紀元前4000年頃、メソポタミアのバビロニア南部(現在のイラク・クウェート辺り)に、系統不明の民族シュメール人が巨大都市国家を築いては忽然と消えます。
アッカド語である「シュメール(Šumeru)」は「スメル」とも読めるために、
実際、第二次世界大戦中には、スメラミコトは「シュメルのミコト」ではないか?
という俗説も横行したほどだとか。
またアッカドの北東には「スバル(Subar)」という地名もあったそうですが、
「昴=プレアデス星団」との因果関係が何やら感じられなくもないですね。
本当にただの偶然なのでしょうか?
シュメール人の特徴としては、
がっしりとした骨格で身長もあまり高くなく、
髪や目は黒く、多神教で自然への信仰心も篤く、
殊に縄文人と酷似していると言われています。
また、シュメール神話も日本神話とシンクロする部分が多く見られます。
皇族の象徴である十六菊花紋も、
バビロニアの王朝のシンボル(天と光の最高神アン)だそうで、
かのフセイン大統領の指輪にもあり、当時話題になりました。
ツタンカーメンの棺の中にも、青銅器製の菊花紋が収められていたそうですが。
その頃、エジプトで信仰されていた最高神は、アテンやアメン・ラー。
つまり「アン=アテン=アメン・ラー=天照(アマテラス)」。
更にシュメールに隣接したエラム王国(現在のイラン)の首都「スサ(Susa)」も
見られることから、
これは「スサノオ(スサの王)ノミコトか?」とも勘繰ってしまいます。
こうした様々な類似点・神話・伝説は、
インドや中国や朝鮮半島などにも見受けられることから、
同じ民族、はたまたその一部が日本に辿り着くまでに残してきた痕跡であろうかと、
想像の翼を広げてしまいます。
……さて、前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、
シュメールには二大神話があります。
【ギルガメシュ叙事詩】と【エヌマ・エリシュ】と呼ばれるものです。
実は『旧約聖書』の「創世記」の中にある
「ノアの方舟」「エデンの園」などのほとんどが、
これらシュメール人が語り伝えてきた伝承・神話を元にして作られたようです。
~~~【ギルガメシュ叙事詩】より洪水の部分 ~~~
■ ギルガメシュ
シュメール・ウルク第一王朝の王で、「血の三分の二が神」の半神半人。
実在の王(初めの頃は大変な暴君)であると言われている。
■ ウトナピシュティム
神々に永遠の命を与えられた者(創世記で言うノアか?)
~『ギルガメシュ叙事詩』の一部が刻まれた粘土板と、ギルガメシュ王~
ウトナピシュティム:
「――ギルガメシュよ、お前に秘事を明かしてあげよう。
ユーフラテスの河岸にあるシュルパックの古い町の中には神々が住んでいて、
その神々は、大いなる神々に洪水を起こさせたのだ。
そこにいたのは、天の神・アン、勇ましき神・エンリル、
神々の代表者・二ヌルタ、水路の監督の神・エンヌギ、戦闘の神・ニンギルス、
そして水の神・エア(エンキ)……。
エアはそっと私に教えてくれた。
家を壊し、船を造れと。すべての生き物の種を船へ運び込めと。
そして造るべき船の寸法は、定められたとおりにせねばならぬと。
~(略)~
私は家族や身寄りの者すべてを船に乗せた。
野の獣、野の生き物すべてを船に乗せた。
私はすべての職人たちを船に乗せた。
シャマシュ(メソポタミアの太陽神・ハンムラビ王にハンムラビ法典を授けた)は
時を定められた。
朝と夜に苦しみの雨を降らすと……。
そしてその時はやってきた。
私は天気の様子を眺め、天気はすさまじい様相を呈していた。
私は船へ入り、入口を塞いで、船乗りに船を塗り込めさせた」
~~~ 【エヌマ・エリシュ】より洪水の部分 ~~~
■ ジウスドゥラ
ウトナピシュティム(ノア)と同一人物か?
