瞬間的シックスセンス>オリジナルフルアルバム>タイトル:瞬間的シックスセンス>アーティスト:あいみょん>リリース日:2019年 2月 13日>記事作成日:2019年 3月 12日




聴きました!
本作を聴き終えた感想を一言で言うならば、「…守りに入った?」でした(失礼ながらキツい言い方になってしまいました)。いや、「良い曲」は沢山ありました。しかしながら、逆に「良い曲」しか無かったといか…。前作が圧倒的に良かったので、ちょっとハードルを上げすぎて本作を聴いたというのもあるんでしょうけれども。
まぁ、詳しくは各曲の感想で。


シングル曲『満月の夜なら』からスタート。ファンクネスもありつつアコギのストロークが印象的に重なっていて、「 バンドサウンドを浴びている感」と「耳馴染みの良さ」とが両立した曲だと思います。…しかしいかんせん、メロディがデビュー初期のシングル群に比べてパンチが弱いかなぁ。いや、この曲だけならば「敢えての“そっち”系」という解釈で楽しむ事が出来るんだけど、1st.アルバム以降って結構毎回その印象を抱いてしまって…。歌詞的にはね、比喩的に表現した官能物語なんだろうけど…サウンドとメロディがさらりとし過ぎているために「アイスクリーム」がアイスクリームにしか感じられないというか…。繰り返しになるけど、この曲をポンと一曲だけ楽しむのであれば、聴きやすくて良い曲。
で、NHK紅白でも歌っていた『マリーゴールド』。夏の終わりの感傷でいっぱいの曲なんでね、そういう意味ではむしろメロディにしろアレンジにしろ余計な事をやり過ぎずにさらりとさせておくのはテクニックとして大正解だと思います。本当にこの曲も、「単体で聴くなら」すげー良い曲。…紅白で歌ったの、この曲なんですよねぇ。ぼく的に、この人が支持されてるのって『生きていたんだよな』だとか『愛を伝えたいだとか』みたいなある意味で生臭くていびつでエッジの効いた世界観なんじゃないかなって思ってて。もちろんNHK側の判断なんだろうから紅白での選曲が“マリーゴールド』になるのは仕方がないとは思うんだけど…本作に関しても、『生きてー』『愛をー』の流れではなくて『君はロックを聴かない』とか『マリーー』の流れを汲む作品っていうイメージで。「『君はー』も、『生きてー』『愛をー』のカウンターだからこそ映えるんじゃーん」なんて思ってしまうぼくなので、コンテクストという意味でこのアルバムに「安パイな方を選んでない?」「守りに入ってない?」って思ってしまいました。紅白で何を歌おうが、作品制作は攻撃的なスタンスで行こうよーって。いやほんと、単体で聴くとすげー良い曲なんですよ!
さらりとしたサウンドにコッテリと重たい歌詞(笑)の、『ら、のはなし』。声も張ってないし、なにかの片手間に聴くと「軽快なミデアィアムチューン」なんですよね。でも、リリックまでしっかり注目すると、あいみょんさんらしい考え込みがちな歌詞で。なんか、その歌詞に安心するんですよね。「あぁ、あいみょんだ」と。
一本調子のお経ソング(?)、『二人だけの国』。サウンドは、ジャジーというか凄くアダルティでムーディな雰囲気なので、そのギャップが面白いですよねぇ。コンポーザーとしてのあいみょんさんの、そしてアレンジャーさんの遊び心と冒険心が垣間見える曲。
パーカッションが刻むリズムが跳ねている、『プレゼント』。そして、この曲に限らず、湿度感ゼロの竹を割ったようなアコギのサウンドが本当に好きです。スピード感とテンポ感を非常に際立たせている。そしてそこが際立っているからこそ、アコギが本来的に持つ感傷的や響きもまた鮮やかに際立つ。
ストリングスが豊かになり渡るミドルバラード、『ひかりもの』。もちろん、鯖とかコハダの事ではない。「つまらない事ではもう 泣かないぞ」という静かな決意が特徴的。
アコギのアルペジオが切ない『恋をしたから』。落ち着いたテンポの曲が続いて結構なバラードの『ひかりもの』が来たので、しっとりの流れは〆られたのかと思ったけど、更なるバラードチューンが来た。これも単体で聴くなら凄く泣けるバラードなんだけど…その前の曲までのところで結構心の感傷パワーを使ってるのでね…空腹時に食べる食パンは劇的に美味いけど、すでに色々つまんだあとだと「惣菜パンくらいのパンチが欲しい」ってなっちゃう感じ(笑)いやほんと、良い曲なんだけど。
何となくだけどインディーズ時代の作風を思い起こさせる『夢追いベンガル』。もちろん、名バイプレイヤーの事ではない。ゴツゴツした感じの、その場のノリ重視みたいなバンドサウンドがね、荒削りだけど勢いのあったインディーズ作品を思わせたのかもしれないです。
シングル『今夜このまま』。これもほんとに、前述のコンテクストという視点の聴き方さえしなければとても良い曲。キャッチーなメロディが、どこか飄々としたトラックに乗っています。もちろん、アレンジなどは「ちゃんと」聴けば結構手の込んだ事をしてるんですけどね。現時点での最新シングルなワケですが…『マリーゴールド』→『満月の夜なら』→『今夜このまま』と、リリースのたびにチェックしてきて。チェックするたびに、今回はさらりとしてるな→あれ、今回も→またまた今回も!…っていう感じの印象を抱いた記憶があります。焼肉屋に行って、肉にワクワクしてたら玉ねぎとかコーンとかピーマンとかが出てくる感じ。その野菜は野菜でとってもウマイはウマイんだけど…っていう。
続いて『あした世界が終わるとしても』。ストレートなサウンドとアレンジ。適度に感傷を感じさせて、程よく温かい気持ちにしてくれます。バンドサウンドも、しっかりとはしてるんだけどしつこさはない。こーゆーのこそ、もうちょっと賑やかなアルバムの中にあったらもっともっと滅茶苦茶に映えるのになぁ…って。
『GOOD NIGHT BABY』。シンプルなドラムスにばりばりカッティングのアコギ、そのコンビネーションが新鮮かつカッコいい。エレキも、絡み方にしろ音の選び方にしろ、ライブ感があっていいですね。これをライブで聴いてみたい(かなり上手い事やんないと絶望的に野暮ったくなってしまいそうだけど)。まぁ、欲を言えば、サビのアレンジがちょっと耳馴染みの良い方向に行きすぎちゃったかなぁと。例えばLOVE SPYCHEDELICOさんみたいにオールディーズの洋楽っぽい武骨で泥臭い感じに振り切っちゃったりしてたほうが、個人的には嬉しかったかも。「聴きやすい」「分かりやすい」「口ずさみやすい」曲なら、すでにここまで沢山沢山たーっくさんあったので。
そういう意味では、本作中で一番イっちゃってるアレンジの『from 四階の角部屋』がその欲を満たしてくれてる感じがしますね。なんというか…本チャンじゃなくて「取り敢えずスタジオに入ってのデモテープ録り」の音源みたいなラフさがいい!トランペットなんて、この曲用のテイクなのか他の曲用のトラックがミスで重なっちゃっただけなのかすら分からないくらいにあさっての方向を向いてますもんね(笑)   もう最高ですよ。これくらいの、遊び心と自由な発想と物怖じしないスタンスが、もうちょっとずつでいいから他の曲にも欲しかった…。


