君を出会ってもう二年になる。

いや、正確には「出会って」じゃなく「知って」かな?

艶やかな黒髪のショートカット。

幼い笑顔と真剣な表情とのギャップ。

最近は少し疲れているみたいだけど。

僕は君の虜になった。

同時に叶わない恋心を抱いた。

僕の無味乾燥な白黒の人生に鮮やかな色を与えてくれた。

だが、君は僕を知らない。

この思いも届かない。

胸が苦しい。

強烈な眠気が襲ってくる。

「・・くん」

誰かが僕を呼んでいる。

「・・・・くん!」

目を開けると、知らない景色。

そしてそこにいたのは、君だった。
 
「もう!せっかくお休みだからってこんなとこまで来たのに、勝手に寝ないでよ!」

少し頬を膨らませ怒った表情している君。

間違えようもない、君の姿。

あれだけ願っても、手を伸ばしても届かなかった君がここに、僕の目の前にいる。

「ねぇ、君は、本当に君なの?」

信じられない出来事に混乱しながらも、紡いだ言葉を君に投げかける。

すると君は

「今日どうしたの?なんか変だよ?」

不思議そうに首を傾げながらそう言う。

僕が

「君は君だよね?君の名前は*****だよね?」

と言うと

「うん、私は*****!」

僕を虜にした笑顔でそう言う。

「そっか・・・」

無上の喜びだった。

君が*****であるということが。

それから僕たちはいろいろな話をした。

話と言っても君は僕の言う事を笑顔を浮かべて聞いていただけだったけど。

そんな事をしているうちにもう日は沈もうとしていた。

「楽しかったね」

ニコニコしながら君が僕に言った。

「そうだね」

喜びと幸福感を含ませた声音で僕は答える。

「また来ようね!」

そう言う君に僕は短く

「ねぇ」

すると

「どうしたの?」

君にが僕に問いかける。
そして僕は

「最後に、最後にさ・・・」

いつかは気付く夢の終わり。

気付かないふりをしていたけど、それももう終わり。 

「最後に・・・・」

言いたい言葉は、素直に出てきてくれない。

「最後に・・・・抱き締めてもいいかな?」

やっと言えた。

すると君は

「・・・・いいよ」

少し間を開けたあと、普段とは違う柔らかな笑みを浮かべて答える。

そして君を抱き締めた。

「痛いよ・・・」

君は笑いながらそう言うけど、聞こえないふりをする。










「好きだよ」

一番言いたい言葉は、すんなりと出てきてくれた。





すると、腕の中の君は光に包まれて消えた。

そして、僕は暗闇に飲み込まれる。









目を開けるとそこは君といた場所ではなかった。

自宅の寝室。夢へと誘う小舟の上に一人。

時間は、午前四時。


"どんな甘い夢も消えて現実の歯車が動く"


だけどまだ、抱き締めた君の温もりは残っている。

そんな温もりを忘れないように、もう少し、夢の中で微睡んでいよう。