>オリジナルフルアルバム
>タイトル:SENSE
>アーティスト:Mr.Children
>リリース日:2010年 12月 1日




久しぶりに聴きました。

新作がいよいよリリース間近ですからね。復習復習!

20数年のキャリアを誇るバンドの歴史の中でも、特段に異質なプロモーションが記憶に残った本作。
プロモーションと言っても、テレビ番組にも出ず雑誌取材も受けない、そしてネット上に断片的な情報が順次アップされていく…という、何とも攻撃的な“SENSE Project”なる企画。意味深すぎる「トビウオニギタイ」のCMや、続々とアップされた更に意味深な動画。
配信曲やタイアップ曲はあったもののシングルとして切られた曲は無く、多くは初出しの曲。


#01、『I』。生臭くて混沌とした、人間の汚い部分をさらけ出すようなドロッとした世界観。普段はさも本気のように駆使している言葉ややり口が、いかに打算的で表面的なものかを知らしめられます。

#02、『擬態』。このアルバムのリード曲と言って良いでしょう。ポップでキャッチーなメロディなんだけど、どこか硬質で斜に構えた雰囲気のあるロックナンバー。
歌詞の「障害を持つ者はそうでない者より不自由だって誰が決めんの?」という一節。福祉の一端を担う者として、衝撃を受けずには居られませんでした。何故なら、それはぼくらのような支援者が決めている側面があるから。不自由だと思い込んでいる人に支援をされて、自由に生きられるわけがないですよね…詭弁と言われるかもしれないけど、忘れてはいけない事だと思います。

#03、『HOWL』。突き抜けるように爽やかなナンバー。
本作を指して桜井さんは、当時どこかで「全く新しいMr.Childrenを」みたいな事を言っておられた気がしますが…これは、初期を彷彿とさせるポップなナンバー。本作収録曲は、そのコメント通り“全く新しい”んだけど、どこか懐かしいような気もするんですよね。本作は、そこまでのMr.Childrenのアーカイブのような、そんな印象を受けます。

#04、『I'm talking about lovin'』。ジャジーなベースラインと軽快なドラムスが、何とも言えず洒脱です。大人の、小慣れた遊び心を感じます。

#05、『365日』。CMタイアップのバラード曲です。当時、本作での音源化よりもかなり前にCM起用がなされたために、どんどんと「早くフルで聴きたい」欲が強まっていった記憶があります。
シンプルながら…いや、シンプルだからこそ伝わる愛のメッセージ。好きだ嫌いだよりも深く、もっと慈愛に満ちた気持ちをカタチにした曲。

#06、『ロックンロールは生きている』。非常に攻撃的な、過去のMr.Childrenには例を見ないようなロックチューン。タイトなリズムに、エフェクトのかかった声に、近年ミスチルにはあまりなかったがっつりギターソロに、どんどん展開していく構成。リリースの数日前にラジオ解禁されましたが、当時、それを繰り返し繰り返し聴いた記憶があります。
とにかくロック!とにかくかっこいい!!

#07、『ロザリータ』。昭和歌謡風の、ムーディーで哀愁と情感がたっぷりで妖艶な色気に満ちた曲。
それにしても、前曲の超攻撃的ロックナンバーからこのしっとりした曲への繋ぎ方がまた巧い。小林Pの仕事なのかな。

#08、『蒼』。シンプルに、訥々と歌い上げられるバラード。いろんな意味で“作り込まれた”感の強い曲たちが並ぶ本作において、この曲はぼく(たち)の日常と地続きのように感じられる素朴な曲。
上手くいかなかったり失敗して気分が落ちている時に聴くと、凄く共感出来る歌詞。

#09、『fanfare』。配信シングル、かつ映画版『ONE PIECE』の主題歌でした。『ロックンロールは生きている』が陰性のエネルギーに満ちたロックナンバーだとしたら、こちらはまるでコインの裏表のように陽性のエネルギーに満ちたロックンロール。とにかく気分が高揚します。

#10、『ハル』。“春の歌”というよりは“春を待つ晩冬の歌”って感じの、物静かで繊細な曲。後半にかけてどんどんバンドもストリングスも盛り上がっていく構成ではありますが。

#11、『Prelude』。爽やかなポップチューン。メロディに対する言葉の乗せ方はまさに桜井節と言える、高難度なもの(でもそれをあくまでもサラリとね)。そして、随所で見られる韻。言葉遊びを楽しんでますね。

ラスト、『forever』。メロウなアレンジと、物憂げな歌詞&ボーカル。そう言えば、希望を指し示すでもなくポジティブな描写が差し込まれるでもなく、ひたすら失恋の喪失感に特化した曲というのは久しぶりな気がします。そして、そんな曲でアルバムを〆るなんて、『Atomic Heart』の時の『Over』を彷彿とさせませんか?
失恋直後に聴いたら涙腺崩壊しそう(笑)


そんな、計12曲。

非常に硬質で斜に構えたような作品。いや、それはアルバム全体(プロモーション等も含む)の雰囲気の話ですね。
一曲一曲を取り出してみると、凄く華やかでキャッチーなものも幾つもあるのだけど。
だってもう、“シングル(パッケージシングル)曲ゼロって時点で、一筋縄ではいかない事が明白ですよね。でも、当時は斬新だったけど、今では“配信シングル+新曲のみ”のアルバムって、「よく見る」どころかそっちのが多くなり始めてる気すらしますもんね。
次作『[(an imitation)blood orange]』もシングルは1枚だし、リリース間近の最新作『REFLECTION』もパッケージシングルはゼロだし。
時代は変わったんですね。

ちなみに、前述の通り、本作リリース時にはメディアプロモーションを一切しなかったMr.Childrenですが、去年末に出た雑誌『MUSICA』にて当時の事を初めて詳しく言及してました。当時の動きを答え合わせをするみたいで、とても読み応えのある記事でしたよ。

さて!あと半月でいよいよ最新作『REFLECTION』がリリース!!超楽しみだ!!!まずは来週のライブ!!!!




お気に入りは、
#01 『I』
#02 『擬態』
#06 『ロックンロールは生きている』
#12 『forever』




この作品が好きなら、
・『三日月ロック』/スピッツ
・『TRIAL』/the pillows
・『風のクロマ』/レミオロメン
などもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/









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