSHI-LOWさんが喋り始める…なんか、凄くフランクというか、日常の延長線上って感じでライブがスタート。
最初の曲前のMCでTOSHI-LOWさんがお話しされていた、「“Better Life”ってなんだろう?」という話。このライブでは、OAUの音楽を体感しながら、ぼくなりのBetter Lifeを見つける時間でもありました。

そんな流れで、『A Better Life』から開始。もう、最初から、その躍動感のあるアコースティックサウンドに圧倒される。国際フォーラムの“雑味”の少ない音で聴けるこのサウンドに、鳥肌モノ。
そして、それに続く、Martinさんの伸びやかな歌声が心地良い『Midnight Sun』も良かった。TOSHI-LOWさんとのハーモニーにはスタジオ音源よりも“厚み”が感じられて、よりタフな雰囲気の強い曲になっていたように聴こえました。

「ファイナルなのに何も考えてない」らしいMartinさん中心のMCを挟んで、『A Strait Gate』『Americana』『Black and Blue Morning』『All I Need』『Thank You』を。この辺は、Martinさんの野太いのにしなやかな歌声が存分に堪能出来るパートでしたね。
『Americana』は、渋みのあるボーカルもさる事ながら、演奏に圧倒されました。地を這うように分厚いリズム楽器勢と、華やかだけど落ち着きもあるウワモノ勢との掛け合いが最高にカッコ良かったです。しかし、TOSHI-LOWさんも言ってたけど、あそこまで速くする必要があるのか(笑)
ちょうどライブ当日の朝に聴いて改めて「いいなぁ」と思っていた『Black and Blue Morning』もやってくれた。軽やかな3連のリズムに、ぼくの心も軽やかになっていくのが分かりました。
なんとも愉快で楽しげな『Thank you』も良かったなぁ。これもまた、MartinさんとTOSHI-LOWさんのハーモニーが絶妙でした。この二人の声が重なった時のなんとも言えない極上の“とろみ”に、もはやイチコロですよ。

大好きな曲、『夢の跡』!   曲前のMCで、TOSHI-LOWさんが「何をやってもうまくいかない時期に、「最後に一曲書いたらやめようかな」と思った時に出来た曲だそうで。そんな話を聴いたあとに、そしてビビッドな二色の照明に彩られながら歌われていくこの曲には、終始鳥肌が止まらなかった…この曲が持つ、そこはかとない切なさと確かにある力強さの組み合わせには、そんな経緯があったんだ。
そして、そこから続く『Akatsuki (冬が始まる日の暁に降り立つ霧の中に現れた光の輪)』…圧倒的に荘厳で、神々しくて。アタマを飛ばして一気にココロのほうが刺激されて、息も出来ないくらいにただこのバンド(の音)に向き合うしかなかった。ライブで、こういう感覚になる事はまずない。初めてに近い、この感覚。
そして、CDと同じ流れで『Where have you gone』。グッと抑えられた熱量が、曲の展開と共にちょっとずつ広がっていって。派手なアレンジの曲ではないけれど、この曲で演奏陣の凄みを肌で感じられた気がします。

そして、なんと、トークセッションが(笑)   しかも、ステージ上にはTOSHI-LOWさんと、ドラムスRONZIさん、パーカスKAKUEIさんのみという編成。正直、このお二人が喋ってるの、初めて見ました。
RONZIさんはラーメン話…というか笑い飯話?   第二の故郷のお話は、最後今ひとつ盛り上がり切らないまま話が終わったところまで含めて面白かったです(笑)
そして、KAKUEIさんのコーム話。だまし絵話。ほんと、いいチームなんだと思いますよ…。

で、そんなリズム楽器陣(TOSHI-LOWさんもジャンベを抱えて)によるリズムセッションから、『Banana Split』『Making Time』『Bamboo leaf boat』『Again』へと。
この曲では空気が完全にラテンになってましたね、『Banana Split』。ここまでは着席でライブを鑑賞してきましたが、流石にもう立ち上がらざるを得ない!   アツイパートでしたねぇ。
『Bananaー』のグルーヴをそのままに、『Making Time』へと。なにこれ、この流れ、最高じゃないですか?   2曲セットというか、この流れで聴く事で爆発力が4倍にも8倍にも…。
TOSHI-LOWさんの歌声に酔いしれる『Again』。歌詞とボーカルラインには歌謡曲的な雰囲気があり、でもサウンドはケルトというかヨーロピアンな印象を受ける。どっちの音楽カテゴリも好きですが、その両者のおいしいとこだけが組み合わさったような感じがして、なんか凄く好きなんだなぁ。ナマで聴いたら躍動感が5割増しくらいで、更に良かった…。

『こころの花』の制作エピソードをTOSHI-LOWさんが穏やかな口調で語りつつ、本編終盤へ。
優しくも力強い、『こころの花』。タイトルの意味、凄くよく分かりました。そして、それを踏まえて聴くこの曲は、これまで以上に深いところまで入り込んできました…ぼくも、誰かにとっての花でありたい。

