よくアスリートがゾーンに入ると最高のパフォーマンスがだせると言っている。
スキーのモーグルの選手が、ゾーンに入ると、いくら猛スピードでこぶ斜面を滑り落ちていても、景色がゆっくり動いて見えて、こぶも1つ1つしっかり認識できるので、余裕で滑ることができるそうだ。
プロ野球選手が、「ボールが止まって見える」なんてことを言ったりする。
メジャーリーグのイチローは、「調子が悪い時は、ボールを目で追っている、調子がいい時は、ボールはぼんやりとしか見ていない、景色全体をぼんやり見ているだけだけど、自然に体が動いて、結果的にヒットが生まれる」と言っている。
ゾーンに入るって、こんな状態らしい。
緊張していては入れなくて、まずはリラックスしてぼーとした状態を作るのだそうだ。
ジャズのアドリブも似ている。
たぶん、ゾーンに入れれば、いくら速い曲でもゆっくり聞こえるし、他の楽器の音もはっきり聞こえるので、最高のパフォーマンスを発揮できるはずだ。
プロの演奏を生で聞いていると、ゾーンに入っているように見えることがある。
ほとんど目を閉じて瞑想しているような感じ。
鍵盤もほとんど見てない。
手や腕、肩などにも全く力が入っていない、本当にリラックスした状態。
なのに、フレーズは、ものすごく速かったり、ものすごく歌っていたり、ものすごく周りの楽器と完全に溶け込んで、自然でいて、かっこいい。
ゾーンに入ったフレーズはかっこよく聞こえるが、後から録音を聴きなおすと、すごく単純なフレーズだったりする。
複雑なスケールを使わなくても、ダイアトニックスケールだけで十分勝負ができるのだ。
では、簡単にゾーンに入れるのか、というと、そうではない。とても難しい。
まず、曲のコードを見ているようじゃ、入れない。
コードを覚えていても、思い出すのに意識を使っていてもだめだ。
コードやスケールは、無意識に出てくるぐらい、弾きこなしていなくてはならない。
コードやスケールを考えている状態では、そこに意識が集中するので、ゾーンには入れないのだ。
周りの音に完全に溶け込み、曲に入り込まなくてはならない。
曲を外から客観的に眺めるのではなく、曲の中に入り込むイメージだ。
よくやる単純な曲で、ゾーンに入れることがある。
タッチも力んでないから、すごく軽い。
フレーズも歌い方も、いい感じになる。
でもミスタッチをした瞬間、意識がそこに集中してゾーンから出てしまう。
まだまだ事前の弾きこなしが足りないのだろう。
イチローも、見えないところで死ぬほど練習しているはずだ。