名残惜しそうに 先生は私を 引き寄せた




「信じないかも しれないけれど……」



そう言いながら

先生は 引き寄せた腕に

若干 力を加える



その言葉に 

私は 少し顔を上げて

先生の表情を 探る




「信じないかも しれないけれど

 オレだって これからの事を考えると

 眠れない時が ある」





そう言った後 

先生は ワザと私の頭の上に顎を乗せ

抑える様に 目線を自分の顔から

遠ざける





「正直 今は目まぐるしい毎日で

 それ程 ここからいなくなるという

 実感は沸かない


 だけど 考えてない訳じゃない

 お前を 独りにしてしまうことを

 本当にこれでいいのか??? 

 と 何度も 自問自答する


 何よりも

 彼女が 理解してくれなかったら……」





     さっきは強がって

     解って貰えるまで 何度でも話す

     と言いながら

     本当は 先生も私と一緒

     不安で一杯なんだ






肌蹴たシャツを ギュッと握り締めて

次の言葉を 促す




「けれど 幸いにも

 お前の存在を 彼女はまだ知らない

 
 オレの気持ちが 彼女にないということと

 他院からの誘いを受けたことしか 知らない

 だから

 お前に何か言ってくる事は ないと思う

 
 もしも

 彼女に時間が必要なら

 オレが眼の前からいなくなることで

 徐々に 彼女の気持ちが落ち着いてくれると

 思っている」






     強がりと本音が入り混じる言葉は

     私を安心させようとする

     先生の 隠し切れない優しさの表れ

     ………そうなんだよね






最後に 先生はもう一度 私を強く抱き締めた


そして 別れ際に こう呟いた





「オレの選択は 正しかったんだろうか……」












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