結城心葉の二次創作小説 -3ページ目

結城心葉の二次創作小説

キャラ崩壊有、語彙が少ない為に幼稚園児並の文章力ですが、それでも('ω'◎)イイヨーという方は是非読んでみてくださいー\( ´ω` )/
感想頂けると嬉しいですー

今回は某診断メーカー様のお題で書かせていただきました!
悲恋?物になるのかな。
《お題》
結城心葉の鶴丸国永は横たわったままで、幼い頃の記憶の夢を見ています。このまま眠り続け、最後は誰からも忘れ去られてしまいます。大切な人が死ぬことで呪いが解け、目を覚まします。
http://shindanmaker.com/534506


ピッ────ピッ────ピッ────ピッ─────
真白きベッドがただ1つ置いてあるだけの物寂しい病室。花瓶には花の一輪さえも生けられておらず、一層寂しさを覚えた。
「…………」
そこから聞こえる音は、ベッドの傍らにある心電図モニターの規則正しい音だけである。数字の増減を繰り返し、波を液晶に映し出す。
それに繋がれるのは、物のようにぴくりとも動かない。生きているのか死んでいるのか、それすらも分からない程に、ただ静かにそこにいた。
「────」
彼の名前を呼ぶが、反応する気配はない。それどころか、その声さえ聞こえていないだろう。人形のように美しいその横顔は、いつの間にか大人になっていた。

彼がここに運ばれ、早くも3年が経っていた。

俺は高校を卒業し、中小企業に就職した。残業は無し、収入は安定しているし、年に2回のボーナスもある。高卒にしてはなかなか良い職場に就けたと思うのだが、そう楽な生活が出来ている訳でもない。
彼とは幼子からの馴染みであった。
家が近所と言うこともあり、よく2人でつるんでいた。中学に上がる頃には絡みも少なくなっていったが、ある日を境にまたつるみ出した。
高校では恋仲になった。互いの存在が互いの中で大きくなり、ついには抑えきれなくなった。吐露してしまった時の、彼の笑顔はとても忘れられないものとなっている。
「…………あら、宗近くん。今日も来てくれたの」
「こんにちは。お邪魔してます」
「いいのよ、別に。この子も喜んでるわ」
病室に彼の母親が入ってきた。手に提げた果物を花瓶の横に置く。因みに見舞いの花は無い。
「今日でもう3年なのねぇ……」
慈しむように彼の頬を撫でる。肌と同じように白い彼の髪は、床に垂れる程までに長く伸びていた。切らないんですか、と前に訊くと、「この子が起きてから切ってあげようと思ってね」と言われた。

彼の病名は「クライン・レビン症候群」だった。

数日間から数週間に渡り眠り続けるという睡眠障害の一種で、通称「眠れる森の美女症候群」とも言われているらしい。ただ、彼の場合はとうに3年も眠り続けており、発症者の少ない病の上にかなり珍しいケースのようだが。
なぜそうなったのかは分からない。彼がこの世界に飽きてしまったからなのか、もうこの世にはいたくないと思ってしまったからなのか。
会社帰りに毎晩飽きもせず、彼の横顔を見に来る。彼は儚げな容姿からは全く想像も出来ないようなとても活発な人だった。毎日毎日、誰かを驚かしては笑顔にさせてきた。彼の周りにはいつも笑顔が咲いていた。
だが、今はどうだ。
何本ものチューブに囲まれ、元々華奢である彼の体はより一層細くなっている。頬はこけ、剥き出しの鎖骨は出っ張っている。それでも彼の美しさは失われていなかった。相変わらず綺麗なままで、いっそ憎くなってくる。俺は日々老けていくというのに。
「…………なぁ。お前はどうして……」

眠ってしまったんだ…?



「────」
何処かで声がした。様な気がした。よく分からないけど。周りを見渡すと、花畑だった。色とりどりの綺麗な小さい花達が俺を取り囲んでいる。
「────鶴」
今度こそ聞こえた。ああ、やはりさっきの声は君だったか。自然と頬が緩む。
「やぁ、三日月」
「何をしていたんだ?」
「ん?ぼーっとしていただけさ」
何の遠慮も抵抗も無く、三日月は俺の隣に座った。花が幾つか咲いていたが、それを踏まないように、しっかりと避けながら。俺が花が好きだということを知っているからだろう。小さな気遣いがとても嬉しい。君は優しいからな。
「お前はぼーっとしていることが多いな」
「ただぼーっとしていただけじゃあないぜ?少し考え事をな」
「考え事?お前が?」
「おいおい。失礼だぞ、君。俺だって考え事ぐらいするさ」
「それをいつもの悪戯の前にして欲しいものだな」
「それはごもっともな話だな(笑)」
何時ぶりだろうか、君とこうして肩を並べて笑い合うのは。もう随分会っていなかったような感覚に陥る。花畑は触れる事を躊躇ってしまう程に美しく、妙な違和感を感じる。
「そう言えば、覚えておるか?」
「ん、何がだ?」
「まだ幼き頃、鶴と2人で出歩いたことがあるだろう?」
「あー。あったな、そんなこと」
「して迷子になり、鶴が泣き喚いて」
「うあああ何でそんなこと覚えてるんだ忘れろよ」
「忘れるものか」
風に攫われた三日月の髪が靡く。髪の毛一本一本が細く、さらさらと流れていった。
「お前のことを……忘れる筈が無いだろう…?」
いつになったら目醒めてくれるんだ、と懇願する三日月に、「ああ、やはりそうだったのか」と納得する。
ここはやはり『この世』ではないのだ。
妙だと思ったんだ。花はやたらと綺麗だし、俺と三日月以外は人っ子一人もいない。
「そうだなぁ…。俺だって出来るものならここから出たいさ。だが、そういう訳にもいかないんだ」
「……?どういう意味だ?」

