紛争地のアンテナ: 瀬谷ルミ子のブログ -138ページ目
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コートジボワールの国連PKO


コートジの首都は、正式には中央部にあるヤムスクロ。

でも実質的には、南部海沿いのアビジャンに、政府機能と経済活動が

集中してる。


アフリカというと、大変なところで働いてると思われがちだけど、

アビジャンはまったく別。



Abidjan


かつては、「アフリカのパリ」と呼ばれてたらしい。

要は、宗主国だったフランス人が、自分たちが住みやすいように

町を作っただけなんだけど。
内戦中も、インフラ破壊はあまりなかったので、

アフリカ内でも住み心地は格段に良い。



そのせいで、ここの国連PKOは、五つ星ミッションと言われてたりする。

一方、目に見える破壊や問題が山積みの他のPKOに比べて、

職員のモチベーションがなかなかあがらないという側面もある。




 ↑ コートジ国連PKO(UNOCI)の本部


一部の国連の同僚たちは、和平に関心がなく、

地方出張にも行きたがらない。

地方に派遣されると知って、辞職した人もいた。


レバノンが攻撃されたときは、PKOが増員されて、

職のあてが増えると喜んでいた。

そして、レバノンPKOの日当が思ったより低いのを知って、

残念がっていた。



同僚: 「ブッシュが、イランでもどこでも良いから

     攻撃してくれないかな~。新しいPKOが出来るし、

     イランだったら生活環境も手当てもよいだろうし」



そんな彼は、私がこの仕事を始めるきっかけとなった、ルワンダ出身。



私:   「・・・じゃあ、またルワンダを攻撃してもらえば?」



相手は、黙って苦笑いしてた。

ただ、彼の場合、ルワンダ内戦前に外国に退避してたので、

実際の虐殺を経験したルワンダ人とは、かなり立場も想いも違う。



その一方、この国の人々のために、

何かしたいと思っている同僚もたくさんいる。

それは大抵、個人の実力とキャリアに対して、向上心がある人々。

責任感があって、言い訳をしない。


「この国に平和は訪れない」を前提にして働く上司や同僚のなかでも、

自分が出来ることに全力を尽くす。


PKOの仕事は、技術的なスキルに加えて、

いかに「かなりの確立で実現が困難に思える和平という目標」に向けて、

現実を近づけるため、モチベーションを維持できるかが、

重要な能力だ。


そして、そういうモチベーションを高く維持した人が、

どれだけ適材適所に揃っているかが、

そのPKOの成果にも、多分に影響する。


「でも、和平への政治的意思がこの国には無いから」というのは、

国連PKOが用いるある意味もっとも情けない言い訳だと思う。

その作業を放棄するのなら、PKOは、軍人部門を駐留させて

抑止力にすれば良いわけで、文民・政務部門は必要なくなる。


それでも、この台詞は、とてもよく使われている現実。

始めの日記

今日から、ブログ始めます。


今さらか!という気もするけど…。



とりあえず、自己紹介。


現在は、西アフリカのコートジボアールにて、国連PKO(UNOCI)で働いてます。

高校のときに、紛争地で働く仕事をしたいと思ってから、

ルワンダ、シエラレオネ、アフガニスタンなどで働いてきました。


ここ5、6年は、主に「DDR」と呼ばれる業務を専門にしてます。

これは、「兵士の武装解除・動員解除・社会復帰」を、

英語にした際の、頭文字(Disarmament/Demobilisation/Reintegration)をとったもの。

一言で言うと、紛争後に、兵士や民兵から武器を回収し、兵役をとき除隊させ、

市民として生きるための職業訓練、教育機会、雇用機会を施す、治安回復・復興支援。


しかし、一方、武装解除に応じる見返りに、兵士に戦争犯罪の恩赦を与えることが多く、

「治安と平和」と「正義」がトレードオフになる、という問題を生む支援でもある。

犠牲者や難民を差し置いて、加害者とみなされがちな兵士に恩恵を与えることへの反発もある。

平和を築くための支援を行ううえで、


現地社会が望む平和を維持できるような支援を行えているか。

逆に、支援自体が、現地社会の自立と平和への可能性を阻んでいないか。

現地社会に、持続・自立的平和を呼びかけながら、他国が侵略した場合は、

その努力はあっけなく崩れ去ってしまう国際社会の現実に、どう対処していくのか。

選択肢すら持たない状況で生きる人々に、

少しでもよりよい選択肢を築くことができるよう、

自分は何ができるのか、日々考え、実行していきたい。



Guiglo militia
 ↑

コートジ西部のミリシアと。

「条件付きで武装解除する」と発言した交渉の後に、

「♪命を懸けて戦うぜ」という歌を皆で合唱しながら行進して帰ってった。

…いや本音はよく分かったけどさ・・・。

この地域のミリシアは、大統領に支援されてる。

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