>オリジナルフルアルバム
>タイトル:泡のような愛だった
>アーティスト:aiko
>リリース日:2014年 5月 28日




聴きました!

久しぶりに、aikoさんの作品で心底グッと来ました!…というと近年の作品群に失礼な気もしますが。
初期作品の『小さな丸い好日』とか『桜の木の下』『夏服』辺りは本当に大好きで。歌詞を丸暗記するくらい聴いていたのですが、、、ある頃を境に、“分かりやすさ”よりも“テクニカル”な感じに作品が変化したように感じていて。それに伴って、ぼくの耳には少しずつ“?”が増えて、???になって?????になっていったんですよねぇ。勿論aikoさんの楽曲のクオリティが落ちたわけでは一切なくて、単にぼくの耳が、分かりやすい音楽にしか反応できないものだったというだけなんですが。
そんなこんなで、作品が出るたびにチェックはするものの以前ほどの情熱は傾けられなくなっていたワタクシだったのですが…本作は、久しぶりに心が震えました。ぶるんぶるんと。
言うなれば、初期の分かりやすいポップスと近年の高度なテクニックが融合したハイブリッドのような、そんな作品だったと思います。


#01、『明日の歌』からスタート。もう、名曲!世のヒット曲って、バラードのほうが多い気がするんですよね。それはなんか、日本人の多くが演歌にじーんと来るように、“心の琴線に触れるための方程式”みたいなものがバラードには何となくあるような気がして。その点、アッパーチューンとかあアゲアゲな曲にはその方程式が見当たらず、だからそれでもアッパーチューンでヒットを飛ばした人のほうがぼくには“本物”に思えて。aikoさんは『カブトムシ』でスマッシュヒットを飛ばしたわけですが、決定的にお茶の間に浸透したのは『桜の時』とか『ボーイフレンド』とかそっちの“非バラード”系楽曲だと思うんです。
前置きがだいぶ長くなっちゃいましたが、この『明日の歌』にはそういう非バラード曲のカテゴリで、すごくキャッチーで彫りが深くて、そんな、アッパーな名曲に仕上がってるなぁと思ったわけです。初期のaikoさんの勢いを彷彿とさせるような。

#02、『染まる夢』。これも、アッパーかつクレイジー。aikoさんには、“可愛らしさの中にある狂気”も特徴として挙げられると思うんですよね。可愛いだけじゃなく、ほんのりぶっ飛んでる感じが。この曲も、それがあると思います。特にギターの周りなんかは。ただ可愛いだけで終わらせないアレンジが、すごく好きです。

シングル曲だった『Loveletter』。タイトルからしてバラードかと思いきや、これもまたアッパーチューン。しかしaikoさん、今回は最初から容赦なくリスナーを煽ってきますね。

#04、『あなたを連れて』。ここで初めてのバラード曲。物憂げで潤いのある質感は、もはや艶かしくもあります。この曲なんかは、近年のテクニカルな側面が遺憾なく発揮されていると思います。さらっと歌っているので中々気付きづらいですが、aikoさんの作るメロディって実はかなり複雑で難しいですよね…。

#05、ミディアムポップ『距離』。“可愛い”と“綺麗”のちょうど中間のような、子どもと大人の間くらいの、絶妙なバランス。30代のaikoさんが歌ってもリアリティがあるけど、例えば10代の女の子が歌っても全然別の良さを放つんだろうなぁ。

『サイダー』は、その名の通り弾けるような瑞々しさを湛えたポップチューン。でも、この曲も自分で歌おうと思ったら(多分)かなり難しいのでは。

これもシングル曲、更にはパッケージのリリース前に配信もされていた『四月の雨』。CMで初めて聴いたとき、鳥肌が立ったのを覚えています。大人の憂いと色香。そして、曲全体からひしひしと伝わる雨の匂い。言葉ではなく空気でそれを完璧に表現してあるaikoさんに、音楽家としての懐の深さを感じた覚えがあります。

#08、ユーモラスな感じもある『遊園地』。ブラスがまぁ~跳ねる跳ねる。そして、メロディラインは縦横無尽。このメロディもアレンジも、多分常人には逆立ちしたって出てこないアイデアで出来ています。

#09、『透明ドロップ』。シリアスに始まるも、ポップに展開する…サビは、珠玉のキャッチーさ。1曲の中に、一体どれくらいのアイデアを注ぎ込んでいるんだ。ぼくなら、勿体なくてこんなこと出来ない(笑)

『君の隣』もシングルでした。“ザ・aiko”な曲。ぼくの中で、近年のaikoさんといえばこんな感じのイメージです。

#11、『大切な人』。ほんっとに、予想を裏切るメロディライン。普通だったらこっちに行くだろうなーっていう予想をいちいち裏切ってくれます(笑)
この曲の主人公のような人が居たら、ぼくならきっと好きになる!

#12、『キスの息』。少し昭和の歌謡曲のような匂いもする、レトロな質感。でも、古くさくなんかは一切ないという…この曲、好きです。

ラスト、『卒業式』。タイトルずばりな曲。近寄りがたいほどの美しい曲でありつつ、でもなぜか親しみやすさも感じます。ぐるぐる回るかけがえのない記憶と、町中の見慣れた景色が混在するような、そんな表情豊かな曲。


そんな、計13曲。

いや、いい!20代や30代にドンピシャだろうなぁ。
今回は冒頭で喋りすぎたので、最後はすんなり終わりにします。




お気に入りは、
#01 『明日の歌』
#04 『あなたを連れて』
#07 『四月の雨』
#09 『透明ドロップ』
#11 『キスの息』




この作品が好きなら、
・『ハチミツ』/スピッツ
・『THE LOVE ROCKS』/DREAMS COME TRUE
・『*(NOTES)』/NIKKIE
などもいかがでしょうか。




CDで手元に置いておきたいレベル\(^o^)/