全く駄目だ。
なんの学習能力もない。
それで俺が呆れて、偉大なる大地の御手に抱かれている池田さんを尻目に、
「しかしアンタとは、本編以外では本当によく会うな? 」
そう言うとエーヴィヒは、
「それ以前に本編が、全然進みそうもないからな? 」
そう言ってから、
「それでお前も、今回はリア充側って訳か? 」
そう言われて俺は、
「まあそうなるかな? 」
「つまりは、吹っ飛ぶ側って訳だ」
どこかおかしそうに言う。それで俺も、
「まあ作者が作者だからな」
そして俺とエーヴィヒはそれぞれ連れと腕を組んだまま、無様に倒れている池田さんを見て、
「んじゃ、どーぞ。逃げて下さい」
「・・・へ? ・・・」
地面に倒れている、まるでひしゃげたガマガエルのような池田さんが、なんとか声を出す。それで俺が、
「この辺り一帯は、火の海になりますから? 」
するとエーヴィヒも頷いて、
「まあ久々の聖夜にしては、なかなか楽しかったよ。正直、俺はめんへるのほうがいいけどな? なんなら今から交換・・・へぶしっ!??? 」
そこで祭の右ストレートを喰らって、ひっくり返るエーヴィヒ。
「ノーダーリン! ノージョーク!!! 」
「す・・・すびばへ・・・ん・・・」
「それで・・・一体、なんの話ですか? 」
なんとか立ち上がった池田に、俺が、
「つまり俺たち「リア充」は、今から吹っ飛ぶんですよ? 作者がそう言っていたでしょ? 」
笑顔で言う。
「この企画、「リア充」を吹っ飛ばして、爽快な気分で新年を迎えるって話じゃないですか? だから俺たちがここでド派手に吹っ飛ぶのを、安全な場所から、見ていて下さいよ」
そう。
この企画は、あくまで「メリークルシミマス」なものなのだ。
それでめでたし、めでたしとなる。それで池田さんが、
「そ・・・それでいいんですか? 」
それで俺は、玉子を見て、
「いいよな? 」
「・・・うん・・・」
俺の腕に絡まっている玉子の腕に、ほんの少しだけ力が入る。それで見ると、なんとか立ち直ったエーヴィヒたちも、
「ま・・・まあ、今年はなんだかんだで楽しい聖夜だったからな。いっちょう派手にやってくれや! 」
するとその相方の祭も、エーヴィヒの腕に腕を絡ませたまま、頷く。
そんな俺たちを、茫然と見ている池田さんは・・・
「・・・う・・・ううう・・・」
なんか突然、苦しみ出す。それで気がつけばその傍に、あの人生敗残者サンタ軍団も、周辺に集まって来ていて・・・
「ううう・・・うう・・・うううう・・・」
なんか同じように苦しみはじめる。それで俺が、
「あ・・・あの・・・大丈夫、ですか? 」
一応聞くと、
「うああああああああああああああああああああーっ!!! 」
突然、叫び出して、一斉に走りはじめていた。それで俺たちが、それをポカンとして、見送っていると・・・
ちゅどーん!!!!!!
そっちのほうでド派手な爆発が起こり、遠目からでも見える、吹っ飛んでいく敗残者サンタたちの姿。
それを俺が、固まったまま見ていると・・・
「・・・池田君たち・・・いや、作者が負けたな? 」
「え? 」
エーヴィヒが、その惨状を見ながら、
「・・・なんか空気的に、ここで俺たちを吹っ飛ばしたら、却って気分が悪いというか、気持ちよく新年を越せないというか・・・」
ああ。
そういうことか。
俺は理解した。
「リア充」の世界に立つ、大人の対応というか、人生の余裕というか。
それをまざまざと見せられて、非リア軍団が精神崩壊して暴走したのだ。
それは正に、あの連中が一番見たくなかったものなのかもしれない。
後日、作者からは、「目標を間違えて誤射した」というLINEが来ていたが、どうも素直に負けを認めたくない感じだった。
それじゃ、企画崩壊じゃんか?
・・・ってなわけで、
「んじゃ、俺たちは帰っていいんだな? 」
エーヴィヒの言葉に、俺は、
「んだな」
「んじゃ、俺たちはこれで」
そう言って去って行くエーヴィヒたち。
・・・・・・
・・・・・・
それで俺は、
「じゃあ俺たちも、帰ろうか? 」
「うん」
そして俺たちは、向こうのほうの大惨事、燃える街角と消火活動に勤しんでいるレスキュー隊の皆さんのご苦労に感謝しながら、その場を後にする。
ついに今年も終わり。
色々あったようで。
あっという間だったようで。
それで俺は街外れまで来て・・・
「じゃあ」
「うん」
そう言って向かい合うと、
「メリークリスマス」
そう言って玉子の眼鏡を取ると・・・
・・・優しくキスして・・・
・・・しっかりと抱き合って・・・
・・・・・・
・・・・・・
「しょ・・・消火、活動は不要・・・」
「いっそ・・・このまま火葬して・・・下さい・・・」
「被害者、全員回収!!! しかしなんなんだ? こいつ等は!? 」
瀕死の敗残者サンタたちを尻目に、今年も終わりへと、進んで行きましたとさ!!!
FIN