>カバーアルバム
>タイトル:沿志奏逢
>アーティスト:Bank Band
>リリース日:2004年 10月 20日




久しぶりに聴きました!

言わずと知れた、音楽プロデューサー・小林武史さんとMr.Children・櫻井和寿さんを中心としたバンドの1st.アルバム。
もう、10年以上前の作品になるのか…時の流れの速さを実感。

環境問題に取り組む人たちに融資するための銀行を立ち上げて、その運転資金に充てるための作品…というと何だか商業主義の音楽作品であるかのように聞こえちゃいますが、実際にはプロ中のプロが集まった音楽集団による、非常に芸術性の高い作品です。

11年前…当時は正直、「やっぱりMr.Childrenのオリジナル作品のほうが良いな」って思ってました。いや、今もそりゃあ、Mr.Childrenの華やかでキャッチーでアグレッシブでバリエーションに富んでて…そんな音楽が大好きなんです。でも、今回聴き直してみて、Bank Bandの良さを改めて感じたような気がします。もしかしたら、「改めて」じゃなくて「初めて」なのかもしれない。
なんか、「いいなぁ」って思いました。


中島みゆきさん原曲の、『僕たちの将来』からスタート。(ほぼ)アコギとピアノのみによるシンプルな編成。この雰囲気が、この先に連綿と続いていくBank Bandのカラーを凝縮していると言っていいかと思います。リリース当時のぼくにとっては、それが少しビター過ぎたというか、アダルト過ぎたというか、そんな感じがあったんですよね。
でも、なんか、今回改めて聴いて、鳥肌が立ちました。

軽快に、『カルアミルク』。原曲は岡村靖幸さん。当時は岡村さんの音楽を殆ど聴いた事がなかったのですが、その後ちょいちょい聴いて、その耳で改めてこの曲を聴くと「岡村さんのポップセンスをよく活かした造りになってるなぁ」と感じました。もちろんBank Bandとしてのオリジナリティはありつつも、岡村さんの作品特有の(もちろんいい意味での)軽薄さとか、俗っぽさとか、なのに凄く洒脱で“シュッとしてる”感じもあったりとか。「櫻井さん、ほんとに好きなんだろうなぁ」と感じました。

#03、『トーキョーシティー ヒエラルキー』。オリジナルはHEAT WAVE。申し訳ない事に、今日に至るまでオリジナル音源を聴いた事は無いのですが…Bank Bandのこのバージョンはこれまた洒脱で洗練されていて、極上のシティポップに仕上がっていますね。古川昌義さんのギターも、まろやかなのにソリッドな部分もあってとても印象に残ります。

大貫妙子さん原曲の、『突然の贈りもの』。ゆったりとしたジャジーな仕上がりは、ムーディかつアダルト。リリース当時は、失礼ながら「地味な曲だな」くらいにしか思ってなかったのですが(笑)、改めて聴いたら、そのセクシーさにうっとりしてしまいました。男なのに(笑)

井上陽水さんの『限りない欲望』を、ドスの効いた音で。ベースがブリブリ鳴っていて、シンセが焦燥感を駆り立て、ピアノがヒステリックに跳ね回る。陽水さんの皮肉と毒に満ちた世界観を、ギターとブラスが煽ります。

続いてもシニカルでアシッドな、『マイ ホーム タウン』。これ程にタイトルと曲調にギャップのある曲も、そう無いではないでしょうか。タイトルだけ聴くと、人情系の曲っぽいのに。でも、そういう裏切りとかは、Mr.Childrenにも垣間見えたりしますね。音楽ってのは受け継がれていくんだな。

再び中島みゆきさんの曲、『糸』。説明不要の大名曲。中島さんのオリジナルには男性的な“強さ”を感じますが、櫻井さんの歌声には女性的なしなやかさを感じたりして。
歌詞がまたいいんだよなぁ。これはもう…言葉に出来ないくらいに好きな曲。聴くたびに泣いちゃいそうになる。

Mr.Childrenのセルフカバー、『HERO』。まぁ、この曲だけはね…そもそもオリジナルのほうを、「歌詞もメロディもアレンジもパフォーマンスも“完璧”!」って思ってるので、こちらのバージョンはイマイチ馴染み切れず。それでも、原曲とはまったく別の切り口で、より歌詞のメッセージ性がフィーチャーされた“メッセージソング”になっていて、それは凄いと思いました。

さねよしいさ子さんの『幸福のカノン』。原曲は存じ上げないのですが…前半は、童謡や“みんなのうた風”な可愛らしいアレンジ。後半はテンポとリズムを変えてスカっぽく。真摯で真面目な雰囲気の本作において、遊び心が前に出ている(ように聴こえる)のがこの曲。

再びMr.Childrenのセルフカバー、『優しい歌』。『HERO』とは異なり、こちらのセルフカバーはなんかしっくり来ました。原曲とは余りにも違う、言わば“別モノ感”が強いアレンジだからでしょうか。原曲はポップなアッパーチューンでしたが、こちらはアコギとキーボードによるシンプルなミディアムチューンに。パイプオルガンっぽい雰囲気のあるキーボードの音色は、もはや神々しさすら感じます。

本編ラスト、『歓喜の歌』。オリジナルは遠藤賢司さん。さらなる元ネタは、ベートーベンの『第九』ですね。クラシックのメロディラインである事や、歌詞の言葉の選び方からしても、讃美歌のような雰囲気がある曲。静謐で、美しく、凛とした佇まいの曲。

で、#12はボーナストラック。2パターンあって、浜田省吾さんの『僕と彼女と週末に』か吉田拓郎さんの『イメージの詩』のどちらかが収録されています。
便宜上#12-Aとします、『僕と彼女と週末に』から。これもまた、タイトルから受ける身近で“普段着”な雰囲気と歌詞の内容とにギャップのある曲。特に、途中の語りの部分のストーリーは何なんだ⁉︎…なんか、もはや怖い。荒廃後の世界みたいな?シンプルで物静かなアレンジも、逆に怖い。

#12-B、『イメージの詩』。ベースがフィーチャーされた、ジャジーなアレンジ。#12-Aが“硬”ならこちらは“軟”、あちらが“隠”ならこちらは“陽”、そんな感じ。いや、決して底抜けに明るい曲という訳ではないし、ましてや能天気な曲では全然ないのだけれど…どうしても、#12-Aと比べるとね。


そんな、計12曲。
ボーナストラックが2種類あるので、2枚とも購入すれば計13曲。

渋いです。それが、10年前よりも心にヒットするようになったぼくもまた、大人になったという事でしょうか(笑)
Mr.Childrenは華やかな音楽だけど、まるでコインの表裏のように、Bank Bandはシンプルで渋くてじわりと伝わってくる感じ。




お気に入りは、
#01 『僕たちの将来』
#04 『突然の贈りもの』
#07 『糸』
#10 『優しい歌』
#11 『歓喜の歌』




この作品が好きなら、
・『FAKE BOOK』/大橋トリオ
・『10 Stories』/甲斐よしひろ
・『「福山エンヂニヤリング」サウンドトラック The Golden Oldies』/FUKUYAMA ENGINEERING GOLDEN OLDIES CLUB BAND
などもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









ぼくの、もう1つのブログもご贔屓に!