＞オリジナルミニアルバム＞タイトル：負け犬にアンコールはいらない＞アーティスト：ヨルシカ＞リリース日：2018年 5月 9日＞記事作成日：2018年 9月 5日聴きました！
「初めまして」のアーティストさん。確か、ナタリーか何かの記事でそのユニット名をお見かけして、「なんか良さげ」って思ったのがきっかけだったと記憶しています。
とにかく、まずは感想を。
ピアノインスト『前世』からスタート。前作『夏草が邪魔をする』（本作と一緒に聴きました）もピアノインストから始まってましたね、イントロダクション的な感じでしょうか。とても美しく、流麗な曲。
ここからは歌モノ、まずはタイトル曲の『負け犬にアンコールはいらない』。前作は割とふんわりして低刺激な曲が多い印象だったけど、この曲は攻撃的でシニカルで毒っ気のあるアッパーチューン。まぁ、ボーカルの方の歌声は絶対的に清廉でたおやかな感じなので、そんなに毒々しくは聴こえないけど。これ、もうちょっと俗っぽくて荒削りなボーカリストが歌ったら途端に卑屈っぽくて刺々しいだけの歌になりそう（笑）
タイトルからしてすげぇな、『爆弾魔』。この曲だって、ボーカルの方の上品さがなかったら聴こえ方が違っていたかもしれない。決して字面通りの「爆弾で誰かを殺傷しようとしてる奴」の歌ではなく（笑）、現状であったり内面的なものに対するフラストレーションとアンチテーゼを「爆破」という言葉で表現しているわけだけれども…ほんとに、あとちょっとだけゲスいボーカリストであれば、この世知辛い世の中なのでネットで炎上してたんじゃないかな。表現に配慮が足りないとかなんとか、文句つけたがりな人たちの手で。そうなっていないのは、ボーカルスタイルとディレクションのセンスの良さかと。
『ヒッチコック』。思春期の頃、「分かってるけど納得出来ない」ような事をひたすら問いかけていく曲。「若者よ、心ゆくまで悶々としたら良い」って笑い飛ばせればいいんだけど、そうならないのはぼく自身の中にまだ「思春期のめんどくささ」が抜け切らず残ってるからなんだろうなぁ。比較的淡々としたコード進行とアレンジなんだけど、そのリフレインの感じも含めて歌詞の雰囲気に合っていると感じました。メロディへの言葉の充て方も小気味の良い感じで、音楽的なセンスの良さも感じます。…うん、好きな曲。歌詞の内容に共感して腹が立って、そんな自分に気付いて恥ずかしくなるけれども（笑）
幕間のインスト、『落下』。ボーカルレスだけれどもボーカリストさんと同じ温度の静謐さを感じる曲。ボーカルディレクションも、メロディもアレンジも、多くの要素がきちんと統一されてるプロジェクトなんだなぁと感じます。
終盤戦、『ただ君に晴れ』。メロディがしっかりしていて、乗っかってる言葉（歌詞）もメロディをしっかりとロックオンしてる感じで。凄く聴きやすく、小気味の良さを感じる曲。で、リズミカルに進行したうえでサビにこんなパーカスとか入ったら、もう聴き手の気持ち良さはピークですよね。聴き心地としては、ラップの絶妙なライミングを体感した感覚に近いかも（この曲がラップだという話ではないですよ）。
淡い雰囲気のポップチューン、『冬眠』。ここまで、比較的ビビッドでくっきりはっきりした感じの音像を示してきていましたが、この曲はもうちょっと低体温で淡い感じ。でも、ジャム感があるという事ではなくて、隙間なくきっちりと整理整頓して詰め込まれた音のカタマリである事には変わりがないんですけども。整理整頓系のかっちりとしたトラックメイキングって、ボカロPなどのDTMクリエイターに多い気がして。だから、このユニットのコンポーザーさんがネット音楽出身だと知った時には妙に納得でした。
ラストはこれまたピアノインスト、『夏、バス停、君を待つ』。青春系アニメのBGMとかで使われてそうな音楽。真っ先に思い出したのは、RADWIMPSがリリースした『君の名は。』のサウンドトラック。あのアルバムにこの曲が入っていても、きっと違和感なし（笑）
そんな、計9曲。
正直に言うと、最初はちょっとだけ穿った見方をしかけてました（笑）ネット記事でユニット名に惹かれたはいいけれど、ネット界隈から出てきたアーティストだと知って「また、最近ありがちなボカロP出身系統かもー」と思って…結果、「確かに“ボカロP出身系の作風”ではあるものの、だけど凄く聴きやすくていい！」というところに落ち着きました。
とどのつまり、どういう経過を経てきた「アーティストなのか？」という事よりも「ハマれるかどうか」が大事ですよね。このヨルシカというユニットは、ボーカルスタイルは好き、“遊び”は少ないけど“整理整頓”が行き届いたアレンジも好き、厨二病が治りきってない歌詞はたまに気になる…という感じで、概ね好きな要素で占められていたので好きになりました！ただちょっと…ネット出身Pの方々って、作品を重ねても作風が変わらなくて飽きちゃう傾向が強い気がするので、そこだけちょっと心配。ぜひ、作品を重ねるごとに大きなチャレンジを取り入れていってほしい。
お気に入りは、#02 『負け犬にアンコールはいらない』#04 『ヒッチコック』#07 『ただ君に晴れ』
この作品が好きなら、・『十九色』／清浦夏実・『大正義』／ポルカドットスティングレイ・『Nice To Meet You??』／緑黄色社会などもいかがでしょうか。
iPod nanoにも入れておきたいレベル(^.^)
ぼくの、もう１つのブログもご贔屓に！▶︎音楽雑記帳