>オリジナルフルアルバム
>タイトル:純情ランドセル
>アーティスト:赤い公園
>リリース日:2016年 3月 23日





聴きました!

勢いの止まらない4人組ガールズバンドの最新作。
作品ごとにどんどんと異なる作風を繰り出してくる彼女たちですが、本作は。。。



妖しげな旋律がインパクト大な『ボール』からスタート。イントロからしてそうだし、本編も緊張感と浮遊感の入り混じるクセの強いメロディ。歌詞は意外と真面目でまとまりが良いんですけどね。この辺の“アクの強い感じ”は、赤い公園ならではだと思います。“ガールズバンド”という存在には、それだけで何かしらのアドバンテージがあるような気がしているのですが、この人たちはそれを自分たちから願い下げて、あくまでも“ロックバンド”として勝負していこうとしている気がします。

メロウで煌びやかな仕上がりの『東京』。東京の持つ様々な二つ名…例えば“アーバン”であり、例えば“ラグジュアリ”であり。そういった、お洒落な東京ライフを音楽で表現したような曲。とにかく余裕があって、美しくて、上品。田舎生まれのぼくからしたら、小憎たらしいくらいに(笑)

しっとりとした中に骨太なロックが紛れ込む『Canvas』。上質なロックバラード。津野さんのギターが“濡れて”いて、またひとつギタリストとしての新しい引き出しを見せられたような気がします。もちろん、コンポーザーとしても相変わらず素晴らしい!

“西”が付くだけでこんなに違うの⁉︎と驚かずにはいられない、『西東京』。タイトなビートと荒々しいギターに急き立てられるけれど、何故急き立てられるのかが不明(笑)
2曲目の『東京』は、この曲のためのフリなんじゃないかとすら思えてきます(笑)こちらはこちらで、初期楽曲のクセの強さを彷彿とさせる良さがありますね。

スロウなテンポでメロウなアレンジ、なのにどことなくスレた感じがあるような気がしていたら、タイトルは『ショートホープ』。うん、なんとなく分かる。タバコって、こんなイメージ。中高生にとってのタバコなんて、“ワルの象徴”(笑)なんだろうけど…大人になってからタバコに持つイメージなんて、毎日に疲れてちょっとスレた、何というか、所帯やつれしたイメージですからね(笑)

さらにゆったりと、もはやねっとりとした雰囲気の『デイドリーム』へ。まさに白昼夢の中にいるような、薄い膜を通して世界を見ているような、そんなドリーミンな曲。薄い膜越しに見る世間は、やたらとキラキラとして現実感に乏しく映るものなのかもしれません。

一転してポップに、カラフルに、『あなたのあのこ、いけないわたし』。この辺は、近年の、キャッチーな作風を踏襲している感じがします。意図的に取り入れていると思われる、“ガーリーサイド”(笑)

遊び心が炸裂、『喧嘩』。前曲とか、過去作でいえば『NOW ON AIR』なんかをやっている人たちと同じ人たちの作品とは、にわかには信じがたいくらい(笑)だけど、その二面性が好きだったりします。

ポップロック、『14』。メロディ&ボーカルはポップそのもので、演奏陣はロック。疾走感があって、聴いててすごく気持ちよくなります。メロディに対する言葉の充て方も、とても収まりがよくて気持ち良い。

一瞬「井戸田のネタか⁉︎」と思うようなタイトル(笑)の、『ハンバーグ!』。曲調も内容も、とてもポップでパステルカラー。過去作でいうと『楽しい』とか、あんな感じの心ウキウキソングです。
ギターって津野さんだけ(=1本)なのに、“ギターバンドの曲”なんですよねぇ。津野さんすげぇ。

再びスローリーでドリーミンな、『ナルコプレシー』。ナルコプレシーって、脱力したり眠気が襲ったり、眠ってんだか起きてんだかはっきりしない混濁した意識とかっていうアレですよね?それを、(言葉は勿論ですが)演奏とアレンジで表現するという高等技術を軽々とやってのけてますね。バンドの底力に、驚かされるばかりです。

シングル、『KOIKI』。良いですねぇ。独特のクセは残しつつ、シングル曲としても充分すぎる程のキャッチーさ。やるなぁ、ほんとにやるなぁ。デビュー当時って、そのサイケデリックさと出で立ちのエキセントリックさで目立っていたところがあった気がするのですが、今ではちゃんと“音”で目立てている。

USポップのように底抜けに明るく弾けた楽曲、『黄色い花』。ストリングスって、割と楽曲を優等生に見せるパートだと思うのですが…この曲に関しては、率先して奔放。そしてヤンチャ。このポップセンスは….と思ったら、プロデューサーはやはり亀田誠治師匠!でも、亀師匠がトータルプロデュースをしてたらもっとクセがなくて、聴きやすくて、甘い作品に仕上がってたんだろうなぁとも思います。それが亀師匠の持ち味だとは思うのですが…そんなスウィートな部分とイビツなクセの両方があって初めて赤い公園だと思うので。5人のアレンジャーを起用するという方法は正解だと思うし、確信犯的にそうしているんじゃないかという末恐ろしさすら感じるのです(笑)

ラストは優しく、しっとりと、『おやすみ』。ピアノの訥々とした響きは、まるで雨の日の公園の遊具みたいな切なさを与えてくるわけです。歯を食いしばって、何かをグッとこらえて、そうして頑張った夜に独りの自宅でこんな曲を聴いたら、多分確実に泣く…。歌声が優しいもんだから、逆に切ない。



そんな、計14曲。

例えば初期の毒々しくて斜に構えまくりの作風も、近年のキャッチーなポップス路線も、この作品で網羅出来る気がしました。音楽性は広がっているけれども、“変わった”わけでは決してなくて。ここまでの道のりを総括するような、そんな味わい深い一枚になっていたと思います。
本作はベストアルバムではないけれども、これまでのキャリアを振り返られるという意味ではそれに近い位置付けのアルバムかもしれません。

うん、そろそろ“まったく新しい”赤い公園が見たいかも。って、それは贅沢過ぎるか(笑)





お気に入りは、
#02 『東京』
#04 『西東京』
#10 『ハンバーグ!』
#12 『KOIKI』
#13 『黄色い花』
#14 『おやすみ』





この作品が好きなら、
・『NEW KINGDOM』/the peggies
・『TIME』/KANA-BOON
・『猫とアレルギー』/きのこ帝国
などもいかがでしょうか。





CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/










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