BEST MONCHY 1 -Listening-(完全生産限定盤)>ベストアルバム>アーティスト:チャットモンチー>タイトル:BEST MONCHY 1 -Listening->リリース日:2018年 10月 31日>記事作成日:2019年 1月 7日




聴きました!
まぁ、正直、すでに聴いた事がある曲ばかりで。基本的には「シングルコレクション」だから選曲面での意外性もなく。でもね…やっぱり、チャットモンチーのフィナーレは、チェックしないワケにはいかないんですよ。それが、ファンとして、このバンドの解散(完結)を受け止めるための儀式のような気がします。


では、Disc 1から。


『ハナノユメ』からスタート。当時はどこか垢抜けない雰囲気だった3人が(しかも3人でしたね)、そのビジュアルとは雰囲気の異なる太くて華やかなバンドアンサンブルを聴かせてくれて。そのギャップが、本当に好きでした(この曲に限らずね)。
甘酸っぱい青春の匂いで満ち溢れてる『サラバ青春』。まだまだ青春真っ只中に居るからこそ言える、「サラバ」。青春との本当のサヨナラなんて、あとから振り返ってしか気づけないものですよ(笑)チャットのどの曲よりも、橋本さんの歌声がエモいです。「エモーショナル」というより「エモい」だし、「エモい」といってもここ最近の若者がやたら連発する「エモい」ともちょっと違うやつ。
タイトなビートが心地良い、『恋の煙』。確か『シャングリラ』でこのバンドの事を知って、その後リリースされたアルバムに入っていたこの曲にも凄くハマりました。太い音と、キャッチーなアレンジと、耳馴染みの良いボーカルライン。この頃にはすでに、ぼくが思う「チャットの良さ」が完成されてたんだよなぁ。
『恋愛スピリッツ』。タイトルだけ見るとね、それこそ当時の3人の「あの感じ」で恋愛を冠する事に「おぉっとぉ!?」という感じもあったけど(笑)女性的…というか少女性を前に出したアプローチは、3人時代のチャットにとってはタイトなロックと双璧を成す感じの曲調でしたね。
ポップで軽快に、『東京ハチミツオーケスオラ』。これは、上京したての希望と邪念(笑)とに満ち満ちた人の曲ですね。これと『majority blues』が同じ作品に入っている事が、それだけで時間の経過と歴史を物語っています…そう考えながら聴くと、途端に切なく響いてくるぜ。
そして、『シャングリラ』。テレビなのかなぁ、どこかでたまたま耳にしたこの曲が凄く印象に残って、そこからチャットモンチーというバンドを知っていきました。その時たまたま耳にしていなかったらこのバンドの事自体を知らないままだったかも…と一瞬思ったけど、そんな事はないですね(笑)ここからどんどん大きくなっていったバンド、いずれにしてもどこかのタイミングで出会っていたに違いない。
この辺から一気に売れにかかった、『女子たちに明日はない』。『恋愛スピリッツ』のタイトルの時にも思ったのと似た感じ…「女の子」を歌えるのかい?という感覚がなかったわけではないけど、聴いてても意外と(?)違和感なかったんですよね。
入浴剤のタイアップかと思ったらチョコだったなぁ(笑)、『バスロマンス』。身を削るような作風は影を潜めて、この辺からはもうストーリーテリングとしての作詞になっていったように思います。
可愛らしさが炸裂、『とび魚のバタフライ』。J-POPにおけるいわゆる「ガールズロック」のフォーマットは、この曲で確定したと言って差し支えないのでは。SHISHAMOにしろpeggiesにしろ、この曲の延長線上にいる気がする(もちろんパクリだのそーゆー事が言いたいのではない)。