「────呪われているんだよ、俺は」

「…………は…?」
鶴は力無く笑った。自嘲気味に、涙すら流して。
「なんだかなぁ。帰れるには、とある条件が必要らしいんだが」
「……その条件とは」
「それが分からなくてな、ははは」
「…………」
嘘だな。鶴は嘘を吐く時、必ず下を向くんだ。嘘を吐くことを嫌う奴だから、後ろめたさがあって下を向くんだと思う。
鶴は足元の花を眺めていた。その内の一本を手に取り、ぶちり、とむしる。
「鶴」
「ん?なんだ…………んっ…」
鶴の頬を引き寄せてキスをした。鶴とのキスはとても懐かしかった。当たり前か。3年ぶりなのだから。
唇を離そうとすると、鶴は俺の首に縋り付いて更に求めてきた。普段温厚な鶴には珍しい行為だ。まぁ、それも3年も前の話なのだが。
舌を絡めると、異様に低い体温に驚く。さっきも感じていたが、やはり鶴はもうしんでしまっているのだろうか。俺がこの夢を見ている間に、遂にいってしまったのだろうか。
それならこんな夢、早く覚めて欲しいのに、やっと触れられた鶴を、離したくはなかった。独りにしたくはなかった。
ちゅっ……と音を立て、透明な細い糸が2人を繋ぐ。風が吹けばちぎれそうで、頼りないその糸は、今の俺達の繋がりそのものだった。
「…………か……づき……」
ふと、耳元で鶴が囁いた。どうやら泣いているようで。頭を撫でてやると鼻を啜る音が聞こえた。
「三日月……俺は、君を…失いたくはない……」
「鶴…?」
鶴の体が透けていく。いや、透けているのは俺か。もう、そんな時間なのか。
「もっと触れていたい……もっと一緒にいたい…」
「鶴っ……!」
薄れゆく視界の中、最後に魅せられた鶴の顔は涙でぐしゃぐしゃだったけれど、美しく笑っていた。

「もっと君と、生きていきたかった」



「っ────!!」
ガバッと身を起こすと、そこはあの病室だった。相変わらず心電図モニターの音だけが規則正しく響き、彼は身動き一つもせずに横たわっている。どれくらい眠っていたのだろうか、時計を確認すると、そこまで経っていないことが分かった。
「…………」
試しに名を呼んでみるが、やはり何も反応しない。でも息はしている。本当に眠っているだけなのか。
『君を失いたくはない』
彼は確かにそう言った。そこから推測されることは1つだけだ。そうでもなけりゃ、彼があんなに泣く訳が無い。
懐かしい香り。感触。温もり。花が好きなところも、泣き虫なところも。彼は昔のままだった。
最後に彼は笑った。涙を流しながら。俺に、久方ぶりに笑顔を見せてくれた。俺が大好きな笑顔。
俺は彼の笑顔に弱いらしい。笑えば何でも許してくれるみたいだ、自覚は無いのだが。
だから、最後に彼が魅せた笑顔と、あの言葉を、俺は守りたい。
俺だってお前に触れていたかったさ。一緒にいたかった。生きていきたかった。
「…………」
彼を起こさないように、静かに立ち上がる。頬にかかる綺麗な白髪を掻き分け、触れるだけのキスをした。相変わらず冷たい奴だな。しんだら許さないからな。
「…………鶴」
白い頬を撫で、望月が覗くかと待つけれど、それは一向に開かれず、俺は諦めの笑みを零した。
ははは。愛い奴よ、真に。
俺の頬には何かが流れた跡があった。

鶴。
俺はお前を愛しているよ。



「────……」
懐かしさを感じて、俺は遂に目醒めた。
ああ、やはり、きてしまったのか。
ガチガチに固まった筋肉に力を入れ、俺はなんとか上体を起こした。体中にチューブが繋がれていて、少々動き辛い。俺はこんなに細かったか。一体どれくらいの間眠り続けていたのだろう。
傍を見ると、花瓶に一輪の花が差してあった。夢の中で見た花畑の花に似ている。これを飾った本人は、もうこの世にいないのだろう。
そう思うと、涙が流れた。
そりゃそうだ。だって、俺は君を愛していたのだから。
「うっ……」
俺は一人、ベッドの上で呻いた。苦しい。苦しい。どうしてこんなに苦しいんだ。なんで君はいないんだ。なんで俺の隣にいないんだよ。
頬に残る微かな熱が、愛しい筈のその熱が、今はとても苦しい。この先もずっと、苦しいままなのだろう。君を思い出し、俺は苦しむのだろう。
「────三日月…っ!」
事故だったらしい。
それもよくあるような事故で、右折する三日月の車に直進してきたトラックがぶつかっただけのこと。
車は大破、乗用車の運転手は即死だったと、翌日流れたニュースで知った。
一晩中泣いていた。これでもかと言うくらい、まだ枯れないのかと言うくらい泣き続けた。
偶然だったのか必然だったのか、それは誰にも分からない。
分かるのは三日月は俺にとって大切な人だったということだけ。
『愛しているよ』
最後に聞こえた君の声。

君のいない世界なんて、醒めなければ良かった。