「昨日、電車で寝てたよね?」
と彼女が言った。突然の事態に俺の脳は全くついていけなくて彼女の言葉が何回も頭の中で再生し続けられた。
「もしかして、俺のことを電車で起こしてくれたのって黒木さん?」
ずっと彼女の名前を書いていなかったが彼女の名前は黒木姫之だ。俺は、1年の頃から彼女が好きだったが名前を知ったのは同じクラスになってからだ。
「うん。すごく良く寝てたから起こそうか迷ったんだけど終点だったし」
「そっか。ありがとな!」
好きな女子に起こされたことはある意味良いシチュエーションだし彼女と話すきっかけになったからプラスに捉えればいいか。
そうだ。これはこれでよかったのかもしれない。
「朝倉くん」
彼女がこちらを見つめる。
「黒木さんはよそよそしいから…黒木でいいよ?」
そう言って彼女は俺に二回目の笑顔を見せた。薄らいでいた昔の彼女の笑顔がまた新しく塗りつぶされた。そんなことをされたら俺は簡単に期待してしまうじゃないか。
そんなの反則だ。
「黒木、俺と友達になろう。」