ープライドとは
プライドとは「自尊心」や「誇り」のことです。プライドは悪いものではありません。プライドのある人はチャレンジ精神旺盛で、向上心が高く、負けず嫌いです。
上を目指すことを常に心がけているため、どんな困難に行き当たっても決して屈せず、難しい仕事や勉強もひょいひょいとやってのける、そんな完璧な人間を演じています。
逆に自分に悲観的で、ネガティブ思考を持っている人は、目の前の失敗に恐れ、仕事や勉強も躊躇ってしまいます。そうしたことが重なると、人は落ちぶれていきます。
何事にも挑戦する意欲が皆無で、今の生活に甘んじている。プロのアスリートや売れっ子女優を見て、陰からただ「すごいなあ」と褒めてるだけの人です。
もしプライドの高い人が、自分より年収が上だったり、周りから一目置かれている存在がいたら、負けじと自分もそれ以上になるよう努力するでしょう。
しかし、プライドにも限度はあります。あまりに厳格なプライド心は、自分の身にさまざまな悪影響を及ぼします。
ー高すぎるプライドが及ぼす悪影響
1、自信を無くしてしまう
例えば、年収が自分より上の社員を見て、自分も努力する人がいます。しかし、努力にも失敗はつきものです。
プライドの高い人が失敗ばかり繰り返すと、失敗を許さない自分のプライドが大きく傷つき、ヤケを起こしてしまいます。プライドのコントロールが利かず、周りにまで強く当たってしまう。
そうした態度が、上司や部下からの信頼を損ない、人間関係はギクシャクします。そのうち疲労感を覚えて、ズタボロになったプライドを、さらに失敗を重ねてズタボロにしていく悪循環に陥ります。
やがてそれが「自信の喪失」「自己肯定感の欠如」につながり、前に述べたネガティブ思考になってしまうのです。会社で新米の社員に差をつけられても、なんとも思わなくなる。
それどころか、後ろからホイホイ従うような腰巾着的存在に成り下がってしまうのです。高すぎるプライドから一転して、やる気のない一社員になり、上を目指すことを怠って、会社での仕事もこなせなくなります。
そうすると、会社でも頼りのない人間として扱われ、どんどん孤独になっていきます。しだいにそれが高じると、愛想尽かした会社からリストラを受け退職を余儀なくされます。
その後の人生はどうなるでしょうか。自分へのやる気のなさから物事に取り組もうとする意欲が失せて、何もかもが嫌になります。孤独感や社会への絶望から、犯罪に手を染めてしまう人もいるくらいです。
そうしたことを未然に防ぐにはどうすればいいのでしょうか。それは、プライドにもある程度の余裕を持たせることです。高いプライドを捨てて、失敗を重ねても、誰かに先を越されても、一定の妥協を許すくらいのゆとりを持つのです。
勉強でも同じです。学業成績オール5の超優秀生徒がいたら、自分も同じくらい努力するし、たとえ同じ土俵に立てなくても、ある程度の成果を出せたのならば、それはもう役満です。
上を目指し、常に最新の自分を更新し続けることの大切さ。そして、失敗の中に「自分への劣等感」を覚えず、前向きな気持ちで努力し続けること。
そんなプライドが1番理想的です。高すぎるプライドや、逆に低すぎるプライドはどっちにしても好ましいものではありません。出過ぎず、引っ込みすぎず、ちょっとやそっとの失敗も許せる一定のプライドを持って、物事に取り組もうとする意欲が大事です。
2、人間関係の悪化
前にも述べましたが、高すぎるプライドは、人間関係の悪化にもつながります。常にプライドが高く、自分自身しか認めない性格のため、周りからは頑固で融通のきかない人間と思われてしまいます。
あまりに態度が悪く、周りの意見にも聞く耳持たず。たとえ失敗しても、「自分のせいではない」と我関せずの態度。こうした性格が災いして、周りも近寄りがたくなります。
