>カバーアルバム
>タイトル:沿志奏逢2
>アーティスト:Bank Band
>リリース日:2008年 1月 16日




久しぶりに聴きました!

音楽プロデューサー・小林武史さんとMr.Children・櫻井和寿さんを中心とした手練れの面々によるカバーアルバム。

前作(以後、便宜上『沿志奏逢1』『1』と表記します)に比べて、ポップな仕上がりになっていると感じました。選曲も、『1』では櫻井さんらよりも世代が上のアーティストの曲が多かったですが、本作では同世代のアーティストの曲なども扱っていて。しかも、Rap曲なんかも含む、ジャンルレスな仕上がり。


#01、『何の変哲もないLove Song』からスタート。スカっぽい、跳ねたリズムとパーカッシブルなビートが特徴的。KANさんの、陽気で大らかなフレーバーも残っています。

矢野顕子さん原曲の、『ひとつだけ』。カラフルでポップ、そしてハッピーな曲。サビ前で一気にボルテージを上げるボーカルとブラスが、ただポップなだけだはなくダイナミズムも感じさせてくれます。

GAKU-MCさんの『昨日のNo,明日のYes』を、ご本人さんと一緒に。初期のap bank fesには、ガクエムさんが必要不可欠でしたよね。そんな事も思い出す曲。
このコラボが少なからずウカスカジーの活動にも影響してるだろうし、そういう意味でも大事な曲ですね。

Bank Band初のオリジナル楽曲、『to U』。これだけ個性的な櫻井さんの歌声とまともにやり合っているSalyuさんって、本当に稀有なボーカリストなんだと思います。『to U』って聴いた時に、ふっと思い浮かぶのはSalyuさんの歌う姿だったりするし。Salyuさんは言わば“客演”なのに、自分のものにしている感が凄い。
東日本大震災のあとに、最初に聴きたくなった曲でもあります。

鳥肌モノの『スローバラード』。オリジナルは、言わずと知れたRCサクセション!どちらかと言うと線が細い印象の忌野さんの歌声。それで世界観が成り立っていた曲を、太い櫻井さんの声でどう再現するのかと思いましたが…違和感ゼロ。涙腺を刺激するメロディラインと、追い打ちをかけるように被さってくるトランペット。エモーショナルでドラマチック。名曲!

チャボさんの『遠い叫び』をラウドに、荒々しく、だけどリズミカルに。アクが強いなぁ。なんてアクが強いんだろうか。もちろんメッセージ性はあるんだけれども、どっちかというととにかくそのグルーヴ感にただただ浸っていたい。

一転してメロウに、優しく、儚く、『休みの日』。ジュンスカの名バラードですね…なーんて言いつつ、ぼくが初めて聴いたのはBank Bandバージョンですが(笑)あ、もちろん後追いで、オリジナルのほうも聴きましたけど。
とにかく切ない…「君」を好きなばっかりに、「君が選んだサヨナラ」すらも好きになれるかもだなんて…なんて女々しいんだ(笑)でも、往々にして男の方が女々しいもんねぇ。

ジュディマリの『イロトリドリノセカイ』を、賑やかに、ハッピーに。なんか…共に90年代以降のJ-POPシーンを牽引してきたMr.ChildrenとJUDY AND MARYがこういうカタチで繋がるとは…何だかよく分かんないけど、嬉しい気持ちになるんですよねぇ。
そして、秋が深まってきたこれくらいの時期に聴くのがもう、なんというか、快感のレベル。

何だか怖いぞ、『煙突のある街』。ブルーハーツ時代のマーシーさんのソロ作。なんか、高度成長期の、輝かしい側面と反対側の弊害のほうを包み隠さずに歌詞に乗せている感じ。公害だとか、急成長による社会の歪みであったりとか。
でも、刺激的な歌詞に負けず劣らず、特に後半にかけての楽器陣の畳み掛けも凄い。まさに総力戦といった趣き。

Bank Bandのオリジナル楽曲第2弾、『はるまついぶき』。小林P作曲で櫻井さんが作詞という、ありそうでなかった組み合わせが堪能出来るのもBank Bandの醍醐味のひとつ。
メロディラインは比較的シンプルですが、サビでドラマチックに展開させる辺りはさすがの手腕。歌詞も、その波に合わせるかのように緩急織り交ぜた言葉で構成されています。

#11、『MR. LONELY』。玉置浩二さん原曲。とてもシンプルでストレートなメッセージソング。この作品、そしてこのバンドのコンセプトにとてもよく合った楽曲だと思います。
櫻井さんが、ご自身で作るバラードとはまったく異なるタイプのメロディ&構成で、聴いてて何だか新鮮でした。

これもまた感慨深い選曲、『evergreen』。子どもの頃のぼくにとって、Mr.ChildrenとMy Little Loverは2大ヒーローでしたからね。この流れから、音楽プロデューサーという存在を知り、小林武史さんの名前を知り…そんなマイラバの名曲を、櫻井さんが歌い小林Pがプロデュースするなんて。
原曲の、正しくエバーグリーンな瑞々しさと、櫻井さんの伸びやかな歌声がベストマッチ。手放しな幸せではないけれど、それでも一人ではない事を実感出来るような温かい歌詞がまた良い!

#13、『歌うたいのバラッド』。斉藤和義さんの名バラード。これはきっと、櫻井さんをはじめとするミュージシャン勢みんなの想いなんだろうなぁ。
最初は穏やかで優しいけれど、後半に向けてどんどんアグレッシブになっていきます。

ラストはオリジナル、『よく来たね』。ap bank fesのオープニングナンバー。日も昇り切らないうちから車を飛ばして、半ばぐったりしながらつま恋に到着して、それでもこの曲を聴いた瞬間にふっと体が軽くなるような。そして、この曲を聴いた瞬間に、緑の匂いや肌が焼ける感覚や爽やかな風が思い出されて、「あぁ、何回夏が来てももうap bank fesは無いんだなぁ」って悲しい気持ちになってしまいます…。


そんな、計14曲。

上記でも触れていますが…最後が『よく来たね』な分、リリース当時には無かった喪失感を感じてしまって切なくなる部分はありつつも、それでも、全体的には『1』よりも多幸感に満ちた明るい仕上がりになっていると思います。

本作では、上の世代だけではなく同世代アーティストの楽曲にもフォーカスを当てていて。これが、次作『3』では更に下の世代の楽曲にまで広がっていくという。
ap bankの隆盛期の作品ですね。




お気に入りは、
#03 『昨日のNo,明日のYes』
#04 『to U』
#05 『スローバラード』
#07 『休みの日』
#12 『evergreen』




この作品が好きなら、
・『だれそかれそ』/ハナレグミ
・『大人のまじめなカバーシリーズ』/安藤裕子
・『おんがえし』/村上ゆき
などもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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