能力を模写し、奪う力を持った少年・カイ。
だがその力には、代償として相手の“感情”と“記憶”が流れ込む。

第5話では、模写の「成功」と「代償」の狭間で揺れるカイと、
アイとの“共鳴”が静かに始まる──。

構図：訓練場の破壊された床の上に倒れるカイ。模写テスト直後。
セリフ：
カイ（モノローグ）《……まただ。誰かの記憶が流れ込む……》
《痛い、苦しい、でもそれより──》

構図：心拍数や脳波をモニターで確認している監視局職員とアイ。
セリフ：
研究員「模写成功率は上昇中。でも精神耐性は限界域です」
アイ（小声）「……このままだと、カイが壊れる」

構図：薄暗い隔離室で目を覚ますカイ。天井を見つめる。
セリフ：
カイ「……また他人の夢を見た。知らねぇ女の悲鳴まで……」
《模写は、奪うだけじゃねぇ。“残る”んだ》

構図：部屋に入ってくるアイ。手にはホログラムタブレット。
セリフ：
アイ「あなた、模写中に共鳴してたわ」
「単なる模倣じゃない。“接続”してるの」

構図：2人が机を挟んで向き合う。
カイは伏し目がち、アイは真剣なまなざし。
セリフ：
カイ「共鳴ね……便利な言葉だな。
でもよ……その共鳴で“おれ”が見えなくなるんだ」

構図：アイが少し言葉に詰まりつつも、手を机に置いてカイに語りかける。
セリフ：
アイ「あなたが“壊れかけてる”のも、全部感じた」
「……それでも、私はそばにいるよ」

構図：カイが目を伏せながらも少し微笑む。初めて見せるわずかな安堵。
セリフ：
カイ「……うざい女だな、お前」
アイ「そっちこそ、感情不器用すぎ」

構図：隔離室の外の廊下を並んで歩く2人。
モノトーンの光に、少しだけぬくもりが差す。
セリフ（モノローグ）：
《誰かと感情を“共有する”ってのは、案外悪くない──》

能力の模写は、ただのコピーではない。

他者の感情・記憶・痛みを背負うこと。
それを知ったカイの中で、何かが少しずつ変わり始める。

そして──アイの存在が、孤独だった彼の“共鳴”のはじまりとなる。

【番外編 ABILITY HUNT 第5話】 模写と共鳴

【番外編　ABILITY HUNT　第5話】模写と共鳴