自分自身に求める欲求が強く、なんでも思う通りにならないと気が済まない性分のため誰かの下について働くのは大嫌いです。つまり、会社や学校でも、上司や先生に従って行動することができない。
上司や先生に怒られると、高いプライドから言い返してしまう。特に学校ではそうした態度も内申に響くため、プライドが高い人は学歴を気にして、言い返せなくなる。
言い返せない鬱憤した気持ちが積もって、外界とのつながりも絶ってしまいます。殻に閉じこもって、周りにもオープンな態度が取れない。
そして欲求不満から全く関係ない家族や友達にまで当たってしまうのです。そうすることで人間関係は悪化し、周りへの配慮のなさから孤独になります。
人当たりが良く、周りに対しても笑顔でおおらかな人は、自然と招き猫体質のように人が集まってきます。周囲を笑顔にするエネルギーや活力源を与えてくれる、そんなムードメーカー的存在は、プライドのコントロールもうまくできている人です。
たとえ失敗を重ねても「次頑張ればいい」とドライに割り切れる人。周囲はエネルギーを与えてくれる存在のおかげで、こっちまで笑顔になれる。
エネルギーの発生起源から”笑顔”が生じて、周囲も負けじとエネルギーを再生産してくれる、いわばギブアンドテイクの関係です。周囲の笑顔から、さらに「自分も優しくしなきゃ」と思う気持ちが芽生え、人間関係も良好になります。
つまり、プライドにも一定の優しさをかねて、さらに周囲に対して”笑顔”を与えることができる人。そんな人が理想的なのです。
3、自暴自棄になる
プライドの高さは、間違った方向に傾くとすぐに自暴自棄になってしまいます。失敗を重ねると、社会への不適応から犯罪に手を染めてしまう人、周りに強く当たってしまう人、はては自ら命を絶ってしまう人。
さまざまなヤケを起こします。特に深刻なのが、犯罪です。事が思い通りに運ばないことを苛立ち、さらに周囲との悪い関係が続くと、犯罪に片足を突っ込んでしまうのです。
それは、全く無関係の人を巻き込む通り魔事件だったりテロ事件だったり・・。社会への絶望から、このような凶行に及んでしまいます。
感情のコントロールの制御ができず、一定のラインを超えると爆発してしまい、周囲を巻き込みます。つまり、犯罪率の高さは、こうしたプライドの高さと、表裏一体にして密接不可分の関係にあるのです。
高すぎるプライドが及ぼす弊害は、学力低下、競争意欲の欠如、自信欠乏、社会への絶望や悲観などさまざまです。自暴自棄になりやすい人は、一旦冷静になって、考え直してください。
確かに失敗ばかりでうまく物事が行かないこともあります。ですが、努力には失敗はつきものです。そして、努力は人を裏切りません。
失敗ばかり重ねても、いつかはきっと成功する日が来るはずです。受験勉強で辛いときでも、物事の継続によって、努力は実を結びます。仕事で怒られても、いつかは板について上司に褒められる日がきます。
それでも自分のプライドが許さないと感じる人も、心にある程度のゆとりを持たせておけば、辛い日々を脱却できる足がかりを掴めるでしょう。
4、敏感になってしまう
プライドの高い人の特徴として、敏感になりやすいというのがあります。学校では周りの生徒の評判や成績をいちいち気にして、自分より上を見ると、嫉妬心が芽生えてしまいます。
会社ではどんな仕事もそつなくこなせる優秀な社員がいたら、その人に対して敵対心を抱くようになります。周囲を気にすることで、自分に余裕がなくなります。
自分に余裕がなくなると、周りが頑張ってる姿を見て、無理に自分の能力に見合わぬ仕事を請け負ってしまい、失敗する。勉強でも同じです。
学校で毎回挙手している生徒を見ると、自分も負けたくないという対抗心から、本来わからない問題でも挙手してしまい、答えられなくて恥をかく。
それが重なると、上を見すぎるせいで、自分ができる物事の範囲がわからなくなります。自分ができる限りの範囲を知り尽くし、それに見合った努力を心がけることが大事です。