ゴツゴツとした手触りのミドルバラード『世界が終わる夜に』。『とび魚のー』と並行してこういう楽曲が生み出せるというのは、とても意味のある事だったんだと思います。自身のヒット路線セルフオマージュ一辺倒、もしくはシーンの流行に乗っかるばかりというバンドがどんどん増えている中で、あらゆる「球種」を持っていられたのは素敵な事。
『世界がー』とはまた違うタイプのロックチューン、『橙』。一見するとシンプルなメロディライン。でも、聴けば聴くほど味が出てくるんですよねぇ。しかも、メロディが目立ちすぎてないから、バンドのサウンドも充分に堪能する事が出来るという。
アルバム曲、『親知らず』。前作のベストにも収録されていたし、アルバム曲なんだけれども強力な魅力を持った曲である事は間違いがないですね。家族への想い、なんかこの歳になるとすげー分かる。そんな、ほっといたら「いい話」に収まりそうなネタを親知らずという切り口で展開する辺りが、高橋さんらしいですね。
もうこの辺りからは「きっとチャットモンチーは“大人”になったんだなぁ」という感じがした『ヒラヒラヒラク秘密ノ扉』。アレンジなんかもう、完全に垢抜けましたもんね。リリックにも、余裕というか遊び心というかが目立ち始めて。ご本人たちがどう認識しているのかはもちろん存じ上げませんが、ぼく的には、この辺りから「次」に進んだ感触を受けた記憶があります。
歌詞も完全に垢抜けました、『風吹けば恋』。恋する気持ちをここまで率直に表現出来たなら、それはもう大人です(笑)ヴァースのラウドな雰囲気が、サビで一気にキャッチーに花開く感じ。そこにカタルシスを覚えるし、この展開には「テクニックを身につけたな」と思わずにはいられません。
珠玉のロックバラード、『染まるよ』。ぼく、チャットの曲の中でこの曲が一番好きかもしれない。それくらい、好き。ロックンロールとセンチメンタルが、激しくぶつかり合い一体化している。
この曲も好きだったなぁ、『Last Love Letter』。比較的テクニカルだったり、コッテリと重量感のあるシングル曲が続いたあとのこの曲。キャッチーだし耳馴染みは良いんだけど、さらりと聴ける爽快なアッパーチューンで。シメのお茶漬けみたいな、そんな感じ?(笑)   いや、シングル曲で看板張るくらいだから、お茶漬け扱いなどされたくないでしょうけど…あくまでもイメージの話ですよ。
ガーリーなタイトルとは裏腹のロックサウンド、『8cmのピンヒール』。ギターが、飾り気なくガーーッッと鳴ってるのがとても良い。キャラクターと女性性が前に出ていた感のある前期作風と、とにかくロックンロールと音楽的遊び心とを探求していった後期作風の、ちょうど中間点にあるような曲。
ユーモラスな『ここだけの話』。リリック的にももちろんそうなんだけど、演奏面とアレンジ面でとにかくユーモラス。展開は次々に繰り出されるし、緩急がある…のにまとまり感もある。当然産みの苦しみはあるんだろうけど、それよりも楽しんでる感じがあっていいですね。
Disc 1のラストは『バースデーケーキの上を歩いて帰った』。この辺りからはもう、前衛的スイッチが入ってますよね。あくまでも身近な雰囲気は残しつつ、でももう…タイトルからして、ぼくみたいな凡人には逆立ちしたって出てこないもん(笑)   でも確かに、ケーキや蝋燭っぽいかもねぇこの風景。


