アキ・カウリスマキ作品は久しく観ておらず 『街のあかり(2007年)』 以来なので
”難民3部作” の2作目だったことも知らず 若干とまどったことは否めない

しかし深刻な社会問題がテーマであっても 
例えばイギリスのケン・ローチのような シビアな描き方にはならず
始終淡々と 声を荒げるわけでもなく言葉少なに クスリとした笑いを時に交えて描くあたり
『レニングラード・カウボーイズ』 の頃から観てきたカウリスマキ節を感じて ほっとした

そして自分自身フィンランドを実際に旅してから 初めて観るカウリスマキ作品でもあり
2年前にたった数日間滞在しただけだったが 
『浮き雲』 等でお馴染みのおじさま サカリ・クオスマネンに象徴されるような
無愛想だけど朴訥なおじさんに 実際マーケットとかで出会ったなあ と懐かしく思いつつ

その反面 一時的な旅人には目に入らない部分として
事務的な行政や ネオナチ的なものも存在することに 改めて気づかされた

相変わらず登場する かわいいワンコや
寿司屋だったり日本語の歌謡曲といった ジャパニーズなエピソードにニヤニヤしつつ
カーリドと妹の過酷な運命と 不器用ながらにも救いの手を差し伸べる人々にハラハラもして
これまでの作品のように 心地よさに意識が飛んだりもせず(褒めてる) 見入ってしまった

無事に妹を入国させた報酬として いくら欲しい?の問いに
素敵な仕事だったからいらない と答えたトラック運転手の台詞 よかったなあ

そしてラストの カーリドとワンコの2ショット   
あの先にあるのは皆が繋いだ ”希望” だと思いたい 
せめて映画の中だけでも

アキ・カウリスマキだからこそ そう思っていいと思わせてくれる余韻を残してくれたのだと思うのだ

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