上村愛子の涙を見て思うこと | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

バンクーバー冬季五輪が開幕していますが……残念ながらニュースでしか観られていません。


カーリング、フィギュアスケートは楽しみにいているので観たいなあと思っているのですけれどね。




さて、モーグルの上村愛子選手がメダルまであと一歩の四位に終わりました。


世界でも好成績を収め、今度こそメダルを…と願っていただけにさぞかし残念だったでしょう。


98年長野が7位、02年ソルトレークシティーが6位、06年トリノが5位。順位を1つずつ上げてきた。


しかし、悲願のメダルまではあと一歩。


上村選手は涙をぬぐいながら、


「私は何でこんなに一段一段なんだろう」



さて。

翻って、我がサッカー日本代表。


東アジア選手権で惨敗した岡田監督のコメント。


「なかなか分かってもらえないが、クビになるのが怖くてやり方を変えるとかはない。覚悟はある。常にベストを尽くす。やり方を変えるなら(監督を)やらない」


これだけチンチンにやられても、まだこの人はわからないようだ。


日本はまだ(自国開催以外で)一勝もあげていない国。


その程度の実績しかなくて、東アジアを制することもできなくて、それでもまだ同じやり方で「W杯ベスト4」を目標に掲げるわけだ。


ワールドカップでも優勝経験を持ち、必死に四年間、五輪でメダルを獲るために鍛錬をしてきた上村選手が、「なんで一段ずつしか上がれないのか」と嘆いているというのに。


我がサッカー日本代表監督は、何の実績も根拠も裏づけもなく、二段三段飛ばしで「ベスト4」と叫ぶ。



高い目標を設定することを悪いとは言わない。

だが、目標は掲げるだけでは何の意味もない。


その高みに到達するために、必死に知恵を絞り、鍛え、戦うこと。


そうやって全力を尽くし、それでもなお目標にとどかなかった者だけが、悔しがり、涙を流す権利を持つ。


たぶん南アフリカで我が日本代表監督は、淡々と「残念だった」とコメントするだろう。

上村選手のように、悔し涙を流すことはきっとない。