――神々は、大地を洪水で水浸しにすると決定した。
しかし水の神・エア(エンキ)は人類を哀れんだ。
アン、エンリル、エンキ及びニンフルサグが人類を創って以来、
動物があらゆる地上に繁殖し、野原にふさわしいものとして存在してきた。
清らかなイナンナは、大地に住む人間を哀れみ、悲痛の嘆きをあげた。
エアは自身の心に相談して言った。
「壁側よ、私はそなたに言いたい。
すべての人々の住居の上を洪水が暴れ過ぎるであろう。
人類の種を滅ぼすことが神々の決定なのだ」
その時、王であるジウスドゥラは、壁側に立ってエアの言葉を聞いた。
エアの忠告を受けたジウスドゥラは、躊躇なく仕事にかかった。
家を壊して船を造り、財貨を捨てて、諸々の生命の種子を船に積んだ。
ジウスドゥラは巨大な船を造り、家族たちを乗せ、
家畜や野の野獣たちと鳥も収容した。
夕暮れの頃、ジウスドゥラは急いで船に乗り、入口の門を閉ざした。
明け方の陽が輝き始めた時、天空の奥底から黒い夜が昇り、つむじ風が吹き出した。
すさまじい閃光が、布切れのように国土を覆っている。
~(略)~
七日七晩、洪水が町を野を暴れ過ぎていった。
すべての人間たちの声はなく、泥と変わっていた。
~ 別の一書より ~
ユーフラテスの河岸スーリパック(シュルパック?)に、主だった神々が集まった。
神々は人類を滅亡させようと考えた。
アン、ベール、ニニブ、エンヌーギたちは、大地を洪水で水浸しにすると決定した。
しかし神々の中にいたエアは、人類を哀れんだ。
エアは神々の秘密を葦の穂波に託し、葦の穂たちはそのざわめきによって、
密かにスーリパックの市民の一人に秘密を伝えた。
市民の名は、ウトナピシュティム。
躊躇することなく仕事に取りかかったウトナピシュティムは、
巨大な船を造り、家族たちを乗せ、家畜と野の獣たちと鳥たちも収容した。
やがてシャマシュによって定められた時が来た。
雷光と嵐の神・アダッドが咆哮する。
ベールの息子・ナブーと王は進撃し、地獄の魔王・ネルガルは帆柱を引き抜き、
戦闘の神・ニニブ(ニンギルス)もまた襲いかかる。
アヌンナキ(八百万神)たちは松明を振りかざし、その輝きに国中を包み込んだ。
全宇宙に広がった恐怖は、神々にも襲いかかった。
イシュタル(=イナンナ=アフロディーテ=ヴィーナス)は神々の決定を支持し、
更に煽り立てすらしたことを悔やんだ。
イシュタルは叫んだ。
「私はこんなに恐ろしい懲罰を望んではいなかったのだ!」
……アヌンナキといえば惑星ニビル。
ゼカリア・シッチン著の『失われた王国』によれば、こんな記述もございます。
――地球年にしてほぼ44万年前、ニビルの年になおすと僅か122年前に、
惑星ニビルの統治者・アヌの長男エンキが金を採るために、
50名のアヌンナキの神々の第一陣を地球に連れてきていた。
ニビルの年月で40年が経った頃、
金鉱での作業を命じられていたアヌンナキたちが反乱を起こしたのだ。
エンキは一つの解決策を持っていた。
「原始的労働者」を創り、アヌンナキに代わって、
この労働者たちが苦難の仕事をするのだと。
地球上の東アフリカの原始生物・猿人とアヌンナキの遺伝子を組み合わせ、
「合成労働者」が作られた。
エンキとニンフルサグは試行錯誤によって改良を重ね、完全なモデルを作り上げた。
アダム――つまり「地球の男」、人間と名付けた。
地上600人と軌道上のステーションの300人のアヌンナキたちは、
常にゆとりのある生活を楽しめるようになった。
そのうちのある者たちは、エンリルの反対を押して、
人間の娘たちを妻として娶り、子供まで産ませた。
しかし、すべてが洪水によって突然の終わりを告げた。
アヌと相談したエンリルは命令を発した。
「宇宙船を用意して地球を放棄する準備をしろ」と。
しかし人類についてはどうするのだと、
人間たちの生みの親であるエンキとニンフルサグは尋ねた。
「人類は抹殺してしまえ」とエンリルは言った。
エンキは壁に話しかけるふりをして、
忠実な従者・ジウスドラに「ティバツ」というものを造るよう指示した。
それは潜水のできる船のことで、
その船を近東で最も目立つ双頭の峰のあるアララト山へと、
導くための航海士までもジウスドラに付き添わせた。
- 失われた王国―古代「黄金文明」の興亡と惑星ニビルの神々/徳間書店
- ¥2,376
- Amazon.co.jp