
【出演】
山田孝之、小西真奈美、真木よう子、池脇千鶴、二階堂ふみ、杉山彦々、山内健司、マギー司郎、水森亜土
【監督・脚本】
岩田ユキ
“記憶喪失男と3人の花嫁候補+謎の美少女×絆創膏……”

僕の記憶から花嫁が、消えた。愛する人が誰なのか忘れてしまった記憶喪失男が巡る、恋のラビリンス。

三十路目前の片山輝彦は、実直な性格の製薬会社の営業マン。
バイクで営業先を周りながら、置き薬を補充する仕事をコツコツ真面目にこなし、成績はトップを誇っていた。
ところがある日、営業先のスケートリンクで転んで頭を打ち、気を失ってしまう。

目が覚めた後、なぜそんな場所にいたのかさえ全く思い出せないまま鞄を開くと……中から出てきたのはなんと婚約指輪だった!

しかし、肝心の恋人がどうしても思い出せない。
一過性の健忘症と診断された輝彦は病院から抜け出すが、自分の頭から恋人に関する記憶だけスッパリと無くなっていることに、まだ気づいていなかった。

そして彼の前にまるでタイプの違う3人の美しい女性が現れ、それぞれが輝彦の彼女のように振る舞ってくる。
ひとりは会社の先輩でクールな性格の住友智恵・32歳。

東大医学部出身、頭痛・生理痛薬研究室の若きリーダーで、輝彦のお客さん用に漢方のアドバイスをくれたりもする、よく気がつく完璧な才女だ。
もうひとりは営業先の‘メルヘン風俗・モンデルセン’の人気No.5、巨乳の持ち主でサバサバとした性格の風俗嬢・グミこと潮崎めぐみ・27歳。

セクシーな人魚のコスチュームを着て輝彦を貝の形のベッドに誘ってくる。
そして3人目は、公園で人形劇屋台をしている古風で清楚、家庭的な鈴木和歌子・29歳。

彼女の暗い人形劇は子どもたちに受けが悪く、生傷が絶えないために輝彦の会社の薬のヘビーユーザーだ。
なんとか記憶を取り戻そうと、最初のスケートリンクに通ううちに、いつもいる謎のスケート少女・エミに相談に乗ってもらうようになる輝彦。

手元の婚約指輪は、一体誰のためのものだったのか?
結婚相手にふさわしい女性は誰なのか?
自分は3股をかけていたのか?
エミのアドバイスもあり、輝彦は悪いと思いつつもその答えを探るべく、3人の女性たちと日替わりでデートを繰り返す。
しかし……会えば会うほどそれぞれに魅力的な彼女たちに目移りするばかりで、記憶が戻る気配もない。
究極の選択に頭を悩ませていたある日、ついに3人の恋人が一堂に会するという事件いう大事件が起きてしまい……。

果たして、輝彦は無事記憶を取り戻し、この迷宮から抜け出せるのだろうか?!

やがてその謎が解き明かされる。
輝彦が心の奥にしまおうとした切ない想い。
恋の記憶をめぐる結末には、意外な秘密が隠されていた……。

プロポーズ直前に記憶喪失になり、なぜか婚約者の記憶だけがスコンと抜けてしまった男と彼を取り巻く女性たちの姿を描いたハートフル・コメディ。

30歳を目前に控えた、情けなくも憎めない独身男子・輝彦。
転倒して頭を打ってから、なぜか恋愛の記憶だけが戻らない彼は、見覚えのない指輪と見覚えのない女性たちに翻弄されまくる。
が、断片的に甦る記憶と同時に、これまで胸に収めてきた密かな思いが明らかになっていく。
ありがちな記憶喪失ものととは一味違った、現代の男性の本音をコミカルに描写。
三者三様に魅力的な女性に惹かれる輝彦だったが……結局、求めるのはひとりの過去の女性。
それは彼にとってとても大切な思い出だった初恋のひと。
前半はコミカルタッチで進みますが、後半からは一転して‘切ない系’の展開に。
女性監督らしい‘女性目線’から、輝彦と3人の女性(+ひとりの女性)の恋の顛末が紡がれていく。
シチュエーション的には『モテキ』+『婚前特急』といった感じでしょうか。
3人の女性が一同に介した時のド迫力のバトルロイヤルは必見!
特に小西真奈美と真木よう子のマジにしか見えないビンタの応酬は凄い


作品自体の評価は決して芳しくないようだけれど、主要キャスト5人はいずれも好演。
輝彦役の山田孝之のウジウジグダグダの情けない男ぶりは、かなり可笑しい。
ちなみに全編中の9割は頭に包帯を巻いてます(笑)。
カメレオン俳優の異名通り、作品ごとにイメージがガラッと変わる山田孝之ですが、今回のキャラも見事に消化しています。
才女の智恵を演じた小西真奈美は、白衣姿がハマりにハマっていた。
(知的な役柄が似合いますね~この人)
額にドアが直撃してぶっ倒れるシーンに注目を。
風俗嬢のめぐみ役の真木よう子がメチャメチャ可愛い!

全編に渡って胸元が大きく開いた谷間全開の巨乳を強調した衣装ばかりで登場しては、フェロモンを出しまくる。
しかし……あれだけ可愛くて且つエロいのにも関わらず……‘人気No.5’という微妙な位置なのが納得いかない(笑)。
いつも手に絆創膏をベタベタ貼っている和歌子役の池脇千鶴の不思議ちゃんキャラも良い。
超暗~~~くてシュールすぎる人形劇を公園で披露しては、必ず子供達にボコボコにされていて、だから生傷が絶えないのです(笑)。
生活の糧はこの人形劇だけのようで(?)極貧人生まっしぐらも……最後には……遂に日の目を!
そして、この物語の鍵を握る謎のフィギュアスケート少女・エミを演じた二階堂ふみ。
スケートは吹き替えなしで実際に本人が滑っており、これがかなり上手い。
この二階堂ふみ、とても可愛くて魅力のある若手女優だと思います。
次回作は来年1月公開の園子温監督の新作『ヒズミ』で、染谷将太と共にダブル主演。
この『ヒズミ』でヴェネツィア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)も獲得しているんですね。
今後に注目し期待したい女優のひとりです!
それから冒頭でいきなり登場するは、医師役の水森亜土。
得意の両手描きも見せてくれます(笑)。
でもなぜに亜土ちゃんをキャスティング?
岩田監督はイラストレーターでもあるので、そのあたりの縁からなのだろうか?
その岩田監督の演出は(デビュー作『檸檬のころ』はよかった!)美術や衣裳のディテールにもこだわっていて、少女たちが滑るスケートリンクのイメージや早回しの映像などを駆使して、ポップでファンタジックな世界観を生み出しています。