もちろん、上を目指すことは悪いことではありません。ただ、上を目指そうとするあまり、失敗ばかり繰り返して、自暴自棄になることは避けて通りたいものです。
適度なプライドを持ち、高望みしすぎず、コツコツ物事を積んで、ちょっとずつ行動半径を広げていく。それが理想です。
ーなぜプライドは高くなるのか
1、幼少期に失敗を経験したことがない
プライドが高い人は幼少期に失敗を経験したことがない人が多いです。なんでも思う通りに事が運んだため、失敗という経験を味わう機会に乏しいのです。
どんな作業も家族任せのため、いざ学校や会社で代替人がおらず、自分一人の力で物事に取り込むとなると、社会経験のなさから失敗を繰り返すのです。
それは大人になっても変わりません。容姿端麗でスポーツ万能な人も、周りからチヤホヤされ続けてきたので、「自分は特別な人間なんだ」と思うようになり、いざ正念場で失敗をするとプライドが大きく傷付きます。
幼少期で褒められることしか知らなかった人には、特にプライドが高い傾向にあり、大人になって失敗を重ねるとガッカリと肩を落としてしまいます。
失敗や挫折のない人生は、好意的に捉えれば「完璧な人生」と見ることもできますが、否定的に捉えれば「失敗を知らない人生」と見ることもできます。
失敗を繰り返してこそ、人は成長するものです。幼少期に自転車に乗れず、何度も転んだ経験があるからこそ、耐性はついてくるのです。
インプット(経験)したことは、アウトプット(失敗)により、感覚として一生身体の中に覚えていきます。
2、自己顕示欲が高い
自己承認欲求の高さも、プライドと大きく関係しています。周りから認められたい性格ゆえ、スキルを磨いたり、自分の能力をアピールするなど、価値を高めるなめならば努力を惜しみません。
自分の学歴を自慢したり、身につけている高級ブランド品を見せびらかしたりと、自分の価値を高めようと躍起になります。
また、AKBや乃木坂46などのアイドルグループでの握手会でも、朝イチで鍵開けを狙って先頭についたり、アイドルが自分の顔の方を長時間見てたら、「この子自分に気があるんじゃないか」と敏感になったり・・。
自分が大事であり、また負けたくない性格のため、どんなことでも1番じゃないと気が済まないのです。自己承認欲求の高さは、遺伝的な部分もありますが、やはり環境的な原因が大きいでしょう。
負けたくない、自分の価値をもっと高めたいと思うのは悪いことではありません。ただ、それを周囲に露骨にアピールしたりするのは、「ただの嫌味ったらしい人」と認識されてしまいます。
価値を高めるなら、ちゃんと周りの人の価値も認め合いながら努力することです。
3、自己肯定感が低い
過去のトラウマから、自己肯定感が低くなった人にもプライドが高い傾向にあります。
あまりに自己肯定感が低いため、これ以上心を傷つけまいと防御反応として、周りの叱咤にも意に介さなくなります。失敗しても、過去のトラウマと比べたら幾分マシだとして、失敗を認めない。
裏を返せば、プライドが高い分、努力を怠らない、という点ではいいことでしょう。
ー最後に
繰り返し言いますが、プライドが高いことは決して悪いことではありません。努力を欠かさず、常に上の自分を目指そうとする心がけは非常に良いことです。
ただ、それが行き過ぎると、自分の身を滅ぼしかねません。適度なリハビリも兼ねつつ、自分ができる限りの物事に取り組むようにして、プライドにも一定の寛容さを持たせておく。
そうすることで周りも気兼ねなく話せますし、自分自身にとってもいいことだらけです。
プライドが高すぎるな、と感じた人は、辛い環境に身を置いて努力する自分に「失敗は誰にでもあるさ」とバックアップを促しましょう。
失敗や挫折で得た経験をバネにし、より良い方向に舵を切れるよう、プライドにもある程度の余裕を持たせてください。