>オリジナルフルアルバム
>タイトル:グアナコの足
>アーティスト:GOOD ON THE REEL
>リリース日:2017年 2月 8日
>記事作成日:2017年 3月





聴きました!

ここ数年で急速にそのお名前を見かけるようになったバンド。

近年稀に見る多作なバンドですよね。本作はフルアルバムですが、前作から一年強というインターバルでのリリース。
フルアルバムなら一年、ミニアルバムなら半年くらいのインターバルを守りながらコンスタントにアルバムをリリースされています。この音楽不況の世の中では、パッケージ作品のリリース頻度を落としてライブを増やして収入を確保するのが一般的なのに。



スタートは『砂漠』。
持ち味の、爽快で軽快なプレイが炸裂!どっしりとしたドラムスと、軽やかなピアノの旋律が見事にマッチ。
歌詞は歌詞で、安定のネガティブさ加減(笑)いや、なんというか…そこに込められているメッセージ性自体はガチガチに後ろ向きというわけでもないんだけど。「◯◯してしまった」とか、そういうマイナス方向の表現が多くて。。。そーゆーの、嫌いじゃないんだけど。

テンポを幾分落として『小さな部屋』。
これも、トラックこそ力強いバンドのアンサンブルのおかげでそれなりにポップに聴こえてはいるけど…基本的にはメランコリーに満ちた曲。
生活感に溢れた歌詞が…描写がリアルだからこそ、切なくて儚い空気感が一層際立って聴こえてくるのです。

再びアッパーなビートで、『Drop』。
もちろん湿度のある歌詞ではあるんだけど、それをも上回る演奏陣の勢いが良いですね!歌詞じゃなくて、サウンドのほうから「うだうだ言ってんじゃねぇ!」と一喝されたようなメッセージ性を感じます(笑)歌詞から独立したメッセージを受け取る経験って、まず無いですよね。ふふっ。

タイトルにもユーモアを感じる『mean me in』。
ベボベボとアグレッシブにはしゃぎ回るベースがすごく好き。決して独りよがりではないんだけど、調和を保ちつつもグルーヴ感を牽引していて。
すごくキャッチーでポップな曲。

ヴィンテージ感のあるギターの音が素敵な『ひらり』。
リズムギターは「太い」んだけども「軽やか」で、そこに軽やかで煌びやかなリードギターが絡んでいく。
ボーカルラインも好き。ヴァースではぐっとテンションを抑えていて、サビで一気に解放される。ある種のカタルシス。

ドカドカとしたドラム、すっごく気持ちいいぞ!『あいつ』。
なんだろう…「GOOD ON THE REEL」と『あいつ』っていう2つのキーワードだけで、もう「これは絶対に女々しい曲に違いない!」と確信を持ってしまう(笑)そして、その確信はあながち間違っていないという。
流行りの四つ打ちなのに、リズム隊はアグレッシブなのに、ギターはポップなのに…それなのに、この、じっとりした感じ(笑)
すごく好き。

ある意味でベタな『逃げ水』。
ベタというのは別に悪い意味ではなく。ここまでずっと、一貫して煮え切らないじっとりした歌詞を爽快な演奏や軽快なビートで聴かせてくれていたものが、アレンジ&演奏も含めてメランコリーにしっとりと響かせてきたと…そういう意味で「ベタな魅せ方をしてきたなー」と。
6月の雨の日に、どん底の気持ちで聴きたい(笑)

勢いの良い軽快なロックンロールに戻って、『いなくなる日』。
これは…聴くのももちろん良いですが、コピーしたら気持ち良さそうだなぁ。ダウンピッキングでガツガツ鳴らすベースでもいいし、シンバルをふんだんに織り交ぜながら派手に鳴らすドラムでもいい。マルチエフェクターで音を混ぜながらのギターも、意外にいいかも。
気持ち良くなりたいなら、ボーカルだけはパス(笑)

軽快なポップチューン、『zzz』。
これもまた、演奏したら気持ち良さそう。前曲とは違って、「勢い」というよりも「跳ねるビート」を楽しみたい感じ。演奏にテクニックは要りそうだけど、バンドで合わせられたらもうこんなに気持ちのいいものはないだろうなぁ。

ラウドなロック、『冬の羊』。
先天的なキャッチーさとポップネスはやはり滲み出てはいるのだけれど、努めて骨太感を強調しているような印象を受けます。
尺的にも、6分近い壮大さのある曲です。

ボーカルラインがあまりにもキャッチーで心奪われる、『灯火』。
アレンジ的には比較的オーソドックスですね。でも、この曲に関してはそれが良い。変にトリッキーな事をしてボーカルラインのインパクトを損なうよりは、演奏陣はオーソドックスなアプローチに徹してもらう事でボーカルを際立たせる…そんな、バランス感覚の良さを感じた曲。

ラストは『銀河鉄道の朝』。
まぁ、雑に言っちゃえば「もしもシリーズ」ですよね(笑)宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』をモチーフにしながら、視点を変えて見てみた時の「もしも」をフィーチャーしている。そこから転じて、日常生活における様々な事に関しても視点を変えてみる事で起こり得る変化について歌っています。



そんな、計11曲。

相変わらず、はみ出しそうなくらいにぎゅうぎゅうに詰まっているポップネスが印象的でした。そして、そんなにポップなのにも関わらずメランコリックでセンチメンタルな歌詞。ある時にはそれがギャップとしてインパクトを生み出し、またある時にはガッチリ噛み合って一丸となって脳天を攻めてくる感じ。

まぁでも、若干ね…そのスタイルに既視感を覚え始めたかも。
冒頭でも書いたように、とても多作なバンドなので。そろそろ「過去作のアレに似た曲」みたいな事を言えちゃう場合が増えてきたかも…。
リリースペースは落とさずに、毎回新たな驚きにさいなまれたい。そんな、わがままな事を思っちゃいました。それはハードルが高い事だけど、逆に言えばそれを期待出来るくらいにポテンシャルの高いバンドだと思っている証拠とも言えます。
…って、勝手な事を言い過ぎ?(笑)





お気に入りは、
#02 『小さな部屋』
#05 『ひらり』
#07 『逃げ水』
#11 『灯火』





この作品が好きなら、
・『スーパーリアリズム』/ウソツキ
・『ナイン・チェアーズ』/スナッパーズ
・『Mrs. Green Apple』/Mrs. Green Apple
などもいかがでしょうか。





iPod nanoにも入れておきたいレベル(^.^)










ぼくの、もう1つのブログもご贔屓に!