取るに足らないことを問題事とし騒ぎ立て火をつける。

 

自分が加害者でありながら自分は被害者とし相手を加害者に仕立て上げ攻撃する。

 

 

とある精神科医に相談に訪れたある妻による夫婦の話である。

 

 

ある日、夫が妻を映画に誘った。人気女性アイドルが主演の映画である。

 

「まぁ嬉しいわ。でも私、あの人があまり好きじゃないのよね」

 

と妻はやんわりと言った。

 

「お前はいつもそうやって私の言うことにケチばかりつける」

 

と夫が怒りだした。

 

「そんなことないわ。せっかくの映画だから2人共通で楽しめる映画がいいと思ったのよ。2人で映画に行けるなんて嬉しいわ」

 

妻はそういった。

 

すると夫は「お前はオレの趣味が悪いと言うのか!」

 

夫は激高し更に続けた。

 

「オレは怒ってなんかいない、喧嘩を売っているのはお前じゃないか、お前のために映画に誘ってやっているのに、オレが機嫌よくしているといつもお前が台無しにする。もう、うんざりだ!」

 

そう叫んで飛び出していってしまった。

 

 

確かに妻はその女性アイドルに対する発言に注意すべきだったかもしれない。

 

妻は配慮が足らなかったのかもしれない。

 

しかし夫も夫である。

 

「それなら君の好きな映画にしよう。見たい映画があるのか?」

 

本当に妻のことを想っているならそう言えたはずである。

 

この夫は元々口論の種をまいたのは自分であるにもかかわらずその責任が妻にあるような言い方をすることによって、自分を被害者のように振る舞い妻を加害者に仕立て上げた。

 

このような夫は百歩譲って妻の趣味に合わせた映画を見たとしても、見終わった後ため息をつきながら、どれだけ自分が犠牲になったかを言うかもしれない。

 

 

取るに足らないことを問題事とし騒ぎ立て火をつける。

 

自分が加害者でありながら自分は被害者とし相手を加害者に仕立て上げ攻撃する。

 

 

この種の話は見方によってはお互い様で、互いの愛の不足と言ってしまえばそれまでかもしれない。

 

 

しかしながら私たちの日常ではこのような話が絶えない。

 

 

 

 

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