「禍(わざわい)は下より起こる」ということわざについて「言志録」にて著者はそれを否定しています。


地位の低い者や貧しい者が上の立場の者への恨み辛みによって社会に騒ぎを引き起こすという解釈の否定です。


世の禍はすべからく「上から起こり」地位の高い者や裕福な者が社会の争乱を引き起こし、下の不満の多くは上に対する不満から生まれるという考え方です。


われ良しで富を独占し道楽に明け暮れ、下に対する理不尽な圧政、不平等な扱い、支配、思いやりと富の分配の欠如から下の者たちの不満となり不平となり騒乱に発展することはこれまでの歴史が物語っています。


しかしながら上は上で自らを内省することなく、下を蔑視し、見下し、怒りを向け権力に任せて抑圧し続け悲劇の連鎖を生み続けます。



世の禍はすべからく「上より起こる」


どれだけの人間がこの考えについて真摯に向き合い自らの内観内省を出来るでしょうか。


企業に長年身を置きますと組織の頭が腐れば組織全体がいとも簡単に腐ることは現場に身を置く者なら誰しも分かることだと思います。



上が正しく下が間違っているという考えは常に正しいでしょうか


神は善でサタンが悪だという考えは正しいでしょうか


この世の禍(わざわい)の根底に人の心があるとして、私たちは今一度私たちなりの常識というものを疑って見る必要があるのかもしれません。





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