「ボンボンと悪夢」 星新一 新潮社 ★★★ | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

ドイツの片田舎で買った不思議な魔力を持った椅子。

静かな雪の夜に老夫婦のもおおに現われた侵入者。

地球に突如出現した黄金色に輝く奇妙な物体…。
ユニークな想像力で描かれる36編のショートショート。



ボンボンと悪夢 (新潮文庫)




タイトルがユニークなので、中学生の頃読んだものなのにしっかりと覚えていた。



僕のお気に入りは「夜の道で」


助からない病気に罹っている人がいたら誰もが嘘をついてでも元気づけようとするだろう。


それを…こんな風にされたら。


あっさりしたセリフが恐怖心を煽る。うまい。




それから「目撃者」「悪魔のささやき」は、


ちょっとした短編ミステリにもなりそうなうまいオチで気に入っている。



オチがいいと言えば「報酬」


途中で何となくオチが読めてしまうけれど、だからと言って色褪せないのがいい。


依頼者が本当に死んでしまったと考えるのが普通だけど、


裁判官や検事らがまだ見ているのについ肩を叩いてしまった、という風にもとれる。


僕は実は後者の解釈が好みだな。