そして、カバー曲。テレビ番組『The Covers』で演奏したという『ラストダンスは私に』。Martinさんが英詞で、TOSHI-LOWさんが日本語詞で。このパターン、新しい。Martinさんによる曲前MCを含めて終始和やかな雰囲気で歌われたこの曲に、なんだか心洗われるようでした。

本編ラストは『I Love You』。
作詞をする際のMartinさんには、“I Love You は使わない”というものがあったそうで。でも、「生活スタイルであるとか視点が変わる中で、“I Love You”の対象も変わり、意味も変わる”というような事を仰っていて。いやまさに、仰る通りだなと。スタイルを貫く事はカッコいいと思うけど、自身の変化を感じ取りながら変わっていける姿もまたカッコいいなぁと、そんな事を思いました。
曲自体にも、CD音源以上の温かみと深みを感じて、自然に口角が上がってくる感覚がありました。

割と間髪を入れずに、スッと下がってスッと出てきてアンコール開始。アンコールは、告知(笑)と『Traveler』と『帰り道』。
『帰り道』、曲前のTOSHI-LOWさんのMCに、すでに泣きそうになる。言葉は決して多くはなかったけど、震災はまだまだ過去になっていないし、だからこそぼく達に出来る事は愛しい人に愛と感謝を伝え続ける事なんだと、そんな事を思いました。夏目漱石がI Love Youを「月が綺麗ですね」と訳した話は有名ですが、ぼくらにはそれを「ただいま」にも「おかえり」にも、「おはよう」にも「おかえり」にも置き換える事が出来るんだと。そんな事を思いました。最近、ちゃんと「ただいま」って言ってたかな、「おかえり」って言ってたかな…そんな事を思い返しながら、そして隣に立つ奥さんの事を横目でチラチラとみながらこの曲を聴いていたら、もう、涙を堪えるのに一苦労でした。ぼくらは永遠に生きられるわけじゃない、明日が来るのは絶対じゃない。今を、ちゃんと生きなきゃ。

そしてオーラス。TOSHI-LOWさんの言葉。「(また会えるまで)どうかご無事で。いってらっしゃい」が、刺さった。なんて重みのある言葉なんだ、そしてなんてあったかい言葉なんだ。この人の言葉には、きっと嘘なんて微塵もなくて。だから、直線距離で心の一番深いところに刺さってくるんだ…。



そんな、約2時間半。

圧倒的だった。いやほんと、圧倒的でしたわ。圧倒され過ぎて、言葉にならない。
例えばヤバTのライブみたいに、テンションの高い音楽でワーって洗い流されるような“音のシャワー”も好き。でも、OAUのライブには、まっっったく違うタイプの“音のシャワー”があった(どっちがいいとか悪いとかの話じゃないです、当然ながら)。ヤバTが“高圧洗浄機”なら、OAUは“サウナ”。しかも薬草サウナ(笑)   内側からじんわりと、でも確実にキタナイものを洗い流してくれる。そんな感覚。

もう一つ思ったのは、OAUの音楽というのは、BGMっぽいなぁという点。もちろん、「大した事ないからさらりと聴けちゃう」とかそういう事では決してなくて。
ぼくの、何の変哲も面白味もない生活という名の繰り返しを、ドラマにしてくれる。そんな音楽。それって、まさに最高のBGMじゃないですか?
あくまで、主人公はぼく自身。OAUの音楽は、「ダメな自分をほかのイケてる誰かに置き換えてくれる」という魔法ではなくて、ダメなところもつまんないところもひっくるめたありのままの自分を、そのまま肯定して「そのままの姿で主人公をやっていていいんだ」と、そう思わせてくれる音楽。最高ですよ、そんなん。

なんか、OAUの音楽に救われた気がする、そんな一夜でした。

唯一引っかかる点といえば、4日後に同じ場所(東京国際フォーラム)で、レキシさんのライブにも参戦する予定であるというところ。
OAUのライブで貰った無垢で静謐で柔らかく温かな気持ちをずーーーっと噛み締めていたいのに、全部池ちゃんさんになぎ倒されるんじゃないかと(笑)
…いや、もちろん冗談ですよ?   OAUに貰ったものはずっとぼくの中に残っていくし、池ちゃんさんのあのノリも好きで好きで仕方がないから。ぼくの中には、OAUもレキシもミスチルもヤバTも高橋優もフレンズもNakamuraEmiもキュウソネコカミもbrahmanもゴールデンボンバーも、すべての音楽が平等に「生きている」のです。





特に印象に残ったのは、
・『A Better Life』
・『Americana』
・『Thank You』
・『夢の跡』
・『Akatsuki (冬が始まる日の暁に降り立つ霧の中に現れた光の輪)』
・『Banana Split』
・『Making Time』
・『Again』
・『I Love You』










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