そして、Disc 2へ。


2人体制になっての曲、『満月に吠えろ』。力強いロックンロール。ここまで「ガールズロック」という文脈の中に居た気がしますが、この辺からはもっと吹っ切れたように「ロックンロール」になった感じがありましたね。
ユーモアが加味された『テルマエ・ロマン』。『バスロマンス』と似たテンションのタイトルだなぁと、今思った(笑)ここまでタイアップ先に寄せた楽曲は、チャットの中には無いんじゃないかな(アニメ『テルマエロマエ』の主題歌)。それでも、ご本人たちの「楽しんでる感」がサウンドから凄く伝わってきて。タイアップ先からのOKもちゃんと取りつけつつ、ご自身たちも納得のいく創作活動をする…素敵な制作環境だなぁと思ったものです。
これもまた勢いに満ちた『ハテナ』。エフェクトのかかったブルースハープが、遊び心とセンチメンタルの両方の感覚をくすぐってきます。ギターとボーカルは奔放に、ドラムスはちょっとカタイっちゃカタイけどパワフルに鳴っています。ベースレスでギター+ドラムス(+ブルースハープ)という、この時期の編成を象徴するようなカタチ。
アッパーチューン、『きらきらひかれ』。まるでそれは、あっという間に高速で駆け抜けていく光の速さのような曲。眩しくて華やかな音が、言葉が、突き抜けていきます。ドラムスがアグレッシブに鳴り響く、サウンドとしても楽しい曲。
ちょっと腰を落ち着けて、『コンビニエンスハネムーン』。久しぶりに、可愛らしい系の雰囲気ですね。前期の雰囲気を思い出させるというか。でも、生活感が増した感じがあるのは、表現する側が年齢を重ねたからでしょうか。地に足がついた感じがあります。
オフマイク気味のお二人のユニゾンが愛らしい、『変身』。メンバーの脱退を、見事にポジティブなエネルギーに変えたなぁと、その象徴のような曲。この方々には、「閉塞感やマンネリ感に敏感な人たちなのかなぁ」という印象があって。新しい挑戦や変化がないと創作活動が停滞しそうなイメージ(もちろん、実際にそうかどうかは知りませんが)なので、怪我の功名というか何というか、メンバーの脱退が結果的には次の活動の起爆剤になったように、ぼくには見えました。その起爆剤の推進力を、この曲は一番受けてるように思います。
再び高速BPM、『こころとあたま』。ベースもブリブリ鳴って、シンセもゴリゴリと。バンドの分厚い音が気持ちいい。光の速さで通り抜けていく楽曲。気持ちいいなぁ。
少女性が炸裂する『いたちごっこ』。先祖返りか?と思える程(笑)に可愛らしい曲。端々にチクリと毒が効いていて、そこに初期との違いがあるけれども。しかし、このバンドにとって、「東京」というのはひとつのポイントなんですね。ぼくも地方出身勢なので、その感覚、すごく分かります。
気持ちの弾むタイトルとは反対にしっとりした曲調の、『ときめき』。福岡さん特有の、解釈の幅が広い歌詞。嫌いになった奴への恨み節にも、恋に恋い焦がれてる曲にも、他者と分かり合いたいのに分かり合えない人間の不器用さに言及しているとも言える。
怖いな(笑)、『隣の女』。このアルバムと同じ時期にキュウソネコカミの『馬乗りマウンティング』もよく聴いているので、両方踏まえるとなんか複雑な気持ちになる…。
『きみがその気なら』。ストリングスが重なっていて、しかもそれがなんか底抜けにハッピーで柔らかい感じがするものだから、なんかちょっとドキッとしてしまうんですよね。紆余曲折を経たバンドがたどり着いた境地…「今から思えば」なんだけど、この辺りの曲を聴くとバンドとしてのまとめに入ってるような気がして。エンディングノートを書くような。そんな雰囲気がちょっとあったので、チャットが解散すると聴いた時にも、(驚きはしたけれども)意外性というよりは納得の感じだったんだよなぁ。
肩の力の抜けたミドルバラード、『majority blues』。これはもうね、地方出身者はもれなく共感するでしょう。状況直後に聴いたら涙が出るでしょう。きっと、ソングライター橋本さんの「素」に近い言葉たちなんじゃないだろうか。こんなに「さらけ出した」歌詞は、チャットにおいて新機軸だったと思います。
陽性の匂いがするポップロックチューン、『消えない星』。US的な、湿度の低いロックンロール。分かりやすいサウンドは、だけどポッと出の若手には出せない深みを帯びていて。「このバンドは、こういう音が出せるようになったんだなぁ」って、親戚のおじさんのような気持ちに。
緊張感のあるイントロから瑞々しいポップソングへ、『Magical Fiction』。本編が始まっちゃえばね、ラインダンスでも踊りたくなるような跳ねるリズムのポップチューンなんです。でも、なだれ込む感じのサビの入り方とか、その辺諸々、バンドとしての新機軸っぽい感じ。ここまで来ての新機軸。
聴いた事がない曲だ…と思ってたら割と最近配信リリースさらてる曲だった、『I Laugh You』。肩の力の抜け切った曲。繰り返しになるけど…どんな曲にも産みの苦しみはあるだろうから、決してこの人たちがなんの苦労もなくこの曲を産み出したとは思わないけど、でも、凄く自然体でフラットな雰囲気。よく言えば自然体。うがった言い方をすると「脂の抜けた感じ」がして、やはりバンドとしての熱量がピークを超えちゃったのかなぁという感じはしました。完全に結果論なんだけど。
ベストアルバムのオーラスを飾ったのは、『たったさっきから3000年までの話』。「メカ」編成の、スペーシーな曲。それでも、歌詞になっているのはとても身近な事で、だから楽曲の構造としても「たったさっきから3000年まで」と同じくらい幅がある。中盤以降の、テンポが上がっていく感じが好きでした。


そんな、2枚組計35曲。
まぁ、思いの丈は各曲のところや過去のオリジナル作で書いてきたので、今言うべき事としては、ただひとつ。
ありがとうございました!





お気に入りは、Disc 1 - #02 『サラバ青春』Disc 1 - #06 『シャングリラ』Disc 1 - #09 『とび魚のバタフライ』Disc 1 - #13 『ヒラヒラヒラク秘密ノ扉』Disc 1 - #14 『風吹けば恋』Disc 1 - #16 『Last Love Letter』Disc 2 - #04 『きらきらひかれ』Disc 2 - #12 『majority blues』Disc 2 - #16 『たったさっきから3000年までの話』




この作品が好きなら、・『増補改訂完全版「バンドBのベスト」』/Base Ball Bear・『Best+』/シュノーケル・『CYCLE HIT 1991-2017』/Spitzなどもいかがでしょうか。




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