>オリジナルフルアルバム
>タイトル:What are you looking for
>アーティスト:ハナレグミ
>リリース日:2015年 8月 19日




聴きました!

久しぶりの、ハナレグミさんのオリジナルスタジオアルバム!
かなり、かーなり、これまでとは違うギアを入れてきたなという印象です。シンガーソングライターのイメージが強いこの方なのに、今回はいろんな人から詩や曲の提供を受けていて。しかも、提供者がまた意外性に富んでいるし。
でも、単に「ハナレグミが“ぽくない”曲を歌っている!」という驚きではなくて、どちらかというと多くの曲が「“それでも”ハナレグミだ」と思わされる…そういう驚きです。それはカバーアルバム『だれそかれそ』でも感じた事ですが。とにかく自分色に持っていくボーカリスト。なのに別に押し付けがましくなくてさりげないのがかっこいい。


インスト『Overnight trip to Chiang Mai』からスタート。アコギと口笛が中心の大らかな曲なんだけど、メロディの彫りの深さが特徴的。これを歌モノにしないなんて、貧乏性のぼくには「もったいないな」なんて感じました(笑)

#02、『祝福』。作詞・作曲共にYO-KINGさん。確かに普段のハナレグミ曲とはちょっと雰囲気を異にしている感じもありますが、でもだからってYO-KINGさんっぽいかと言われるとそうでもないんだよなぁ。どちらかというと、イメージ的には“昭和のスタンダードのカバー”みたいな?ぼくにはそう聴こえました。
呟くような訥々とした歌い口が、じんと沁みてくる優しい曲。

作詞が大宮エリーさんの『旅に出ると』。裏拍の、ほんのりスカっぽい曲。
そう思って聴くからだとは思うけど、「物書きさんが書く歌詞だなぁ」って。センテンスごとにフックがあって、インパクトがあって、ドラマ性がある。言葉のプロの書く歌詞だなぁと思いました。

池ちゃんさんとの共作というのが嬉しい、『フリーダムライダー』。ブラックでアシッドなヴァースから、一転して抜けるような爽快感とキャッチーなサビに繋がっていく構成がいいです。うん、凄く気持ちいい。

作曲が元キリンジの堀込泰行さんで、『無印良人』。何となく、イメージとしては「昭和の最先端音楽」って感じがしました(笑)やたらとインパクトの強い各楽器類のフレーズは、単音でチープなデジタル部分を補うためにあるかのような…そんなバランス感覚が、昭和を思わせるポップソング。
いや、全部ぼくの勝手なイメージなんですけどね(笑)

「ハナレグミ汁が出まくり」と思ったら永積さんの作詞作曲、『11Dandy』。南国音楽を思わせる陽気で大らかな空気感。そこに、押し付けがましさの一切ないポジティブフレーズが乗っかっています。

#07、『ぼくはぼくでいるのが』。詩は辻村豪文さんとの共作、曲は辻村さん。まるで体温くらいの、さりげない温もりのあるミドルバラード。乗ってる歌詞は、感傷的。どういう種類の感情なのかが自分でもよく分からないんだけど、分からないままに心が揺さぶられてグッとくる。

何とRADWIMPSの野田洋次郎さんがトータルプロデュース、『おあいこ』。歌詞の「上手いこと言ってる感」はまさしく野田さんのそれなのだけれど、曲トータルの雰囲気としてはまさしくハナレグミの音楽。とても切なく、とても哀しく、けどそこはかとない温かみに救われる曲。
ドラムレスかつコーラスワークが要になっている構成は、RADというよりもむしろillionの作風に近いかも。

同じくスロウな曲調ではあるけれど、こちらは幸福感のある歌詞が特徴的な『Oi』。永積作品。しっとりと、じんわりと、ゆったりと沁みてくる愛の歌。永積作品の真骨頂。

可愛らしくて優しくて、少しだけノスタルジックな『金平糖』。それはまさに金平糖みたいな。
テンポよく、小気味良く刻む、オモチャのピアノみたいなピアノの音と旋律が特徴的。そして、美しいコーラスワーク。これ多分、原田郁子さんですよね。もはや、このコンビネーションは長年苦楽を共にしてきたバンドメンバーのそれのよう。

永積作品が続きます、『いいぜ』。柔らかく、優しく、温かく…囁くように、呟くように、とてもいい声でとにかく柔和な雰囲気で比較的くだらない事を歌っている(笑)
この気持ち、凄くよく分かるけど…多分女の人には分からないんだろうなぁとも思います。

洋楽カバー、『360°』。Asaさんの原曲に、永積さんが日本語詞をあてて。柔らかいのにアグレッシブなアコギが特徴的な、ポジディブな曲。
ぼくは洋楽アーティストには本当に疎いので、このAsaさんという方の存在すら存じ上げなかったのですが…ちょっと、原曲も聴いてみたくなりました。

ラストは『逃避行 ~よなよなおっぱじめ!! live ver.~』。ハナレグミさんのライブを生で体感した事はまだ無いのですが、DVD『hana-uta fes』を観たりライブアルバムを聴いたりした時に感じたあの独特なグルーヴ感を、このテイクでも存分に感じる事が出来ました。ルートを辿っているベースが、何とも心地良い。


そんな、計13曲。

本当に、作家陣の名前を見ると錚々たるメンツで、そこだけだと「これが一枚のアルバムでまとまるワケが無い」とすら思えるのですが(笑)…見事に一枚にまとまっています。しかも、コンピ盤のようなまとまり方ではなくて、あくまでもちゃんと「ハナレグミのアルバム」として。

ボーカリストとしてのハナレグミさんのチカラを再確認出来るアルバムでもありました。
まぁ、欲を言えば、永積さんの言葉で『家族の風景』とか『さらら』とかああいった系の曲を聴きたくもありましたけどね。本作においてはそれが『おあいこ』なのかなぁと思うのですが。




お気に入りは、
#07 『ぼくはぼくでいるのが』
#08 『おあいこ』
#09 『Oi』




この作品が好きなら、
・『birdcore!』/コトリンゴ
・『Merry Andrew』/安藤裕子
・『Speakers』/荒井岳史
などもいかがでしょうか。




iPod classicには入れておきたいレベルf^_^;)









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