生命力>オリジナルフルアルバム>タイトル:生命力>アーティスト:チャットモンチー>リリース日:2007年 10月 24日>記事作成日:2017年 11月 29日




久しぶりに聴きました!
先日、解散を発表したチャットモンチー。非常に残念ではあるものの、近年の活動状況からすると何となく「納得」って部分もあったりして。そんなニュースもあったので、せっかくだから初期の作品を聴き直してみました。
本作は、2作目のフルアルバム(ミニアルバムを含めると3作目)。今からちょうど10年前なんですね…もう10年も前になるんだ!それにびっくり。そりゃあぼくも歳をとるワケだ(笑)


骨太なサウンドの『親知らず』からスタート。日常ど真ん中の「親知らずが生えてきた」なんてエピソードから、家族の存在であったり生き方というかそういう所までかなり掘り下げていった歌詞が良いですよね。そしてサウンド。凄く厚くて、ライブ感があって。前作『耳鳴り』と連続で聴いたんだけど、この曲(というか本作収録曲勢)のほうが格段に「バンドサウンド」になっていて驚いた。
乾いたギターと軽快なドラムスが特徴的な『Make Up! Make Up!』。チャットがガーリーさを全面に出すとこうなるんだなぁ…という曲。チャットのこの引き出しは、この時点ではだいぶ新鮮だった記憶がある。
大好きな曲、『シャングリラ』。そう言えば、チャットを本格的に聴き出したのってこの曲辺りからだったかもなぁ。ちょっと斜に構えた感じの視線で随分しっかりとした演奏をしている3人組…それは結構なインパクトだった。とにかくメロディが良いですよね。そして、そのメロディに対して「これしかない!」とすら言えるくらいにジャストフィットしているアレンジ。この曲の完成度、ちょっとした「完璧」です。辞書の「完璧」の欄に、この曲名を加えといてほしい(笑)
シングル曲(両A面の2曲目)、『世界が終わる夜に』。ゆっとりとしたテンポなんだけど、サウンドとしては重厚で聴き応え充分。ボーカルもとてもエモーショナルで、なんだかぎゅっと締め付けられる感じがします。
弾けるサウンド、『手のなるほうへ』。コーラスがビートを作り出していたり、このアレンジは(これまた「当時としては」)新鮮だった記憶があります。カジュアルなのにサビでは骨太なサウンドで、とにかくアレンジが面白い曲。
シングル『とび魚のバタフライ』。『女子たちに明日はない』同様、この曲がシングルとして出た辺りでは「チャット、売れにかかったな」と思ったものです(悪い意味ではない)。詳しくは後述。キュートな部分を最大限にディフォルメした感じの曲。うん、この曲の感じ、素でやってるんじゃなくて(言い方悪いけど)ひねり出してるような感じがして。それが、凄く好き(笑)
これもシングル、『橙』。このエモさは、若手時代の特権ですよね。もちろん経験を重ねた今のチャットが歌っても充分に良いんだろうけど、この悶えんばかりの感情の表現は、リリース当時には追いつけないんだろうなぁ。ぜひ、軽音部とかやってるティーンにカバーしてもらいたい、そうやって歌い継いでいってもらいたい青春ソング。
ピアノがフィーチャーされたスローテンポの『素直』。(実際のところは分からないけど)アップライト的な、身近で親しみやすい音色のピアノが逆に切ない。そしてクラリネット。どこかユーモラスな音色のクラを、こんなに切なく響かせるなんて。
アッパーチューン『真夜中遊園地』。とにかくカッコいいな。パワーコードでガーッと行くイメージのあった橋本さんのギターだけど、この曲ではだいぶテクニカルに鳴っていて。圧倒的な疾走感とほんのり香る切なさのバランスがいい!
シングル『女子たちに明日はない』。それまで硬質なサウンドと硬派なスタンスと、そして可愛らしい系の曲でも「スキは見せないぞ」みたいな警戒心(?)を常に見せてきた印象のあるチャットが、この曲や『とび魚のバタフライ』辺りから変わってきた感じを当時受けてました。「売れにかかったな」という(笑)…別にそれはセルアウト的な意味ではなく、「よりリスナーの裾野を広げに行ったんだなぁ」という意味で。
「売れにかかった」シリーズ(笑)の『バスロマンス』。長距離バスでやってくる彼氏とのラブソング…甘いわ、甘ったるいわ(笑)この頃になるとタイアップも付くようになって、だからクライアントの意向にも耳を傾けなくてはならなくなるんでしょうな。
サウンドの可愛らしさとリリックの辛辣さのギャップがすごいぞ『モバイルワールド』。今よりももっと「通信機器」に特化していた携帯電話のお話ですね。リリックもユーモラスな表現ではあるんだけれども、強烈にシニカル。こういうの、嫌いじゃない。
『ミカヅキ』でラスト。前作までの片鱗が色濃く残る、どちらかというと内向きな曲。その雰囲気に、何となくホッとしてしまうぼく。やっぱり、ただキュートでポップなだけよりもこれくらい影がある曲が紛れているほうが、「奥行き」が感じられて好きです。


そんな、計13曲。
キーワードは「売れにかかったな」です(笑)上でも断っていますが、それには揶揄する気持ちや批判する意図は無いんです。むしろ、この時期の作風があったおかげで、チャットモンチーというバンドは2018年に至るまで(商業的に)安定した音楽活動が出来たんだろうなぁと思う次第です。
前作以上にバラエティ豊かで、耳馴染みが良くて、聴き易い。可愛らしさもあって、どうしたって好意的に聴いてしまわざるを得ない(笑)エッジの効いたバンドサウンドは少しだけなりを潜めたけれども、そられはまた後々の作品で展開していきますからね。
チャットの入門盤として最適な作品だと思います…解散しちゃうのに入門も何もないんだけど。




お気に入りは、#01 『親知らず』#03 『シャングリラ』#09 『真夜中遊園地』#12 『モバイルワールド』




この作品が好きなら、・『SHISHAMO 2』/SHISHAMO・『NEW KINGDOM』/the peggies・『ソルファ』/ASIAN KUNG-FU GENERATIONなどもいかがでしょうか。




iPod nanoにも入れておきたいレベル(^.^)









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