Diamond>オリジナルフルアルバム>タイトル:Diamond>アーティスト:ウソツキ>リリース日:2018年 9月 26日>記事作成日:2018年 11月 22日




聴きました!
あれは3年くらい前のロッキンだったか…出演者に名前があったので予習のために聴いてみたら結構好きな感じで、だからステージを観に行ったんですよね。実際のパフォーマンスを観たら、そこには「ロックスター」ではなくて「ロックスターを演じようとしている垢抜けない青年たち」が居て。その可愛らしい感じがもうなんかすっごくツボで、以来、まるでやんちゃな甥っ子を見る叔父のような視点で温かく見守るようになってしまいました(笑)残念ながら今年のロッキンには出てなかったけど、その分、本作を堪能する事にしました。


『夏の亡霊』からスタート。サイダーが似合いそうな夏の空気感は確かにありつつ、物語としては切なさが香る。それら全部をひっくるめて「青春」と呼びたくなる曲。この時期(これを書いている今は11月の下旬)なのに、確かに夏を感じられる曲。そして、相変わらず、とにかくメロディが良いですね。
この人たち、意外と(?)ラブソングが多いですよね、『偽善者』。いつも通り、ちょっと歌詞には卑屈が強い気はするけれども(笑)、でもバランスは良いと思います。バンドサウンドにこだわらず、打ち込みの音も取り入れてますね。曲が一番良くなるならばバンドの生音にこだわらないという選択肢は、ぼくは好感。特にこの人たちの作風だと、あらゆる手段とあらゆるツールを用いて物語に合うサウンドを作り上げていくべきだと思います。
ミドルチューン、『名もなき感情』。言葉詰め込み系のメロディラインが特徴的。そういうヴァースを経て、サビでは耳なじみの良いエモーショナルな展開をしているし。緩急というか、硬軟というか、そういうのが効いていて聴きやすい。
ロックチューン、『口内戦争』。ほんのりと軽薄(笑)  でも、「チャラいなぁ」とはならないのは、多分ライブでボーカルの子のあのはにかんだり照れが抜けきれてない感じとかを見ているからなんでしょうな。
デジタルなビートがグルーヴ感を出している、『レトルトの彼』。打ち込みなのかパーカスなのかは分からないけど、電子的な音が曲全体のグルーヴを作り出しているというのは、中々やろうと思って出来る事じゃない気が。演奏陣が、色んな「温度」のプレイを出来るようになったからでしょうかね。
優しいミドルチューン、『パン』。取り敢えず…すげー良い曲なのに、間奏で「パーンパンパンパーン♪」ってコーラスが入ると、笑っちゃうから!(笑)  真面目にやってるからこそ面白いぞ。本編は、ボーカルのメロディラインは柔らかくて、歌声はエモーショナルで、演奏は派手ではないながらも安定感があって。とても聴きやすい。
配信シングルの別Mix、『恋はハードモード(Album Mix)』。配信リリース時、そのジャケットを見て「あぁ、また頑張って弾けようとしてる」と思いました(笑)  どこまでも叔父目線。ファンキーチューン。例えばスガシカオさんや在日ファンクさんなんかと比べてしまうと「J-POPのファンク風味」という感じにはなってしまいますが…このバンドにとってこのアプローチというのは、結構エポックメイキングな感じがします。
演奏陣が主役の『M.N.E.』。中でも、間奏でもはや「歌っている」ベースラインが好きでした。純粋に、カッコいい。もちろん、クールなギターもグイグイに来るドラムスも良かった。こういう曲を聴くと、もうちょっと演奏陣がハシャいだ作品が聴いてみたくなります。
『知ってる』。前曲とは別の意味で、ギターの存在感が。シンセと渡り合う、とても都会的なギター。それは「節度のあるクレイジー」とでも言うべきか、とてもバランスの良い奔放さです。リズム隊は、打って変わってウワモノのプレイが映える事に徹している感じがあって、それもまた良い。Mr.Childrenの田原さんのギタープレイのような、引き算の出来るリズム隊。これ、大成するためには超大事かと。
本作一のメロウなロックバラード『超ひも理論』。前半では、繊細さと優しさとが混ざったふんわりとした質感で。そこから中盤、後半に向かって、どんどん感情がむき出しの激しい表現になっていく。それはまるで恋の始まりから終わりまでのストーリーのようでもある。歌詞のストーリーテリングは秀逸で、普段以上に入って来やすい。でも、特筆すべきは、それ以上にプレイの表現力だと思います。演奏陣にしても、ボーカルにしても。なんというか…音に感情を乗せられるようになってる。しかも、高純度で。これまでのこのバンドのすべての曲の中で、一番刺さった。それは、「この歌詞切な〜い」とかそういうレベルではなくて、「バンドの熱」が突き刺さってきた感じ。
ラストは『ラブソングは無力だ』。最後に出ちゃった、卑屈(笑)いや、曲自体は凄くキャッチーで聴きやすくて、歌詞も別に嫌な毒はない。むしろ、言ってる事は凄く共感出来る。けど、ここぞっていうキラーワードとして持ってくるフレーズがコレっていう、その辺りにウソツキというバンドのアイデンティティがあるような気すらしました。ほんと、曲は凄く良いんですよ!(笑)


そんな、計11曲。
なんというか…置いてけぼりを食らった感は否めない。あんなに可愛い歳下の甥っ子だったのに、なんちゅうか、急に大人びた事を言い始めた感じ(笑)
凄く身の丈に合っているというか、等身大の感じがする作品でした。ロックスターを演じようとするのでもなく、かといって卑下するような雰囲気もなく(表現としての「卑屈」はいっぱいありましたけどね)。このバンドの現在のサイズ感にちょうど良い楽曲たちだったなぁと。それが、こちらとしてもフラットな感じで聴く事が出来てとても良かった。この先についても…背伸びした感じがなくなった分、これからも、背伸びしなくても自由にあらゆるアプローチに広げていけるんじゃないかなぁと思います。
というワケで、過去作とはちょっと違うモードの作品。派手さはないけど、秀作だと思います。




お気に入りは、#01 『夏の亡霊』#05 『レトルトの彼』#06 『パン』#09 『知ってる』#10 『超ひも理論』




この作品が好きなら、・『日常ドラマチック』/wacci・『Wandering』/SHE'S・『plenty』/plentyなどもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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