これまで出会った人で「この人はまともな人だ」と思った人間は何人いただろう。


5人くらいか。


6人か。


さすがに10人はいないか。




「有難うございます」


「申しわけありません」



これらを適切な状況で言える人間ですら10人中一人いるかいないか。そんな感じだろうか。




仕事で上司が雑務に追われていたら、



「そのようなこと私がしますからそのままにしておいてください。それよりご自身の仕事をなさってください」



そんなことを言える人間に出会った記憶がない。



特別なことではなくごく普通の当たり前のことだと思うが。



一体この世はどうなっているのだろう。



それを「相手に教えなければ」とすると相手は不機嫌になる。



人によっては「なぜそんなことをしなければならないのか」と怒りと恨みの念を向けてくる。



中にはパワハラとか人格否定の人権侵害だと騒ぎ立てる者までいる。



自分のことを後回しにして人の手助けをしたり思いやったりする人間はまるでお人好しの変わり者であるかのようだ。




正直なところもういい加減うんざりなんだが。






まともな人間はこの世のどこにいるのだろう。




何人くらい残っているのだろう。



たまたま私の周りに集まっているだけなのか。



しかしながら最近はもっと酷い人種が現れてきた。



まさかとは思っていたが、更に下がいた。



どこまで掘らねばならないのか。



どこまで人間は落ちているのか。




いや、違う。



やはりこれは壊れているのではないか。


正常に機能していない。



なんらかの訳ありなのか事情があるのか分からないが壊れているのではないか。



単なる人種や種族の感性や性質の違いで済ませて良いのだろうか。



目の前には、心を失った正気のないロボットたち。


または強欲になり他を巻き込みながら一日中怒り続けている者。



この人々の心の動きは一体何だろうか。



私の目の前に映るこの情景はなんだろうか。




「それがまさしく人間である」


そう言われるのは分かっている。



それは分かっている。



しかし本当の意味で分かっていないから私は今ここにいてそれを見ているのだと思う。



現場で見て肌身で感じるものは決して言葉に表現出来るものではないと思う。




なんてこった。


この世はこんなことになって。



これでも昔に比べてマシになったのか?


それとも便利さと引き換えに心を失ったのか?




・・・




時にはまともな人間に出会いたい。





・・・