NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5>オリジナルミニアルバム>タイトル: NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5>アーティスト:NakamuraEmi>リリース日:2018年 3月 21日>記事作成日:2018年 4月 26日




聴きました!
NakamuraEmiさんの最新作!今回も、ミニアルバムのボリュームで丁寧に丁寧に作られている作品集。


シングル曲の別エディット、『Don't (Album Mix)』にてスタート。これまでほとんどの作品が「真面目」と「シリアス」と「前のめり」とで構成されていた気がしますが、この曲はどこか余裕というか、ユーモアというか、そういうものが感じられる仕上がりでした。それは、リリックというよりもむしろアレンジとプレイのほうに強く感じたかなぁ。それはそれで、アリでした。
続いて、『N』。パラアスリート・中西麻耶選手の歌だそうですね。かといって、(ご本人もリリックにしたためている通り)別に「応援歌」という事でもなく。1人の人間をモデルにしながら、自身と向き合う曲。NakamuraEmiというアーティストのプレイスタイルは「“リアル”の切り取り」だと思うので、そういう意味では「NakamuraEmiと中西麻耶との関係性」を曲にする事には必然性があるんだろうけど…でもちょっと、あまりにもその二者の関係性に限定されすぎていて聴き手が置いてけぼりを食らう感じはあったように感じました。…いや、いい曲なんですけどね。
『かかってこいよ』。これぞまさにNakamuraEmiの直球ど真ん中といった趣の曲。自分の中の弱さをえぐり出して、それに対して明確なファイティングポーズを取るような曲。自分の中の「敵」と、とても健全な気持ちで対峙できる曲です。胸が、アツくなる。そして、「お前のかーちゃんでーべそっ」というフレーズの破壊力ね(笑)
一転して、繊細で優しい曲『新聞』。ケータイがない時代、あらゆるものがアナログだった分だけ嫌が応にも他者とのコミュニケーションを必要とした時代。その時代が絶対的に良かったというワケでもないだろうし、だからつまり現在が必ずしも「悪くなった」という事でもないんだろうけど…現在のほうが少し窮屈な感じがするのは否めないですよね。窮屈というか、余裕がないというか、忙しないというか。そういう感覚を、リリックだけでなくトラックの雰囲気全体で気付かせてくれる曲。
波と海と自然の歌、『波を待つのさ』。サウンド的には、サーフミュージック。穏やかさと、その中にあるピリッとした緊張感はまさに自然のそれのよう。ベースラインが普段よりも前に出ているような感じがして、そのセクシーながらに力強いサウンドがいい意味での異物感になっていて、それもまた「自然というのは、優しいだけじゃない」っていうのを教えてくれるようでした。
言葉が「強い」曲、『星なんて言わず』。アコースティックを基調にしたサウンドも、硬軟が入り乱れるボーカルスタイルも、安定して「いつも通り」。でも、ワードやフレーズの1つひとつが圧倒的に際立っていて、まるで弾丸のように胸に刺さってくるのです。これは、これまでのNakamuraEmi作品の聴き心地とは似て非なる感覚でした。
『教室』。過去作ならば『大人の言うことを聞け』辺りとセットで聴くと、双方の曲の理解がより深まるかもしれませんね。学生時代の視野の狭さを、決して否定も批判もせずに「だけど別の見方もあるんだよ」と諭してくれる感じのリリック。教室という恐ろしく狭いコミュニティの中で息苦しさを感じている人に、是非聴いてほしいな。すぐには何かが変わらなくても、別の選択肢があるんだっていう事を知っているだけで気持ちは楽になるから。…まぁ、そういうのが受け入れられないのこそが思春期なんだけれども(笑)
ラストは『モチベーション』。インディー時代の『Vol.3』に収録されていた曲の新バージョン。タイトルに「◯◯Ver.」みたいな表記が無かったので、初出のアレンジと大差ないんだろうと思っていたら…全然違うアレンジだった!インディーverは、それこそあらゆるものにファイティングポーズを向けるような硬質なロックンロールを感じたものだけれども、ブラス隊が加わった今回のverはジャジーでファンキーな仕上がりに。ボーカルにはユーモアが大量投入されていて、全体的に恐ろしくキャッチーに生まれ変わっていました。揶揄とか非難とかではなく、シンプルな気持ちで「メジャーのチカラってすげぇな」と思いました(笑)さすがに、インディーでここまで大掛かりな編成のトラックメイキングは出来ませんもんね。インディーverもメジャーverも、どちらも好きですよ。


そんな、計8曲。
今回も、圧倒的に本気(マジ)でした。どんな場所でも真剣な人ってのはバカにされ易いものだけれども、嘲笑したがり達ですら気圧されて黙ってしまいそうなくらい、本気だった。分かったフリして諦める事なんてのは簡単で、諦めずに踏ん張ってる人を笑っておけばプライドも守れるし恥もかかない。ぼくも、気を抜くとすぐそっちに走るタイプ。でも、NakamuraEmi作品を聴くたびに、「そうじゃないだろ」と平手打ちを食らうような感覚を覚えるわけです。うん、どう考えてもそうじゃない。ぼくはきっと、NakamuraEmi作品を正座して聴くべき(笑)




お気に入りは、#01 『Don't (Album Mix)』#03 『かかってこいよ』#04 『新聞』#06 『星なんて言わず』




この作品が好きなら、・『自由律』/黒木渚・『死んだように生きるのはもうやめた』/松本佳奈・『round voice』/桐嶋ノドカなどもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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