小学校の低学年の頃のことなんだけど今でも覚えてることがある。
たぶん1年生かそれくらい。
学校の帰り、集団下校ではなかったけどある程度同じ方向で男女かたまって下校してた。
 風の強い日で雨上がりだったのか用水路はかなりの水量だった。(用水路といっても川幅5メートルくらいの川なのだが)
その中でAちゃんがなんかのプリントをカバンから出して見はじめた。
なんでそんなこと?って大人になったら疑問になるけど、子供ってのはそういうもんで状況とかそういうの考えないものだ。
気になったから出した。ってことなんだろう。
案の定、Aちゃんは強風にプリントをさらわれてしまった。
まあここまではよくある。当然追いかけてってつかまえるんだけど、その日はほんとに風が強くてAちゃんのプリントはびゅわーっと飛んで川に落ちてしまった。
そのプリントが重要なプリントだったかはわからないけど、先生に「おかあさんに渡しましょう」って言われてたものなのでAちゃんは半泣きで流れてくプリントを見送っていた。
 するとB君が「俺が取ってくる」っと言って欄干を乗り越え、橋を支える柱のちょっとした足場に降りてしまった。
川の流れはすでに濁流レベルの川に飛び込んで取ってくるっていうのだ。
かなり無謀な行為。というか完全に死ぬよね。
でもみんな「えー怒られるよー」っていうけど誰も死ぬとか思ってない。
私も含めてBくんを見守っているだけ。
Bくんもそこまでは降りたものの、川の流れがすごすぎるためか一歩踏み出せない。
どうなるんだろーと見守りながらも早く帰りたいなあっとも思ってた。そのくらいなんでもないことだと思っていた。
 今考えれば、ほんとBくんが恐怖を感じるくらいに賢くてよかった。
何も考えずに飛び込んでる子なら私らは事情聴取ものだ。
でもBくんは言い出した手前なのか取りに行かなくてはと思っていたのか、もしかすると怖くて動けなくなっていたのかもしれないが、戻ることもできなかった。
確かにピンと張り詰めた緊張感があったと思う。
 その時、自転車で通りかかったおじさんがふつーにのんびりと
「おい、あぶないぞー」って言って去っていった。
Bくんはその声に緊張を解かれたみたいに「やっぱりやめる!」って言って戻ってきた。
みんなほっとして解散となった。
 というそれだけの話なのだが、子供ってホント何するかわかんないよなあって思いつつ、通りかかった人がもしもそれ見てパニック起こしたらどうなってたのかなあ。
大声で「危ない!」って叫んでたらびっくりして落ちちゃったかも…。
そう考える度び、あのおじさんは絶妙な声のかけかたをしていったよなあって思う。
 BくんはもしかしてAちゃんが好きだったのかっていうとまあまだそんな感情とかはなかったと思うんだけど、責任感の強い子だったのかもしれない。
でも下手な勇気がなくてよかったなあと今でも思う。
そんな事故の目撃者にはなりたくないよな。