そんな、計12曲。
まぁ、言いたい事は主にシングル曲群の感想のトコで書いちゃいましたが…。
変なニュアンスで伝わっちゃったら嫌なので、しつこいけれども再確認。(1)「もっと攻めた曲が聴きたかった」とは思うけれども、多くの人に受け入れられそうな「いい曲」はいっぱいありました(2)好みの問題なので「作品の質が低い」という事ではないと思います(3)メジャーでやる以上、タイアップ絡みの都合やイメージ戦略等、「売り方」が作品に影響を与える事が悪だとは思いません(やりたい事だけをやってりゃいいとは思いません)(4)1st.アルバムの焼き直しをして欲しかったわけではない…こんな感じ。とどのつまり、冒頭で言ったように「ハードルを上げて聴き過ぎた」という点に尽きるのかもしれないですけどね。
思えば、1st.だってそんなにトリッキーな曲ばっかりではなかった。でもそれなら何故あんなにもバランスが良かったかというと、シングル曲がアクセントになっていたからなのかなぁと今は思います。スイカの塩みたいに。ちょっとだけ塩をかける事で甘みが引き立つという、アレですね。ぼくも、別に全編通じて塩っ辛い曲を求めてたワケではもちろんなくて。スイカにおける塩みたいな曲があとちょっと加わるだけで、スイカみたいにもっともっと甘みを増す曲が沢山あったように思いました。…うん、このスイカの例えが自分の中で一番しっくり来た(笑)    そーゆー感じでした!




お気に入りは、#01 『満月の夜なら』#02 『マリーゴールド』#07 『恋をしたから』#10 『明日世界が終わるとしても』#12 『from 四階の角部屋』




この作品が好きなら、・『貴方を好きな私』/阿部真央・『自由律』/黒木渚・『Delight』/miwaなどもいかがでしょうか。




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