風の商人 刹那のブログ

風の商人 刹那のブログ

幻想小説。欲しかったものが買える「風の商人の店」に訪れる人々の物語。

 全く駄目だ。

 なんの学習能力もない。

 それで俺が呆れて、偉大なる大地の御手に抱かれている池田さんを尻目に、

 「しかしアンタとは、本編以外では本当によく会うな? 」

 そう言うとエーヴィヒは、

 「それ以前に本編が、全然進みそうもないからな? 」

 そう言ってから、

 「それでお前も、今回はリア充側って訳か? 」

 そう言われて俺は、

 「まあそうなるかな? 」

 「つまりは、吹っ飛ぶ側って訳だ」

 どこかおかしそうに言う。それで俺も、

 「まあ作者が作者だからな」

 そして俺とエーヴィヒはそれぞれ連れと腕を組んだまま、無様に倒れている池田さんを見て、

 「んじゃ、どーぞ。逃げて下さい」

 「・・・へ? ・・・」

 地面に倒れている、まるでひしゃげたガマガエルのような池田さんが、なんとか声を出す。それで俺が、

 「この辺り一帯は、火の海になりますから? 」

 するとエーヴィヒも頷いて、

 「まあ久々の聖夜にしては、なかなか楽しかったよ。正直、俺はめんへるのほうがいいけどな? なんなら今から交換・・・へぶしっ!??? 」

 そこで祭の右ストレートを喰らって、ひっくり返るエーヴィヒ。

 「ノーダーリン! ノージョーク!!! 」

 「す・・・すびばへ・・・ん・・・」

 「それで・・・一体、なんの話ですか? 」

 なんとか立ち上がった池田に、俺が、

 「つまり俺たち「リア充」は、今から吹っ飛ぶんですよ? 作者がそう言っていたでしょ? 」

 笑顔で言う。

 「この企画、「リア充」を吹っ飛ばして、爽快な気分で新年を迎えるって話じゃないですか?  だから俺たちがここでド派手に吹っ飛ぶのを、安全な場所から、見ていて下さいよ」

 そう。

 この企画は、あくまで「メリークルシミマス」なものなのだ。

 それでめでたし、めでたしとなる。それで池田さんが、

 「そ・・・それでいいんですか? 」

 それで俺は、玉子を見て、

 「いいよな? 」

 「・・・うん・・・」

 俺の腕に絡まっている玉子の腕に、ほんの少しだけ力が入る。それで見ると、なんとか立ち直ったエーヴィヒたちも、

 「ま・・・まあ、今年はなんだかんだで楽しい聖夜だったからな。いっちょう派手にやってくれや! 」

 するとその相方の祭も、エーヴィヒの腕に腕を絡ませたまま、頷く。

 そんな俺たちを、茫然と見ている池田さんは・・・

 

 

 

 

 「・・・う・・・ううう・・・」

 

 

 なんか突然、苦しみ出す。それで気がつけばその傍に、あの人生敗残者サンタ軍団も、周辺に集まって来ていて・・・

 

 

 

 

 「ううう・・・うう・・・うううう・・・」

 

 

 なんか同じように苦しみはじめる。それで俺が、

 「あ・・・あの・・・大丈夫、ですか? 」

 一応聞くと、

 

 

 

 

 「うああああああああああああああああああああーっ!!! 」

 

 

 

 

 突然、叫び出して、一斉に走りはじめていた。それで俺たちが、それをポカンとして、見送っていると・・・

 

 

 

 

 ちゅどーん!!!!!!

 

 

 

 

 そっちのほうでド派手な爆発が起こり、遠目からでも見える、吹っ飛んでいく敗残者サンタたちの姿。

 それを俺が、固まったまま見ていると・・・

 「・・・池田君たち・・・いや、作者が負けたな? 」

 「え? 」

 エーヴィヒが、その惨状を見ながら、

 「・・・なんか空気的に、ここで俺たちを吹っ飛ばしたら、却って気分が悪いというか、気持ちよく新年を越せないというか・・・」

 ああ。

 そういうことか。

 俺は理解した。

 「リア充」の世界に立つ、大人の対応というか、人生の余裕というか。

 それをまざまざと見せられて、非リア軍団が精神崩壊して暴走したのだ。

 それは正に、あの連中が一番見たくなかったものなのかもしれない。

 後日、作者からは、「目標を間違えて誤射した」というLINEが来ていたが、どうも素直に負けを認めたくない感じだった。

 それじゃ、企画崩壊じゃんか?

 ・・・ってなわけで、

 「んじゃ、俺たちは帰っていいんだな? 」

 エーヴィヒの言葉に、俺は、

 「んだな」

 「んじゃ、俺たちはこれで」

 そう言って去って行くエーヴィヒたち。

 ・・・・・・

 ・・・・・・

 それで俺は、

 「じゃあ俺たちも、帰ろうか? 」

 「うん」

 そして俺たちは、向こうのほうの大惨事、燃える街角と消火活動に勤しんでいるレスキュー隊の皆さんのご苦労に感謝しながら、その場を後にする。

 ついに今年も終わり。

 色々あったようで。

 あっという間だったようで。

 それで俺は街外れまで来て・・・

 「じゃあ」

 「うん」

 そう言って向かい合うと、

 「メリークリスマス」

 そう言って玉子の眼鏡を取ると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・優しくキスして・・・

 ・・・しっかりと抱き合って・・・

 

 

 ・・・・・・

 ・・・・・・

 

 

 

 

 「しょ・・・消火、活動は不要・・・」

 「いっそ・・・このまま火葬して・・・下さい・・・」

 「被害者、全員回収!!! しかしなんなんだ? こいつ等は!? 」

 瀕死の敗残者サンタたちを尻目に、今年も終わりへと、進んで行きましたとさ!!!

 

 

 FIN