4Flusher>オリジナルフルアルバム>タイトル:4 FLUSHER>アーティスト:スガシカオ>リリース日:2000年 10月 25日>記事作成日:2019年 4月 28日




久しぶりに聴きました!
「あのころは良かったシリーズ」!!!最近なんだか個性派の減った音楽シーンに対して、「ひと昔の音楽はどれも超個性的だったよなぁ」という事を見せつける(?)シリーズ(笑)
今回はスガシカオさんの4thアルバム。このアルバム、何故かスガさんの自己評価が極端に低いですよね…フツーにいいアルバムなのに。うん、ぼくは好きですよ。


『かわりになってよ』からスタート。ファンキーなアコースティックギターに、耳なじみの良いシンセ。ややまろやかなサウンドに対し、エレキギターだけが気を吐くように攻撃的。このアレンジはこのアレンジでとても良いんだけど、近作『THE LAST』の辺りのような生臭いくらいにダイナミックなロックサウンドで聴いてみたいような気もする。
そういう意味では次のこの曲もそうかもな、『性的敗北』。まぁ、歌詞はもうスガ節炸裂ですけどね。子どもの頃のぼくには、正直良さがわからなかったなぁ(笑)   いや、スガさんの作品(特にオーガスタ時代の前半)はみんなそうかも…いやいや、子どものうちからこの良さに気付けるほうが異常か(笑)
変態的なギターが大好き、『ミートソース』。複雑に絡み合うギター。この大胆なのに緻密なアレンジこそ、スガさんの真骨頂かもしれないですね。やはりスガさんには、不健康な感じがよく似合う(笑)   密室系アーティスト。
シングル曲としてのキャッチーさがありつつ、持ち前のブラックなテイストも炸裂している『AFFAIR』。先日、My Little Lover『NEW ADVENTURE』の中の『DAYS』の感想でも似たような事を書いたけど…リリックのど頭が「そんな事が」から始まるって。その一言があるだけで、そこに至るまでにあらゆるストーリーがあった事が感じられて、歌詞の世界観に圧倒的な「奥行き」が出来ますよね。スガさんの言葉選びって、酷く独特なのに圧倒的に共感度が高い。すげーですよ、ほんと。
スガ作品の中でも「好きな曲ベスト10」に入る、『波光』。ピアノとストリングスが絡み合う名バラード。繊細なのに雄大で、温かいのに切ない。2番の歌詞…ジュブナイル期の幼くも複雑な思考を、完璧な語彙で端的に表現していると思う。スガさんの真意は知る由もないけど、ぼくはそう解釈してる。陳腐な表現をするなら、「青春の甘酸っぱさ」。コントラストの強い、青春の景色。
ドキュメントなんでしょうね、『ドキュメント2000〜the sweetest day of my life〜』。まぁ、ミュージシャンなんてやってると、こういう機会もあるんでしょうな。そりゃ、ぼくが新郎の立場だったらそりゃお願いするさ!ちなみに、先日リリースされた最新アルバムにはドキュメントシリーズの最新作が収録されてますね。
珍しく(?)陽性の匂いが弾ける『SPIRIT』。この曲の感じなんかは、のちの『PARADE』辺り以降の作風の元になってる感じがしますね。女性コーラスとのコンビネーションも炸裂で、サウンド的にも適度にファンキーで圧倒的にキャッチー。
これもまた大好きな曲、『そろそろいかなくちゃ』。圧倒的にメロウなメロディ。そこに湿度のないサウンドが重なって。音が乾いているからこそ、リリックの重たさが際立つ。「重たさ」というのは「辛気臭さ」とも違って、まるでぼく(たち)の日常のように、楽しく明るい側面だけではない複雑なものという意味で。このところ大黒摩季さんや小室ファミリーの音楽を聴いたりしてて、そっちにはどことなくバブリーな雰囲気があったけど…バブルを知らないぼくは、スガさんのこういう歌詞のほうが圧倒的にリアルに響くんですよね。悲観的というのとも微妙に違うんだろうけど、仄かな絶望感と無理やり見つけ出す一筋の光と。聴いてると、涙が出そうになるんだ。
一転してユーモラスなファンク、『たとえば朝のバス停で』。ぼくの年末年始をそのまま歌詞にされたような曲(笑)   サウンド的にはユーモアが感じられるけど、歌詞で描かれるストーリーは割と辛辣ですよね…でも、「俺の曲だ」って思ってる人、じつは結構多いんじゃないかと思う。
タイトルから受ける雰囲気とサウンドがある意味で正反対、ある意味で完全一致を見る曲『青白い男』。このタイトルから想像出来る人物像は、もやしっ子みたいに生気に欠けるタイプか、反対にちょっとした事で刃物とか出てきそうなタイプか、どっちか(笑)それにしても…歌詞が超こえー(笑)   いや、これはメタファーとして楽しむべき歌詞、それは分かる。でも、スガさんの紡ぐ言葉っていつもあまりにも生々しくてリアルなものだから、実際に変質者が襲来してるようにしか思えないっすわ。
ラストは『木曜日、見舞いに行く(Album Mix)』。肉親を亡くした時が無条件でリプレイされて、鼻の奥がツンとする。ある程度覚悟が出来ている、別離。そして、微妙に、でも確実に横たわる距離。悲しいけれどもどこか淡々としてもいて。でもやっぱり感傷的にはなる。大人が、大人を送り出す時の独特の空気感…この感じが大多数の人に共感されるとは思わないけど、少なくともぼくにはドンピシャでハマったのです。


そんな、計11曲。
粒揃いのアルバムだと思います。強いて言うなら、「“粒”は揃ってるけど“房”としてのまとまりは今ひとつ」という感じ?…いやでも、そういうアルバムって聴き方もフツーに出来るからなぁ。ま、作り手としては製作のプロセスも含めて手応えは違ってくるでしょうからね。スガさんご本人の評価は、そういうのも含んでなんでしょうね。結果のとこだけポンと聴いたら、えらく耳馴染みの良い素敵なアルバムだと思いますです。
こんなに聴き手をえぐるような歌詞、スガさんにしか書けませんし。




お気に入りは、#03 『ミートソース』#04 『AFFAIR』#05 『波光』#07 『SPIRIT』#08 『そろそろいかなくちゃ』#11 『木曜日、見舞いに行く(Album Mix)』




この作品が好きなら、・『SHEEP』/山崎まさよし・『エピソード』/星野源・『Outside』/butajiなどもいかがでしょうか。




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